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Monster PandemiX(モンスター・パンデミックス)  作者: 古賀丸マシカク
エピソード XI 異次元ゲート

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第45話 質問に質問で返すなー!

noteにて「Monster PandemiX」の裏話を公開中!


https://note.com/kogamaru_mp/n/na6350cefe825

 そこは、どこかの軍の基地だった。

 なぜ軍とわかったかというと、いたるところに銃を持った兵士がいたからだ。


 しかも、見るからに全員見事に――『犬』だ。


 犬と言っても、四つ足で尻尾を振っているような犬ではない。

 しっかり二足で立ち、軍服を着て、銃を持ち、しかも妙に統率が取れている。

 つまり、軍隊としてかなりちゃんとしている犬たちである。


 そして、ルナたちは今まさに、緑色の軍服を着た二足歩行のアフガンハウンドの前でひざまずかされている。


 ――こいつもモンスターなのか?


 ルナは、少しだけ違和感を覚えた。

 いままで出会ったモンスターたちは、何かしらの動物や昆虫に似てはいたが、あくまで「似ている」だけだった。

 ワニっぽいとか、ゴキブリっぽいとか、ウサギっぽいとか、そういう感じである。

 だが、目の前にいる軍服を着たアフガンハウンドは――そのまんまだ。


 犬である。


 アフガンハウンドである。


 違いがあるとすれば、ひとつは二足歩行していること。

 言ってしまえば、犬をそのまま立たせて軍服を着せたようなものである。

 もうひとつは手の指だ。さすがに犬の前足では銃は握れない。


 そのアフガンが口を開く。


「私はドッグソルジャーの司令官、マーヴェリックだ。おまえたちは何者だ?」


 いかにも軍人然とした堂々たる佇まい。


 鍛え抜かれた分厚い胸を誇示するように突き出している。

 両腕は後ろで固く組まれたまま、サングラス越しでもわかるほど、鋭い眼光で見据えてくる。


 一方、ルナは自分の置かれた状況がまったく理解できず、きょろきょろと周りに視線を走らせる。


 犬の兵士。

 犬の軍服。

 犬の基地。


 どこからどう考えても、状況説明が足りていない。


「えっと~、ところでここはどこでしょう?」


「質問に質問で返すなー!」


 いきなりマーヴェリックに恫喝された。

 声量がすごい。

 軍人の怒鳴り声というのは、なぜこうも鼓膜に直撃するのか。


「ひえ~、ごめんなさい~」


 すかさず、テンがルナをフォローするように口を挟む。


「なんや知らんけど、でっかい穴に落っこちたらここに出てきたんや。俺らはただの通りすがりのもんや」


 兜を被ったテンは、どんな状況であっても自分のスタイルを崩さない。

 つまり、生意気である。

 その図太さには、ある意味、尊敬すら覚える。


「またか……、たまにあるんだよな……」


 野太い声で会話に割り込んできたのは、いかつい顔をした、これまた二足歩行のブルドッグだった。

 こいつも軍服をしっかりと着こなしている。


「えっ、どういうこと?」


 ルナが言葉の真意を問う。『またか』ということは、過去にも同じようなことがあったということだ。


「ワームホールだよ」


 聞き慣れないワードを口にしたのは、小さいチワワの軍人だ。

 入り口でビシッと敬礼をしてから部屋に入ってきた。


(ん? どこかで見たことあるような……)


 ルナは、チワワが敬礼している光景に妙な既視感を覚えた。


(デジャブか……?)


 いや、デジャブではない。


 クレーターに落ちた日、親友のソヨにインスタで見せたチワワの動画がそれだ。

 敬礼するチワワがやたら人気で、コメント欄は「天才」「軍曹」「かわいい」で埋め尽くされていた。


 もっとも、そんなことはすっかり忘れているルナであった。


「ワームホールは次元をつなぐ出入口だ。しかし、一方通行だから出てきたワームホールからは帰れない」


 軍服を着たチワワは、体は小さいがどこか威厳がある。


「次元をつなぐ? ということは? ここは異次元?」


 ルナは、またとんでもないところに来てしまったのかと焦る。

 ただでさえ異世界で困っているのに、よりによって今度は異次元だと。

 どんどん話が大きくなっている。


「たしかにおまえらからしたらここは異次元だな」


 マーヴェリックは胸ポケットからタバコを取り出すと、その一本に火をつけた。

 犬なのにタバコを吸うのか、というツッコミはいまはどうでもいい。それどころではない。


「一方通行ってことは、もう戻れないってこと?」


 ルナは、不安で少し声が震える。


「いや、戻れるとも」


 マーヴェリックが顎で合図を送ると、茶色のニューファンドランド犬の軍人が前に進み出た。

 彼はルナとテンの前にしゃがみ込み、鼻をひくひくと動かしながら匂いを嗅ぐ。


「あー、この匂いはあそこのワームホールだな」


「匂いでわかるんかい!!」


 テンが即座にツッコむ。


「わかる。しかも元の場所に戻るワームホールも知っている」


 ニューファンドランド軍人は自信満々に言った。

 どうやら彼の能力は、ワームホール嗅覚探知らしい。


 そのとき、彼がルナのそばにいるバロンに気づいた。


「ん?」


 バロンも不思議そうな表情でその軍人を見ている。


「なんか……俺に似てるな……」


 ニューファンドランド軍人とニューファンドランド犬がじっと見つめ合っている。


 なかなかシュールな光景だ。

noteにて「Monster PandemiX」の裏話を公開中!


https://note.com/kogamaru_mp/n/na6350cefe825

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