表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したら焔神の加護が危険だと追放された俺、軍事国家で最強の戦力として成り上がる  作者: YUJIN


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

32/46

第32話 静かな余韻と揺れる心

 三日が経った。


 目が覚めるたび、身体の奥がじんじんと熱を持っている。

 皮膚の下で魔力がざわつき、立ち上がろうとすると視界が揺れた。


「タイチくん、起きた?」


 アリスが椅子から身を乗り出し、俺の額に手を当てる。

 その手は少し冷たくて、心地よかった。


「熱は……うん、昨日より下がってる。

 でも、まだ無理しちゃダメだからね?」


「……悪いな、アリス。ずっと付きっきりで」


「いいの。

 これくらい、させてよ」


 アリスは照れたように笑いながら、

 俺の髪をそっと撫でた。

 その仕草が、以前よりずっと自然で──胸の奥がくすぐったくなる。


 ------------------------------------------------


 昼過ぎ、テントの布が勢いよくめくれた。


「タイチ、生きてるか!」


 グレイズ、ガント、セリナ、リオ。

 四人とも包帯だらけだが、表情は明るい。


「お前ら……もう動けるのか」


「なんとか、みんな自力で歩けるようにはなった」

 グレイズが笑う。


「でも、命は助かった。……お前のおかげだ」


 ガントが深く頭を下げる。


「命の借りだ。必ず返す」


 セリナも静かに言った。


「あなたが来てくれなかったら……私たち、全員……」


 リオは照れたように視線を逸らす。


「……ありがとね、タイチ」


 胸が熱くなる。


「無事でよかったよ。

 それだけで十分だ」


 グレイズはアリスに視線を向け、真剣な顔で頭を下げた。


「アリス、お前にも礼を言わせてくれ。

 俺たちの仲間を治してくれたんだってな」


「い、いえ……私はただ、できることをしただけで……」


 アリスは少し照れながら、俺の袖をつまむ。


「……タイチくんの友達だから、絶対に救わないとって思って……」


 グレイズがニヤリと笑う。


「ははっ、いい子じゃねぇか。

 タイチ、大事にしろよ?」


「ちょ、ちょっと……!」

 アリスが真っ赤になる。


 グレイズは手を振った。


「俺たちはイグナリアに戻る。

 また会おう、タイチ」


 四人は深く頭を下げ、テントを後にした。


 ------------------------------------------------


 静かになった頃、

 テントの入口から控えめな声がした。


「……タイチくん、入ってもいい?」


 アヤカだった。


 以前より少し痩せたように見える。

 目の下には薄いクマがあり、

 無理して笑っているのが分かった。


「アヤカ……来てくれたのか」


 アヤカはベッドの横に立ち、

 ぎゅっと拳を握りしめた。


「助けてくれて……ありがとう。

 あの時、タイチくんが来てくれなかったら……

 私、本当に……」


 声が震え、言葉が途切れる。


「それと……追放された日のこと……ごめんなさい。

 私、自分のことでいっぱいいっぱいで……

 タイチくんの気持ち、何も考えられなかった」


 俺は首を振った。


「もういいよ。

 アヤカが無事でいてくれたなら、それでいい」


 アヤカは涙をこらえるように笑う。


「……生きててくれてよかった。

 本当に……よかった」


 その言葉には、安堵だけがあった。


 だが――

 アリスが俺の手を握っているのを見た瞬間、

 アヤカの表情がほんの一瞬だけ揺れた。


 すぐに笑顔に戻ったが、

 あの一瞬の揺れは何だったんだろう。

 疲れているだけ……そう思うことにした。


「私、仕事あるから戻るね。

 タイチくん、お大事に」


 テントを出ていく背中は、どこか寂しげだった。


 ------------------------------------------------


 アヤカが去った後、

 アリスは俺の横に座り直し、

 少し迷ったように口を開いた。


「……ねぇ、タイチくん。

 デイビットさんたち、イグナリアに戻ったでしょ?」


「ああ。戦後処理があるって言ってたな」


 アリスは小さく首を振る。


「それだけじゃないの。

 今回の戦い……上の人たちが、

 “緊急会議”を開いてるって」


「緊急会議……?」


「うん。

 デイビットさん、すごく真剣な顔で言ってた。

 ()()()()()()()()()()って」


 アリスは俺の手をそっと握る。


「タイチくんの功績も……全部報告されてるみたい。

 それで……()()()()()を作る話が出てるって」


「新しい部隊……?」


 アリスは少しだけ誇らしげに微笑んだ。


「王国直属の()()()()

 タイチくんを中心にした、特別な部隊なんだって」


 胸が高鳴る。


 アリスは不安そうに俺の手を握りしめた。


「タイチくんが認められるのは、本当に嬉しい。

 でも……偉い人たちって、何を考えてるか分からないから……

 ちょっとだけ、心配」


 俺はアリスの手を握り返した。


「大丈夫だよ。

 アリスがいてくれるなら、俺はどこに行っても平気だ」


 アリスは少し涙ぐみながら笑った。


「……うん」


 テントの中には、

 静かな時間が流れていた。

 

今回は少し穏やかな回でした!

タイチとアリスを見て、アヤカも色々と思うところがあるようです……


三人の関係がどう変わっていくのか、続きが気になった方はぜひブックマークと高評価していただけると嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ