第30話 ほんなら、おまえはいったい誰やねん!
noteにて「Monster PandemiX」の裏話を公開中!
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「ありがとう、レッド。そしてにゃんこニンジャーのみんな!」
ルナは改めてお礼を言うと、五人は手を振って朝焼けの中を駆け足で去っていった。
しかし、どこへ向かうのか決めていなかったらしく、あっち行ったり、こっち行ったり。登場シーンはヒーロー然としていたが、去り方はバラバラだった……。
「なんやねん、あいつら……」
すると尚香がジョンを連れてやってきた。
「ルナさん、テン君、本当にありがとう。ジョンを助け出してくれて」
尚香は深々と頭を下げた。
「うん、ほんとよかったです。約束を守れてホッとしてます」
ルナは安堵の笑みを浮かべながら答えた。
尚香は何度も礼を言い、ジョンと共に帰っていった。
「あれれ?」
「ん? どうした? テン」
「あの犬、さっきの犬とちゃうな。ジョンやないで」
テンは尚香の連れていた犬の後ろ姿をじっと見つめながら言った。
テンの観察眼は、こういう時だけ異様に鋭い。男と女は見誤るが……。
「あっ、ほんとだ! 似てるけど違う!」
あたりを見渡すと少し離れたところに黒い大型のニューファンドランド犬がポツンと座っている。
「あいつや! あの犬や! ジョンや!」
二人はその犬のところに駆けていった。
ニューファンドランドは二人に気づくと「バウ!」とひと吠えした。
体高、つまり地面から肩までのサイズは、ほぼテンと同じくらいだ。
頭のぶんニューファンドランドが勝っている。
「君は? 飼い主は来てないの?」
ルナが優しく声をかける。
他の犬や猫はみんな飼い主と帰路についた。一匹だけなぜか残っている。
「バウ……」
その犬は、寂しそうに頭を垂れる。
「尚香が間違えて違う犬連れてったんちゃう?」
「そんなバカなことないでしょ! 自分のペットを間違うなんて。あの助けてくれた犬はジョンじゃなかったのよ」
「ん? どーゆーこっちゃ?」
ルナは、そっとニューファンドランドの頭を撫でる。
「君が助けてくれたんだよね?」
「バウッ」
ニューファンドランド犬は、尻尾を激しく振る。
テンはしばらく考え込む……そして何かを思いついたようにハッとする。
「ほんなら、おまえはいったい誰やねん!」
「バウ!」
「この犬は、きっと飼い主がいないんだね。たぶん捨てられたんだ」
「ク〜ン」
ニューファンドランドは切なそうに鼻を鳴らし、ルナにそっと寄り添う。
「よしよし、安心しな、大丈夫だよ。あたしが君の飼い主になるから」
ルナは毛並みのいい黒犬の頭を撫でた。
「ほんまか! そいつはええ考えや。仲間が増えたな!」
テンもその案にまんざらでもないらしい。
「バウ!」
ニューファンドランド犬はひと吠えすると、口角がぐっと上がった。
「そうと決まれば名前を決めないとね」
「そうや、名前や」
ルナは顎に指を当て、じっとニューファンドランドを凝視していた。
すると「バウ!」とまた元気に吠えた。
「よし、鳴き声がバウだから、バウにしよう」
「なんやピンとこんな〜、安直やし。センスゼロや」
「そう? んじゃあ……」
しばらく考えると――
「バロン、バロンは?」
「おっ、ええやん、バロン。呼びやすいしな」
「バウ!」
「そうか、君も気に入ったか、では今日から君はバロンよ」
バウからどういう道のりを辿ればバロンになるのかわからないが、テンも当の黒犬もたいそう気に入ったらしい。
そして新たな仲間を迎えたルナ一行は再び旅に出た。
* * *
「ルナ、そういえば――」
テンがルナの顔を見上げている。
「おまえなんであんな無茶したん?」
「無茶って?」
「あんなぎょうさん敵がおる中に、ひとりで突っ込んでいったやん。しかも、凝りもせずフライパンでやで」
テンは、相変わらずフライパンだけで相手に向かっていく、その無謀さの心理を問うた。
しかし、ルナは、その質問に淀みなく答える。
「だって、約束したでしょ? ちゃんと助けるからって」
テンは、予想外の答えに一瞬固まる。
しばらくルナの顔を見つめていると目頭が急に熱くなってきた。
「ごめん、テン、もうあんな無茶はさせないからね」
ルナも反省しているようで、両手を合わせてすぐさま謝罪した。
「あ、あたりまえや! ほんまエエかげんにせえよ、次やったらしばくで!」
テンは悪態をつきながら、顔を見られない角度で先を急ぐ。
その目からは、涙が滝のように溢れていた。
ルナは微笑みながら、テンの背中をいつまでも見つめていた。
エピソード VIII 悪に染まった心を正義の爪は許さない 「了」
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
今回は「にゃんこニンジャー」が初登場!
さらに、新しい仲間・バロンも加わりました。
ということで――
**第一回『Monster PandemiX』キャラクター人気投票を開催します!**
ここまでに登場したキャラクターなら誰でもOK!
あなたの「推し」を一人、感想欄で教えてください。
「テン!」
「ウェルシュ推し!」
「モモニンジャー!」
など、**キャラクター名だけでも大歓迎です!**
果たして第一回人気投票、誰が一位になるのか――作者も楽しみにしています(笑)
次のエピソードも、ぜひよろしくお願いします!




