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Monster PandemiX(モンスター・パンデミックス)  作者: 古賀丸マシカク
エピソード VIII 悪に染まった心を正義の爪は許さない

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第28話 見てたんだったらもっと早く助けにこいよ

noteにて「Monster PandemiX」の裏話を公開中!


https://note.com/kogamaru_mp/n/na6350cefe825

 レッドニンジャーは襲いかかるジョーカーズたちを刀でなぎ倒しながら、捕らえられているルナのもとへ駆け寄る。


 その動きは軽やかで、いかにもヒーローといった感じだった。

 さっきまで二階で名乗りを上げていたのが嘘のように、戦闘はやたら手慣れている。


 ルナを押さえつけていたジョーカーズの戦闘員が「この~、俺が相手じゃー!」と叫びながら渾身のパンチを放つ。

 レッドはそれをなんなく避け、足を引っかけて転がす。


 そして、ルナを抱きかかえて立ち上がらせた。


「君の戦いはずっと見ていたよ。すっごく勇敢だね」


 レッドは、ウィンクしながらサムズアップでキメる。

 口元は赤い手拭いで隠れているが、たぶん口角は上がっている。


 いずれにせよ、ヒーローらしい完璧な決めポーズである。

 おそらくこれも鏡の前で何度も練習したに違いない。


「あっ、はい……ありがとうございます」


 お礼を言いながらも、見てたんだったらもっと早く助けにこいよ、と心の中で独り言ちる。


 そんなルナの内なる心情など知るよしもなく、レッドは再び乱闘の中に突進していった。

 にゃんこニンジャーとジョーカーズが戦闘を繰り広げている間に、ルナはテンを救出した。


「ルナ!」


「テン、話はあとよ、こっちに来て」


 *   *   *


 ルナはテンの手を掴むと別室へと走る。


 そこは、連れ去られた犬や猫たちが、檻に閉じ込められている部屋だった。


 部屋中に檻が並び、犬や猫がぎゅうぎゅうに詰め込まれている。

 吠える声、鳴き声、檻を引っかく音で、部屋はかなり騒がしい。


「なんやこれは!? めっちゃおるやん」


 テンが思わず目を丸くする。


「そうなの、さっき見つけたのよ。いまのうちに逃がすよ!」


 二人は手分けして檻を開け、囚われていた犬や猫を次々と解放していく。

 犬は尻尾を振り、猫はさっさと外へ飛び出していく。

 なかには、状況がよくわかっていない顔のまま出ていく猫もいた。


 そのとき――ジョーカーズのひとりが、背後からルナを羽交い絞めにした。


「きゃあ! やめて! 変態! どこ触ってんのよっ!」


「えっ? 変態? い、いや、そういうんじゃ……」


「あっ! ホンマや! どこ触っとんねん、自分! このドスケベが!」


「ド、ド、ドスケベ? い、いやいやいや……いやはや……ご、ごめん」


 変態ドスケベ呼ばわりされた戦闘員が、なぜかルナの体から腕をほどき、しかも謝る。

 完全にペースを乱されていた。


 次の瞬間――


「バウバウバウ!」


 突然一匹の黒い大型犬が戦闘員の尻に噛みついた。


「うわあああー!! いててててててて!!」


 戦闘員は尻を押さえ、こりゃたまらんとばかりに一目散に逃げていった。

 悪党としては、あまり威厳のある退場ではない。


 ルナは驚いて犬の顔をまじまじと見つめた。


「……もしかして助けてくれたの?」


 黒い大型犬は舌を出してハアハアしながら、尻尾をぶんぶん振っている。

 テンは黒い犬の姿を見るや否や、ハッとする。


「ルナ、この犬ひょっとすると……」


「あっ、黒い大きな犬……ジョン!?」


 *   *   *


 一方、にゃんこニンジャーとジョーカーズの戦いはすでに終盤戦に突入していた。

 雑魚たちはことごとく倒され、残るはゼノンただひとり!


「ゼノン大佐! おまえのツキもここまでだな!」


 レッドニンジャーが指を突きつけ、勝ち誇ったように言い放つ。

 こういう台詞は、ヒーローにとって非常に重要である。


「もう、観念しちゃいなさいよ♡」


 モモニンジャーが左右に一回ずつ腰を振る。

 彼女は、無駄に色気があるピンク毛の雌猫モンスターだ。

 戦闘中でも色気を忘れないあたり、さすがである。


「くそだらぁ〜、にゃんこニンジャーめ。……ここまで来たら最後の手段だ」


 ゼノンは瓶をひとつ掴むと、中の液体をグイッと一気に飲み干した。


「あっ、いまなんか飲みましたよ!」


 五人の中で一番年下のミドニンジャーが指さしてあたふたする。


「な、なにを飲んだんだ?」


 普段はクールなキャラのブルーニンジャーも珍しく動揺する。


「栄養ドリンクじゃない?」


 と、キイニンジャーが手を顎に当て、首を傾げた。

 キイは、白い毛に覆われた可愛い子猫モンスター。

 この状況でもわりと呑気である。


「ブオ、ヴォエエエエエエーーー!」


 謎のドリンクを飲んだゼノンは、突然なんともいえない耳障りな雄叫びを上げた。


「なに〜? キモッ!」


 モモが両耳を手で塞いで顔をしかめる。


「なんだあれは!」


 ブルーが目の前で起こりつつある現象に驚愕の声を上げる。

 なんとゼノンの体が徐々に大きくなっていくではないか。

 そう、実はそのドリンクは一時的に体を大きくさせるドラッグだったのだ。


「ぐはははは~。これでおまえたちもおしまいだ」


「マ、マジかよ!」


 勝ちを確信するゼノンにレッドが目を見開く。


「レッド、どうすんの? このままじゃ巨大になっちゃうわよ」


 キイがレッドの腕を掴みながら恐怖に震えている。

 そんな中、ゼノンの体はますます巨大化し、にゃんこニンジャーたちの身長をはるかに超える。


「うわー、このままだとこのビルくらいまでいくってこと?」

noteにて「Monster PandemiX」の裏話を公開中!


https://note.com/kogamaru_mp/n/na6350cefe825

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