第2話 ホーンラビット討伐
追放され、荒野を彷徨い続けた末ーー
ようやく辿り着いた森の入口で、俺は足を止めた。
昼間なのに薄暗く、奥からは獣の鳴き声が響いてくる。
装備も何も持たされず、この身ひとつで森に入れってか。
「……はぁ」
深いため息が漏れた。
昨日まで同じ職場で働いていた仲間たちは、
俺の言葉を最後まで聞こうともしなかった。
初対面の司祭の言葉だけを信じ、怯え、拒絶した。
あの光景が、まだ頭から離れない。
拳を握りしめ、悔しさを押し殺す。
「馬鹿馬鹿しい……邪神なんているわけないだろ」
自嘲気味に呟き、頬を抓る。
鋭い痛みが走った。
「……夢じゃないのか」
ふと、スキルボードの存在を思い出す。
「そういえば、ちゃんと確認してなかったな。
今の俺がどんな状態なのか……見ておくか」
深呼吸し、手をかざす。
「スキルボード、オープン」
淡い光が視界に広がり、文字が浮かび上がった。
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【スキルボード:タイチ・クロサワ 17歳】
LV:1
HP:12
MP:18
適性:火魔法 A
固有スキル
・焔神の加護
魔法
・ファイヤーボール
・ファイヤーバインド
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「……弱ぇ……。
てか、邪神じゃなくて焔神の加護じゃねぇか。
あのクソ司祭……よくも邪神扱いしやがったな」
怒りが込み上げるが、今は生き残る方が先だ。
「まぁ……レベルを上げれば……なんとかなるか」
そう呟いた瞬間ーー
草むらが揺れ、白い影が飛び出した。
額に小さな角を持つウサギの魔物。
「つ……角の生えたうさぎ……!?」
ウサギの魔物が地面を蹴った瞬間、一直線に突っ込んでくる。
俺はギリギリで横に飛び退いた。
「あっ……あぶねぇ……!」
何度も突っ込んでくる魔物を、必死でかわし続ける。
だが、逃げてばかりでは状況は変わらない。
「……やるしかねぇ!」
震える手を前に突き出す。
「ファイヤーボール!」
魔法陣が展開され、炎の球体が形を成す。
だが歪んでいる。
(もっと集中しろ……!)
歯を食いしばり、丸い球体をイメージする。
「いけぇぇぇッ!」
放たれた火球がウサギの魔物に直撃した。
「キュッ……!」
燃え落ちる魔獣。
その瞬間、視界に文字が浮かぶ。
【ホーンラビットを討伐しました】
【レベルが1→2に上がりました】
「ホーンラビットって言うのか……
レベルも……上がった……!」
胸の奥が熱くなる。
【固有スキル:アイテムボックスを会得しました】
「アイテムボックス……?」
説明文を読む。
【異空間にあらゆる物を収納できる魔法】
「なんでも収納……すげぇな。
試してみるか」
亡骸に手をかざす。
「アイテムボックス」
ホーンラビットが光に包まれ、吸い込まれていく。
「……本当に入った……」
しばらく呆然と立ち尽くし、ゆっくり息を吐いた。
森の奥を見つめる。
「行くか。ここから……俺の新しい人生が始まる」
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【スキルボード:タイチ・クロサワ】
LV:2
HP:22
MP:28
適性:火魔法 A
固有スキル
・焔神の加護
・アイテムボックス
魔法
・ファイヤーボール
・ファイヤーバインド




