第27話 激戦の第二波
ジークの突撃の合図と同時に、俺たちは地面を蹴った。
「行くぞ!!」
外壁前に残ったアイアンリザードへ向かって、俺とジークは全力で駆ける。
ジークが横目でニヤリと笑った。
「俺も少しはかっこいいところ見せないとな。
タイチに舐められたくないからな!」
ジークの身体に風の魔力がまとわりつく。
砂が巻き上がり、彼は風そのものみたいに前線へ飛び込んだ。
「はやっ……!」
ジークが駆け抜けるたび、
アイアンリザードの首元や関節が裂け、血が噴き上がる。
見えない刃が通ったみたいに、巨体が次々と崩れ落ちていく。
(すごい……これがジークの本気か)
だが、戦場はそんな派手な動きだけじゃない。
すぐ横で、兵士の悲鳴が上がった。
「う、うわあああああッ!!」
振り返ると、
アイアンリザードの尾が兵士を横薙ぎにし、
鎧ごと胸を潰して地面に叩きつけていた。
鎧はひしゃげ、胸は不自然に凹んでいる。
兵士は血を吐きながら、震える手で地面を掴もうとしていた。
「た、助け……」
その声が途切れるより早く、
別のアイアンリザードが兵士に覆いかぶさった。
バキッ。
骨の砕ける音が、戦場の喧騒の中でもはっきり聞こえた。
(……クソッ!)
金属音、悲鳴、焦げた血の匂い。
戦場の熱気が肌にまとわりつき、息が苦しくなる。
俺は刀に炎を纏わせ、迫る一体へ斬りかかった。
「はぁッ!!」
炎が軌跡を描き、鉄の鱗が焼け落ちる。
アイアンリザードが悲鳴を上げて倒れた。
だが、倒しても倒しても終わらない。
一体倒す間に、別の一体が兵士へ襲いかかる。
仲間の叫びが背中に突き刺さる。
「助けてくれ!!」
「うわあああああッ!!」
「いや、やめ──!」
血が飛び散り、砂が赤く染まる。
息が荒くなる。
腕が重い。
視界が揺れる。
(……まだだ。まだ魔力は残っている)
背後から雷鳴が走った。
「タイチ! どけ!」
カレンが雷をまとった槍で突っ込み、
数体のアイアンリザードをまとめて貫いた。
雷光が弾け、巨体が黒焦げになって倒れる。
焦げた肉の匂いが風に乗って広がった。
それでも、まだ数体が残っていた。
ジークが肩で息をしながら叫ぶ。
「タイチ! あと少しだ、押し切るぞ!!」
「わかってる!!」
俺たちは最後の力を振り絞り、
残ったアイアンリザードへ突っ込んだ。
刀が鱗を裂き、
風が血を散らし、
雷が骨を焼く。
どれほど時間が経ったのか分からない。
気づけば、
地面に倒れた魔物の巨体から、
ゆっくりと煙が上がっていた。
「……よし、第二波は……これで終わりだ……!」
カレンが槍を下ろし、荒い息を吐く。
戦場に残った魔物が沈黙し、
ようやく地響きが止まった。
俺たちはその場に立ち尽くし、
汗と血にまみれたまま、しばらく動けなかった。
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【アイアンリザードを討伐しました】
【レベルが25→30に上がりました】
【フレイムスラッシュ→焔刃抜刀にランクアップしました】
(結構レベル上がったな……
しかもスキルに焔刃抜刀か……抜刀術だろうか?
どこかで試してみるしかないな……)
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外壁の内側へ戻ると、
兵士も冒険者も疲労で膝をつき、治療班が走り回っていた。
特に城壁でロックバードを相手にしていた第四小隊は、
血と羽根と悲鳴が混ざった地獄のような有様だった。
ジークがセリウスに声をかける。
「おい、そっちはどうだ?」
セリウスは苛立った顔で答えた。
「なんとか第二波は抑えたが……
近衛兵が壊滅状態だ。
それにうちの新人が重症を負って、医療班に運ばれた」
ジークが顔をしかめる。
「そっちもか……
こっちも死者、重症者が多い。
なんか変だと思わないか?」
「ああ……魔物があまりにも統率が取れすぎている。
まるで……誰かの命令に従ってるみたいだ……」
その時だった。
「急報!!」
伝令が血相を変えて駆け込んできた。
「ワーウルフの大群が出現、南門が突破されました!
防衛していた第三部隊並びに第五部隊は全滅!
死者、重症者多数!
本部より北門から援軍を行かせろとの命令です!!」
ジークが叫ぶ。
「ワーウルフだと!?
なんでそんな高ランクモンスターが大群で出現すんだよ!」
セリウスが怒鳴り返す。
「馬鹿言ってんな! こっちだってギリギリだ!
第3波が来たらどうすんだよ!」
伝令は震えながら続ける。
「ですが……ワーウルフは地下避難区域に侵攻中で……」
「なんだと! よりによってなんで避難区域なんかに……」
地下避難区域――
アリスがいる場所だ。
胸が一気に熱くなる。
「……俺、行きます」
セリウスが目を見開く。
「第一部隊の新人だろ? お前が一人行ったところで何の……
って……まさか、あの炎……お前が?」
カレンが短く言う。
「わかった。
お前が抜けた穴は私とジークで埋める。
行ってこい……アリスを必ず助けろ」
ジークが舌打ちしながらも、笑った。
「ちっ……しゃーねぇ!
アリスを頼んだぞ……
お前の婚約者、救ってこいや……」
「ちょっと待て、婚約はしてない……!」
「うるせぇ! 責任取ってこいよ!
ただ死ぬんじゃねぇぞ!」
「……ああ。わかった。行ってくる」
地下避難区域へ向かって駆け出した。
地下へ向かう道は、
すでに血と悲鳴の匂いが漂っていた。
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【スキルボード:タイチ・クロサワ 17歳】
LV:30
HP:302
MP:308
魔法適性
・火魔法 A+
固有スキル
・焔神の加護
・アイテムボックス
剣術
・焔刃抜刀
魔法
・フレイムランス
・フレイムチェイン
・ヘルフレイム
・ディバインインフェルノ




