表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したら焔神の加護が危険だと追放された俺、軍事国家で最強の戦力として成り上がる  作者: YUJIN


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

17/46

第17話 加護の目覚め

 翌朝。

 会議室に入ると、デイビットがすでに地図を広げていた。


「タイチ。昨日からお前は第一小隊の一員になったわけだ」


 その言葉に、自然と背筋が伸びる。


 デイビットは地図の一点を指で叩いた。


「初任務だ。盗賊討伐の依頼が入った」


 盗賊――

 魔物ではなく、人間。


 胸の奥がざわつく。


「村からの救援要請だ。

 北の山奥にアジトがある。

 人数は三十。村を襲い、女や子どもを誘拐しているらしい。

 国民を守るのも我々の仕事だ。放置はできん」


 ジークが腕を組んだまま言う。


「三十人か。まぁ余裕だな。タイチでも死なねぇだろ」


 アリスがジークの脇腹を肘でつつく。


「もう……そういう言い方はやめなさいってば」


 カレンは無言で槍を磨いている。


 デイビットが続けた。


「今回の任務は――タイチ、カレン、アリスの三人で行ってもらう」


「えっ……三人で……三十人を?」


 思わず声が漏れた。


 だがデイビットは首を横に振る。


「いや。

 盗賊はタイチ、お前一人でやれ。

 アリスとカレンは攫われた村人の救出だ」


「……俺、一人で……三十人を?」


 声が震えた。


 デイビットは淡々と告げる。


「盗賊は誰一人として逃すな。皆殺しにしろとの命令だ。

 第一小隊の仕事はこういう()()()()()()が多い。

 今のうちに慣れておけ」


 心臓が跳ねた。


(……俺一人で三十人も殺すのか……

 相手は魔物じゃない……人間だ)


 ジークが口を開く。


「俺とデイビットは別任務だ。

 任務が終わったら確認のためにそっちへ向かう。

 お前は――アリスとカレンを死なせるなよ。

 お前が迷えば……仲間も、力のない村人も死ぬ」


 その言葉が、胸に重くのしかかった。


 アリスが優しく笑う。


「大丈夫よタイチくん。私たちがついてるから」


 カレンは短く言った。


「アリスは私が守る。

 お前は戦いに集中しろ」


 デイビットが締める。


「今から三人で出発しろ。

 タイチ――これはお前の初めての人間相手の戦いだ。

 覚悟を決めろ。さもなければ死ぬぞ」


「……了解」


 ------------------------------------------------


 街を離れ、山道へ入る。

 空気が冷たく、木々が生い茂っていた。


 アリスが歩きながら話しかけてくる。


「タイチくん、緊張してる?」


「……うん……少しね」


「少しじゃない顔してるよ?」


 図星だった。


 カレンが前を歩きながら言う。


「対人戦は魔物とは違う。

 人の命を奪うんだ……恐怖を感じるのは普通だ」


 俺は口を開いた。


「……俺はずっとソロで冒険者をやってきたんだ」


 アリスが驚いた顔をする。


「えっ、一人で? ずっと?」


「……ああ。

 誰かと組むのが怖かった。

 裏切られるのも……失うのも……」


 言葉にした瞬間、胸が痛んだ。


 カレンは振り返らずに言う。


「……だからこそ、今は組むことを学べ。

 誰かのために戦うことは、強くなるために必要だ」


 アリスは優しく微笑んだ。


「一人で戦ってきたのはすごいことだよ。

 でも――私たちは裏切らないから。

 隊長もジークも、あんな感じに見えて仲間思いだよ。

 タイチくんに死んでほしくないから厳しくしてるんだよ」


 その言葉が胸に染みた。


 -----------------------------------------------


 日が沈み、俺たちは焚き火を囲んで野営することにした。


 焚き火の明かりが揺れる中、アリスが俺の隣に座る。


「タイチくん。

 一度、スキルボード見せてもらってもいい?」


 少し迷ったが、頷く。


「……構わないよ」


 手をかざすと、青白い光が浮かび上がり、スキルボードが展開される。


 アリスの目が大きく見開かれた。


「えっ……タイチくん……

 焔神の加護を持ってるの?

 神様の加護持ってるなんてすごいよ!」


 カレンも覗き込み、眉をわずかに上げる。


「神の加護を持つ人間は、この国でも数人しかいない……」


 アリスは興奮気味に言う。


「すごいよタイチくん!

 神の加護って、加護の中でもトップクラスに強いんだよ……!」


 俺は困ったように視線を落とした。


「……でも、俺……

 加護の使い方が分からないんだ」


 カレンが静かに言う。


「加護を使わずにあれだけ戦っていたのか……

 それは逆にすごいことだ」


 アリスが俺の手をそっと握る。


「タイチくん。

 加護は、生まれた時に刻まれた神や精霊の力。

 普段は眠っているけど、意識を向ければ応えてくれるの。

 やってみるから見ててね」


 アリスは静かに目を閉じ、胸前で手を組む。

 白い魔力がふわりと体を包み込んだ。


「……これが、加護……」


 思わず息を呑んだ。


 カレンが前に立つ。


「タイチ。お前もやってみろ」


「え……今?」


「ああ。

 加護は使えば使うほど体に馴染む。

 明日の戦闘で使えるようにしておけ」


 アリスが補足する。


「深呼吸して。

 自分の中に眠っている力を呼び起こして……

 体全体に巡らせるの」


 俺はゆっくり息を吸い、吐いた。


 胸の奥に、温かい何かが灯る。

 赤色の魔力が発光し、体を包んでいく。


 アリスが微笑む。


「上手!

 それが加護だよ。

 どう? 何か変わった感じしない?」


「……すごい……

 体の底から力が湧いてくる……」


 カレンが小さく笑った。


「初めてなら驚くだろう。私もそうだった。

 どんな力なのかは、明日自分の目で確かめろ。

 今日はもう寝るぞ」


 俺たちは明日に備えて眠りについた。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ