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転生したら焔神の加護が危険だと追放された俺、軍事国家で最強の戦力として成り上がる  作者: YUJIN


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第28話 もう一つの戦場

 地下避難区域の救護所。

 そこは、もはや避難所ではなく()()()()()だった。


 次々と担架が運び込まれ、

 治療台は血で濡れ、

 呻き声と泣き声が絶えない。


 軽傷者はほとんどいない。

 運ばれてくるのは、体の一部を失い、肉が裂け、血が止まらない者ばかりだった。


 それだけ、地上の戦いが激しいという証拠だった。


 アリスは休む暇もなく治療魔法を使い続けていた。

 額には汗が滲み、指先は震えている。


 そこへ、また一人運び込まれてくる。


 銀髪の少女だった。


 担いできた女兵士は、涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら叫ぶ。


「アヤカさんを……どうかお願いします……!」


 アヤカの腹部は深く裂け、血が止まらない。

 普通なら助からない傷だ。


 アリスは迷わず両手をかざした。


「……ヒール」


 淡い光がアヤカの身体を包み、

 裂けた肉がゆっくりと閉じていく。


 女兵士が息を呑む。


「ヒールなのに……こんなに早く……?」


 アリスの魔力はすでに底が見えていた。

 視界が揺れ、足元がふらつく。


 それでも、手を止めなかった。


 やがて傷が完全に塞がり、

 アヤカの呼吸が安定する。


 アリスは膝をつきそうになりながらも、なんとか踏みとどまった。


 治療が終わると、女兵士は何度も礼を言い、自分の持ち場へ戻っていった。


 その時、アヤカがゆっくりと目を開けた。


「……治療……ありがとう……ございます……」


 アリスの腰に下げられた刀に気づき、目を見開く。


「その刀……カズヤくんの……?」


「そうよ。大切な人にもらったの」


「カズヤくん……元気……?」


「元気にお店やってるわよ」


 アヤカは安堵したように微笑んだ。


「……よかった……」


 その瞬間、救護所の扉が勢いよく開いた。


「南門が突破された!!

 ワーウルフの大群がこっちに向かってる!!」


 救護所の空気が凍りつく。


「ワーウルフ……の大群……?」


「ああ! 冒険者が食い止めてるが……時間の問題だ!」


 アヤカはベッドから身を起こし、立ち上がろうとする。


 アリスが慌てて支えた。


「ダメよ! まだ血が足りてないの!」


「……ここを守るのが、私の仕事です」


 アリスは唇を噛んだ。


「わかった……私も行く」


「でも……ここは?」


「もう落ち着いたわ。それに……あなた、タイチくんと同じ所から来たんでしょ?」


 アヤカの目が大きく開く。


「タイチくん……生きてるの?」


「生きてる。今もここで戦ってる。

 タイチくんのためにも……あなたを死なせない。

 怪我したら、すぐ治すから」


 アヤカは小さく頷いた。


「……わかった。でも危なくなったら、すぐ逃げて」


「うん。約束する」


 二人は地上へ向かった。


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 地上では、すでに戦闘が始まっていた。


 ワーウルフの群れが唸り声を上げ、

 その前で大剣を構えた赤髪の冒険者が一人、必死に立ち向かっていた。


 ――グレイズだ。


「救援助かるぜ……

 流石に一人じゃきつい……!」


 周囲には、彼の仲間たちが倒れている。


 アリスはすぐに倒れた冒険者たちの治療に取りかかり、

 アヤカは弓を構えて援護に回る。


 だが、アリスの魔力はほとんど残っていなかった。


 治療を続けるたびに鼻血が垂れ、膝が震える。


「もうやめろ! あんたが死んじまう!」


 グレイズが叫ぶ。


 アリスは首を振った。


「……治療をするのが……私の仕事ですから……

 それに……死にかけてる人を放っておけません……」


 ワーウルフの爪が地面を抉り、

 アヤカの矢が次々と放たれる。


 だが、数が多すぎた。


 ついにグレイズがワーウルフに斬り裂かれ、

 アヤカも横からの一撃を受けて地面に倒れた。


「アヤカさん!!」


 アリスが駆け寄ろうとした瞬間、

 巨大なワーウルフがアリスへ飛びかかる。


 アリスは目を閉じた。


「……タイチくん……助けて……」


 その刹那。


 ――ゴォッ!!


 炎の斬撃が横から飛び込み、

 ワーウルフの首を焼き切った。


 黒焦げの頭部が地面に転がり落ちる。

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