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転生したら焔神の加護が危険だと追放された俺、軍事国家で最強の戦力として成り上がる  作者: YUJIN


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第23話 緊急招集

 訓練場から駆け足で兵舎へ向かう。

 警報は鳴り止まず、兵士たちが武器を手に走り抜けていく。

 空気が一気に戦場のそれへと変わっていた。


 兵舎の会議室に入ると、デイビッドが地図を広げて待っていた。


「来たか。座れ」


 俺たちは席につく。

 デイビッドの表情は険しく、緊張が伝わってくる。


「王都より緊急招集だ。

 北方の鉱山から魔物の大群が発生し、王都へ向かって進行中だ」


 アリスが息を呑む。


「大群って……どれくらいなんですか?」


 デイビッドは報告書を指で叩いた。


「数までは把握できていない。

 ただ、ロックバードとアイアンリザードの大群が真っ直ぐ王都に向かっているらしい」


 カレンが眉をひそめる。


「……災害級の可能性が高いな」


 ジークが舌打ちした。


「ったく、休暇明けからこれかよ。

 で、俺たちはどこに回されるんだ?」


 デイビッドは短く答える。


「第一小隊は王都外壁前の防衛線だ。

 そして──今回は第四小隊との共同作戦となる」


 ジークの顔が露骨に歪む。


「ちっ……あいつらかよ」


 アリスが首を傾げる。


「ジーク、なんかあったの?」


「弓兵小隊のくせに、ただ後ろから撃ってるだけなのにやたら偉そうなんだよ。

 前に一緒になった時なんか──」


 カレンが冷たく言う。


「……また揉めるなよ」


「向こうが絡んでこなきゃな」


 俺はその会話を聞きながら、胸の奥がざわついた。

 第四小隊──綾花が所属している部隊だ。


 デイビッドが立ち上がる。


「準備でき次第、出発だ。

 武器の点検、装備の確認を済ませろ。

 王都へ向かうぞ!」


 ---------------------------------------------


 駐屯地の馬車置き場は、すでに混乱していた。

 兵士だけでなく、冒険者ギルドの腕章をつけた者たちも集まっている。


 アリスが驚いたように言う。


「冒険者さんたちも……前線に出るの?」


 カレンが頷く。


「緊急招集令が出たんだ。冒険者にも声がかかったんだろう。

 この規模じゃ軍だけでは足りない」


 ジークが馬車に乗り込みながらぼやく。


「はぁ……冒険者まで動員されるってことは相当やばいな」


 俺たちは馬車に乗り込み、王都へ向けて出発した。


 馬車は揺れ、外では兵士や冒険者の列が続いている。


 アリスが窓の外を見て、小さく息を呑んだ。


「……見て。空……」


 空には黒い影がいくつも旋回していた。

 ロックバードの大群だ。

 その影が太陽を遮り、地面に不気味な影を落とす。


 ジークが顔をしかめる。


「うわ……あれ全部ロックバードかよ。

 あんな数、初めて見たぞ」


 カレンが低く言う。


「地上もだ。見ろ」


 馬車の進む道の脇には、巨大な爪痕と地面を抉った跡が続いていた。

 アイアンリザードの群れが通った痕跡だ。


 アリスが震える声で言う。


「……こんなの……王都、大丈夫なのかな……?」


 カレンが短く答える。


「急がなければ間に合わないかもしれん」


 ジークが肩をすくめる。


「だから第四小隊と共同作戦なのか……

 あいつらがロックバード相手すんのか。大丈夫かよ……」


 ジークがふとアリスの腰元を見て眉を上げた。


「ん? アリス、その大事そうにしてる短剣……どしたんだ?」


 アリスは少し驚いたように懐刀を押さえた。


「あ、これ……タイチくんが……私にプレゼントしてくれたの」


 ジークの目が一瞬で見開かれる。


「……は? タイチ、お前……

 この国で男が女に護身用の短剣を贈るってどういう意味かわかってんのか?」


「え……?」


 俺は思わず固まった。


 カレンがニヤァ……と口元を緩める。


「タイチ、知らないで渡してたのか?

 てっきり私はそのつもりかと思ってたぞ?」


 アリスは頬を赤くしながら、でも嬉しそうに懐刀を撫でた。


「わ、私……すごく嬉しかったよ……

 だって、なんかあった時のためにって……私のこと考えてくれたんだもん……」


 ジークは頭をかきながらため息をつく。


「いや、別に悪いとは言わねぇけどよ……

 護身用短剣を贈るってのは()()()()()()()()()()って意味なんだよ、この国じゃ」


「……は?」


 カレンが追い打ちをかける。


「つまりだな……

 ()()()()()()()()()って宣言したのと同じだ」


 アリスの耳まで真っ赤になる。


「そ、そんな……でも……

 タイチくんなら……別に……その……いいよ?」


 ジークが肩をすくめる。


「まぁ……二人がいいならいいけどよ。

 俺は知らねぇぞ? 責任取れよ?

 知りませんでしたじゃ済まされないぜ」


「責任ってなんだよ……!」


「そのまんまだよ」


 馬車の中に微妙な沈黙が流れ、

 アリスは懐刀を大事そうに抱えたまま、ちらりと俺を見て微笑んだ。


 胸が少しだけ熱くなる。


 馬車は揺れながら王都へ向かって進んでいく。

 空にはロックバードの影。

 地上にはアイアンリザードの足跡。

 緊張と、どこか気恥ずかしい空気が混ざり合っていた。

 

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