第27話 悪に染まった心を正義の爪は許さない
noteにて「Monster PandemiX」の裏話を公開中!
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「野郎ども、やっちまいな!」
ゼノンのいかにも時代劇的なセリフでジョーカーズの戦闘員たちも迎え撃つ。
突如始まった乱闘は、次第に入り乱れ大乱闘へと発展した。
「このすっとこどっこいがー!」
ルナは、訳のわからない言葉を叫びながら右手のフライパンで攻撃、左手のフライパンで防御と見事な身のこなしで次々と戦闘員を倒していく。
おそらくはパンジーに使い方を伝授してもらったのだろう。はるかに上達している。
しかし、一対二十、さすがに無理があった。
ルナはとうとう捕らえられてしまった。
「くそ〜」
床にねじ伏せられ、押さえつけられたルナは、まったく身動きがとれない。
「ルナ〜……」
テンは目を涙で潤ませながらルナを見つめる。
悔しさを滲ませるルナに、ゼノンが冷笑を浮かべながら言い放つ。
「手こずらせやがって、勇ましい小娘だな。しかしここまでだ」
そのとき、どこからともなく声がした。
「ちょっと待ったー!」
一斉に振り向くジョーカーズたち。
視線の先――吹き抜けの二階の手すりに五つの影が聳え立つ。
赤、青、黄、緑、そしてピンク。
カラフルな忍び装束に身を包んだ猫の忍者たちだった。
まるでなんとか戦隊だ。しかも、かなり堂々としている。
「だ、だれだ! 貴様らは!」
ゼノンが叫ぶ。
するとその中のひとり、赤い忍び装束の男がゆっくりと前に出た。
右手を頭の上に真っ直ぐ掲げ人差し指で天を指すと、突然大きな声で叫ぶ――!
「ひとつ、ヒトよりエサが好き」
「えっ、なに?」
ゼノンの思考が一瞬止まる。
いや、止まったのはきっとゼノンだけではない。
そんなゼノンを尻目に、他の忍者も続けて叫び始める。
ブルー「ふたつ フリーにさせといて」
キイ 「みっつ ミルクも大好物」
「まさか……自己紹介?」
ルナとテンもこの状況に凍りつく。
ミド「よっつ 夜でもお散歩さ」
モモ「いつつ いつでも爪を研ぐ」
やっと、五人それぞれの前口上らしき言葉が並べ終わった。
ゼノンの思考回路は、この状況を把握できずにフリーズしかかっている。
「お、おまえたちは……いったい何者だ!?」
わずかに動いている思考を巡らせ、改めてもう一度同じ質問をする。
「悪に染まった心を正義の爪は許さない」
おそらくお決まりのセリフなのだろう。
ゼノンの質問を全無視し、リーダーとおぼしき者が高らかに言い放った。
そして「トウ!」と叫び、五人全員が二階の手すりから飛び降りる。
途中「ニャンパラリ」と宙で体を一回転ひねって見事に着地した。
「おおっ!」
と、その場にいたジョーカーズ戦闘員がどよめく。
その見事な身のこなしは、さながらオリンピック選手顔負けである。
「だーかーらー。おまえたちは誰だと聞いてるんだ! さっきから!」
ゼノンは、ことごとく自分の問いかけを無視され、怒りのあまり声が大きくなる。
五人はそれすらもスルーだ。
そう、彼らには彼らなりのお決まりルーティンがあるのだ。
そして、全員で「NNN」と叫ぶと赤い忍び装束から順番に名乗りをあげる。
「レッドニンジャー」←♂
「ブルーニンジャー」←♂
「キイニンジャー」←♀
「ミドニンジャー」←♂
「モモニンジャー」←♀
最後は全員で――
「野良猫集団!」
ドン!
と、足を鳴らすと――
「にゃんこニンジャー!」
五人全員が各々違うポーズで決めた。
キレは抜群である。
おそらく、かなり練習している。
「おお〜」
あまりにも、その佇まいがかっこよかったため、ジョーカーズの戦闘員から思わず拍手が湧いた。
悪党とはいえ、良いものは良いと認めるタイプらしい。
「長い! 長すぎ! 名乗りの前置きとかいらないから――まさか毎回やってんの? これ」
ゼノンは、あまりに長いヒーロー登場シーンにかなり苛立っていた。
しかも終わるまでおとなしく待っていた自分にも腹が立っている。
赤い手拭いで口を覆ったレッドは、ヒーローらしい決め顔でズバッとゼノンに向かって人差し指を向ける。
「おまえたちの悪事はすべて聞いた! ジョーカーズ、覚悟しろ!」
レッドニンジャーのヒーローお約束セリフと共に、にゃんこニンジャーの五人はジョーカーズに向かって突撃した。
「おまえたち、感心してる場合じゃねえぞ。全員叩きのめせ!」
ゼノンの怒号がアジトに響き、さっきまで拍手していた戦闘員たちが慌てて武器を構えた。
どうやら、今度こそ本当に戦いが始まるらしい。
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