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転生したら焔神の加護が危険だと追放された俺、軍事国家で最強の戦力として成り上がる  作者: YUJIN


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第22話 制御訓練

 数日後。

 休暇明けの訓練場は薄い朝靄が漂い、空気がひんやりとしていた。


 アリスとカレンがすでに立っていた。

 アリスは柔らかい笑顔、カレンは腕を組み、鋭い目でこちらを見ている。


「タイチくん、おはよう。

 今日から本格的に加護の制御訓練だよ」


 カレンが短く続ける。


「前回の任務でのお前の加護は……暴走に近かった。

 あれでは仲間も自分も危険にさらす。

 今日は“戦闘中に部分的に加護を使う”訓練だ」


 アリスが補足する。


「加護はね、怒り・恐怖・悲しみ……

 強い感情に反応して暴れちゃうの。

 だから、戦いながら平常心を保つのが大事なんだよ」


 俺は深く息を吸った。


「……わかった」


 カレンが木槍を構え、低く言う。


「それじゃあ……まずは私と模擬戦だ。剣を構えろ」


 その瞬間、空気がピリッと震えた。


「ライデン――力を貸せ」


 青白い雷が槍に絡みつき、木槍とは思えない殺気を放つ。


 アリスが声をかける。


「タイチくん、加護は全部じゃなくて“必要な部分だけ”ね。

 手足だけ、視覚だけ……そういう使い方を覚えるんだよ」


 カレンが地面を蹴った。


「行くぞ!」


 雷光が走る。

 踏み込みは、目で追えないほど速い。


(速い……!)


 俺は反射的に焔神の加護を右腕だけに集中させた。


 赤黒い炎が右腕にまとわりつく。


 ガンッ!!


 槍と腕がぶつかり、火花と雷が散った。


 カレンが目を細める。


「よし……部分使用、できてるじゃないか」


「まだ……ぎこちないけどな!」


 俺は炎を足に集中させ、一気に踏み込む。


 地面が焦げ、爆発的な加速。


 カレンは槍を回転させて受け流す。


「悪くない……けど詰めが甘い!」


 雷が槍から迸り、俺の炎を切り裂く。


(ちっ……!)


 アリスの声が飛ぶ。


「タイチくん、イライラしない!

 炎が暴れ始めてるよ!」


 胸の奥で炎が膨れ上がる。


(危ねぇ……!)


 俺は咄嗟に炎を抑え込んだ。


 カレンが槍を下ろし、アリスが水を差し出す。


「感覚は掴めてきたな。……一旦休憩だ」


 アリスが笑う。


「タイチくん、飲み込み早いからすぐ上手くなるよ!」


 その時――


「先輩、カレンさん!! 納品に来ましたーー!!」


 訓練場の門の方から、聞き慣れた声が響いた。


 砂埃を上げながら走ってくるのは、鍛治工房《風林火山》のカズヤだった。


 肩には長い包み、腰には小さな箱。

 息を切らしながら駆け寄ってくる。


「はぁ……はぁ……!

 頼まれてた物、全部完成しました!!」


 カレンの目がわずかに輝く。


「……槍ができたのか?」


「はい! さっき完成したので、すぐ届けに来ました!」


 カズヤは長い包みを差し出す。


 カレンが包みを開くと――

 銀青色の槍身に、雷の紋様が刻まれた美しい槍が現れた。


 カレンの瞳が揺れる。


「……これは……すごい」


「カレンさんの要望通り!

 軽くて、速くて、雷の魔力が乗りやすいように調整しました!」


 カレンは珍しく、ほんの少しだけ口元を緩めた。


「……軽い。

 ここまでの完成度は初めてだ」


 カズヤは次に俺へ向き直る。


「先輩の刀も、しっかり手入れしておきました!

 切れ味は前より増してます!」


「ありがとう……助かる」


 そして――

 カズヤは小さな箱をアリスへ差し出した。


「で、これが……先輩からアリスさんへの贈り物です!」


 アリスが目を瞬かせる。


「え……私?

 タイチくんから?」


 俺は少しだけ視線をそらした。


「……頼んでおいたんだ。

 工房で気に入ってたみたいだから」


 アリスが箱を開けると――

 赤い鞘の懐刀が現れた。

 柄には赤い宝石が埋め込まれている。


 アリスの目が大きく見開かれた。


「……これ……すごく綺麗……」


 カズヤが胸を張る。


「アリスさんの魔力に合わせて、

 光属性の魔力を纏えるように調整してあります!

 護身用としては最高ですよ!」


 アリスは懐刀を胸に抱きしめ、俺を見上げた。


「タイチくん……ありがとう……

 酒場の話……本気で考えてくれてたんだ……

 本当に……嬉しい……」


 頬がほんのり赤い。


 カレンが横目でぼそっと言う。


「……なるほど。タイチはアリスのことをそう思っていたのか……まぁ頑張れよ」


「ど……どういう意味だ……?」


「……いや、独り言だ」


「だからどういう意味だよ!」


 ------------------------------------------------


 休憩が終わり、カレンが新しい槍を構える。


「よし。

 次は……この槍で相手をしてやる」


「俺で試し斬りかよ……」


 雷が槍に走り、空気が震える。


 俺は深呼吸し、炎を部分的に流す。


 右腕、左足、視覚――

 必要な部分だけに炎を灯す。


 アリスが微笑む。


「……いいよ、その感じ。

 今のタイチくん、すごく安定してる」


 カレンが踏み込む。


 雷光が地面を裂き、一直線に迫る。


 俺も踏み込む。


 炎と雷がぶつかる。


 バチィィィンッ!!


 衝撃で砂が舞い、訓練場に爆風が走る。


 互いの力が拮抗し、火花が散る。


 カレンが低く呟く。


「……制御が上手くなったじゃないか。

 これなら――」


 その瞬間、俺の炎が一瞬だけ暴れた。


(まずい――!)


 アリスが叫ぶ。


「タイチくん、落ち着いて!!」


 俺は歯を食いしばり、炎を胸の奥へ押し戻す。


 赤黒い炎が静まり、制御が戻る。


 カレンが槍を下ろした。


「……よく抑えたな。

 暴走寸前から戻せたのは大きい」


 アリスも駆け寄る。


「タイチくん、すごいよ!

 今日だけでこんなに成長するなんて……!」


 俺は肩で息をしながら言った。


「……まだまだだな」


 カレンが珍しく微笑む。


「だが、確実に強くなっている。

 次の任務では……期待しているぞ」


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 訓練が終わる頃、

 空に巨大な鳥型魔獣の群れが飛び去っていくのが見えた。


 アリスが眉をひそめる。


「……あれ、王都の方に向かってない?」


 カレンも空を見上げる。


「ああ……しかも群れでだ」


 その瞬間、駐屯地の警報が鳴り響いた。


 ――緊急招集。


 兵士たちが一斉に走り出す。


 デイビットの声が響く。


「第一小隊、至急集合!

 王都より緊急要請だ!」


 俺たちは顔を見合わせた。


 カレンが槍を握り直す。


「……行くぞ、タイチ」


 アリスが頷く。


「今度は……無茶しちゃダメだよ?」


 俺は深く息を吸った。


「……ああ。行こう」


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