第28話 見てたんだったらもっと早く助けにこいよ
noteにて「Monster PandemiX」の裏話を公開中!
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レッドニンジャーは襲いかかるジョーカーズたちを刀でなぎ倒しながら、捕らえられているルナのもとへ駆け寄る。
その動きは軽やかで、いかにもヒーローといった感じだった。
さっきまで二階で名乗りを上げていたのが嘘のように、戦闘はやたら手慣れている。
ルナを押さえつけていたジョーカーズの戦闘員が「この~、俺が相手じゃー!」と叫びながら渾身のパンチを放つ。
レッドはそれをなんなく避け、足を引っかけて転がす。
そして、ルナを抱きかかえて立ち上がらせた。
「君の戦いはずっと見ていたよ。すっごく勇敢だね」
レッドは、ウィンクしながらサムズアップでキメる。
口元は赤い手拭いで隠れているが、たぶん口角は上がっている。
いずれにせよ、ヒーローらしい完璧な決めポーズである。
おそらくこれも鏡の前で何度も練習したに違いない。
「あっ、はい……ありがとうございます」
お礼を言いながらも、見てたんだったらもっと早く助けにこいよ、と心の中で独り言ちる。
そんなルナの内なる心情など知る由もなく、レッドは再び乱闘の中に突進していった。
にゃんこニンジャーとジョーカーズが戦闘を繰り広げている間に、ルナはテンを救出した。
「ルナ!」
「テン、話はあとよ、こっちに来て」
* * *
ルナはテンの手を掴むと別室へと走る。
そこは、連れ去られた犬や猫たちが、檻に閉じ込められている部屋だった。
部屋中に檻が並び、犬や猫がぎゅうぎゅうに詰め込まれている。
吠える声、鳴き声、檻を引っかく音で、部屋はかなり騒がしい。
「なんやこれは!? めっちゃおるやん」
テンが思わず目を丸くする。
「そうなの、さっき見つけたのよ。いまのうちに逃がすよ!」
二人は手分けして檻を開け、囚われていた犬や猫を次々と解放していく。
犬は尻尾を振り、猫はさっさと外へ飛び出していく。
なかには、状況がよくわかっていない顔のまま出ていく猫もいた。
そのとき――ジョーカーズのひとりが、背後からルナを羽交い絞めにした。
「きゃあ! やめて! 変態! どこ触ってんのよっ!」
「えっ? 変態? い、いや、そういうんじゃ……」
「あっ! ホンマや! どこ触っとんねん、自分! このドスケベが!」
「ド、ド、ドスケベ? い、いやいやいや……いやはや……ご、ごめん」
変態ドスケベ呼ばわりされた戦闘員が、なぜかルナの体から腕をほどき、しかも謝る。
完全にペースを乱されていた。
次の瞬間――
「バウバウバウ!」
突然一匹の黒い大型犬が戦闘員の尻に噛みついた。
「うわあああー!! いててててててて!!」
戦闘員は尻を押さえ、こりゃたまらんとばかりに一目散に逃げていった。
悪党としては、あまり威厳のある退場ではない。
ルナは驚いて犬の顔をまじまじと見つめた。
「……もしかして助けてくれたの?」
黒い大型犬は舌を出してハアハアしながら、尻尾をぶんぶん振っている。
テンは黒い犬の姿を見るや否や、ハッとする。
「ルナ、この犬ひょっとすると……」
「あっ、黒い大きな犬……ジョン!?」
* * *
一方、にゃんこニンジャーとジョーカーズの戦いはすでに終盤戦に突入していた。
雑魚たちはことごとく倒され、残るはゼノンただひとり!
「ゼノン大佐! おまえのツキもここまでだな!」
レッドニンジャーが指を突きつけ、勝ち誇ったように言い放つ。
こういう台詞は、ヒーローにとって非常に重要である。
「もう、観念しちゃいなさいよ♡」
モモニンジャーが左右に一回ずつ腰を振る。
彼女は、無駄に色気があるピンク毛の雌猫モンスターだ。
戦闘中でも色気を忘れないあたり、さすがである。
「くそだらぁ〜、にゃんこニンジャーめ。……ここまで来たら最後の手段だ」
ゼノンは瓶をひとつ掴むと、中の液体をグイッと一気に飲み干した。
「あっ、いまなんか飲みましたよ!」
五人の中で一番年下のミドニンジャーが指さしてあたふたする。
「な、なにを飲んだんだ?」
普段はクールなキャラのブルーニンジャーも珍しく動揺する。
「栄養ドリンクじゃない?」
と、キイニンジャーが手を顎に当て、首を傾げた。
キイは、白い毛に覆われた可愛い子猫モンスター。
この状況でもわりと呑気である。
「ブオ、ヴォエエエエエエーーー!」
謎のドリンクを飲んだゼノンは、突然なんともいえない耳障りな雄叫びを上げた。
「なに〜? キモッ!」
モモが両耳を手で塞いで顔をしかめる。
「なんだあれは!」
ブルーが目の前で起こりつつある現象に驚愕の声を上げる。
なんとゼノンの体が徐々に大きくなっていくではないか。
そう、実はそのドリンクは一時的に体を大きくさせる薬だったのだ。
「ぐはははは~。これでおまえたちもおしまいだ」
「マ、マジかよ!」
勝ちを確信するゼノンにレッドが目を見開く。
「レッド、どうすんの? このままじゃ巨大になっちゃうわよ」
キイがレッドの腕を掴みながら恐怖に震えている。
そんな中、ゼノンの体はますます巨大化し、にゃんこニンジャーたちの身長をはるかに超える。
「うわー、このままだとこのビルくらいまでいくってこと?」
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