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転生したら焔神の加護が危険だと追放された俺、軍事国家で最強の戦力として成り上がる  作者: YUJIN


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第21話 仲間と酒場

 夕暮れの酒場は、外からでも分かるほど賑やかだった。

 扉を開けた瞬間、酒と焼いた肉の香り、笑い声が一気に押し寄せてくる。


 俺たちは空いている席に座り、飲み物を頼んだ。


 周囲の冒険者たちの会話が自然と耳に入ってくる。


「なぁ聞いたか?

 うちのギルドにいた()()()()が、盗賊のアジトを一人で焼き払ったらしいぞ」


「マジかよ。あの一匹狼だろ?

 すげーな! 自分のことのように嬉しいぜ!」


「お前、面識ないだろ」


「関係ねぇよ! 同じギルドだったってだけで誇らしいんだよ!」


 別のテーブルからも声が上がる。


「帝国軍も安泰だな。

 銀髪の弓使いと、獄炎の狼が入ったんだろ?」


「前線が強化されすぎて笑うわ」


 アリスが俺の方を向く。


「……獄炎の狼ってタイチくんのこと?」


「そうらしい」


「二つ名があるなんてすごいな!

 かっこいいじゃん!」


「そうか?」


 カレンは酒を一口飲んで、短く言った。


「……まぁ悪くないと思うぞ」


 アリスがグラスを置き、少し照れたように笑う。


「ねぇ……二人はなんで軍に入ったの?」


 カレンが先に答えた。


「私は……親が元々、帝国軍人だった。

 物心ついた時から武器が身近にあったし、

 軍に入るのは自然な流れだったな」


 アリスは頷き、胸に手を当てる。


「私はね……親がこの国の貴族なんだけど、末端貴族でさ……

 私は末っ子だから家を継ぐ必要もないし……

 私が軍で手柄を上げれば、少しは家族を楽にしてあげられるかなって……」


 アリスらしい、優しい理由だった。


 そして二人の視線が俺に向く。


「タイチくんは?」


 俺は少しだけ息を吸った。


「……ソルディアで、別の世界から転生されてこっちに来たんだ」


 アリスが目を丸くし、カレンは静かに俺を見つめる。


「タイチくんって……転生者だったの……?」


「ああ。

 それで焔神の加護が危険だって言われて……

 何も持たされずに荒野に放り出された。

 あとは命懸けで魔物と戦って……今に至るって感じかな」


 言葉にすると、胸の奥が少しだけ痛む。


 その時、アリスが俺の袖をそっとつまんだ。


「……タイチくん……かわいそう……」


 頬は赤く、目は潤んでいる。

 完全に酔っている。


「アリス、大丈夫か?」


「だいじょーぶ……でもね……

 タイチくんは……ひとりじゃないよ……?」


 アリスはそのまま俺の肩にもたれかかる。


「私がいるし……カレンさんもいるし……みんないるよ?

 だから……ね……

 あとね……タイチくんがね……

 軍で手柄上げて領地とかもらったらね……

 私……タイチくんのお嫁さんにしてもらおうかな……?

 えへへ……なんちゃって……」


 甘えた声で、距離が近い。

 普段のアリスからは想像できないほど素直だった。


 一方カレンは、酒を飲みながら静かに言った。


「……アリスは甘え上戸だな。

 羨ましいくらいだ」


「カレンは酔ってないのか?」


「私は……少しだけだ」


 そう言いながらも、いつもより表情が柔らかい。

 目もどこかとろんとしている。


「タイチ」


「ん?」


「……お前が追い出されたのは過去の話だ。

 だが……今は違う。

 ……私たちがいる。

 お前の居場所はここだ」


 普段なら絶対に言わないような、

 まっすぐな言葉だった。


「カレン……」


「勘違いするな。

 酔ってるだけだ」


 そう言いながら、耳が赤い。


 酒場の喧騒の中で、

 二人の言葉だけがやけに鮮明に響いた。


 ――今まで一人だった俺が、今は仲間と笑っている。


 追放され、仲間を作るのに怯えていた俺はずっと孤独だった。

 だが今は違う。


 デイビット。

 ジーク。

 アリス。

 カレン。


 この仲間たちがいる。


 失ったはずの居場所は、ここにあった。


 そう思えた瞬間、

 胸の奥で何かが静かに灯った。

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