第13話 配属試験
俺は軍の駐屯地へ向かっていた。
街の外れに広がる広大な敷地。
高い柵と見張り台、巡回する兵士たち。
冒険者ギルドとは違う、張り詰めた空気が漂っている。
門をくぐると、すでに多くの人間が集まっていた。
徴兵で呼び出された国民、冒険者、農民まで様々だ。
威勢のいい者もいれば、
周囲の空気に押されて萎縮している者もいる。
(……まあ、この雰囲気じゃ緊張するのも当然か)
まず俺は受付へ向かった。
「スキルボードの提示をお願いします」
言われた通りに見せると、受付員の目が大きく見開かれた。
「タイチ・クロサワさんですね。
レベル21で……火魔法適性がA+……!?
それに、焔神の加護……!
こんな逸材、初めて見ましたよ……」
驚きが隠せない様子だった。
受付員に案内され、俺は訓練場へ向かう。
「まずは配属試験を受けてもらいます。
ここでの結果で配属先が決まります。
会場はこちらです」
訓練場には、すでに多くの新兵が並んでいた。
教官が前に立ち、怒鳴るように声を張る。
「これから始めるのは実力を見極める試験だ!
魔物との戦闘、そして対人戦を行う!
ここでの結果で配属先が決まる!
気を引き締めて挑め!」
ざわめきが広がる。
「試験に合格した者は即日配属だ。
不合格の者は訓練生から始めてもらう!」
俺は列の後ろで静かに息を整えた。
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檻が開かれ、訓練用のゴブリンが数体放たれる。
(ゴブリンか……
この程度なら本気を出すまでもないな)
「次、前へ!」
俺の順番が回ってきた。
ゴブリンが地面を蹴り、一直線に突っ込んでくる。
(遅い……)
刀を抜き、攻撃を受け流す。
隙を見て次々と切り倒していく。
最後の一体が飛びかかってきた瞬間、
俺は一歩踏み込み、喉元を斬り裂いた。
ゴブリンはそのまま崩れ落ちる。
教官が目を細めた。
「……中々やるな。
流石は冒険者上がりと言ったところか。
良い動きだ。
次、模擬戦だ!
好きな訓練用の武器を取れ!」
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俺の前に立ったのは、引き締まった体をした男。
階級章を見る限り──上等兵。
「冒険者上がりか。
少しは楽しめそうだな……全力で行かせてもらう」
「……はい。俺も全力で行きます」
俺は訓練用の木剣を構えた。
開始の合図と同時に、上等兵が踏み込んでくる。
速い――
いや、速いだけじゃない。
木剣が横から来ると思った瞬間、
フェイントで下段に切り替わる。
「っ……!」
受けきれず、腕に浅い切り傷が走った。
上等兵が低く笑う。
「どうした、冒険者。
対人戦は初めてか?
魔物相手のようにはいかんだろう?」
(……確かに。
魔物より動きが読みづらい)
だが――
それでも負ける気はしない。
上等兵の木剣が再び迫る。
今度は受けずに、わずかに身体をずらす。
(……見えた)
三度目の踏み込み。
その瞬間、俺は木剣を振り抜いた。
刃が上等兵の喉元で止まる。
「……っ!」
上等兵が固まる。
教官が驚愕したように目を見開いた。
「そこまで!
新兵が上等兵相手にここまでやるとは……」
俺は息を整えながらスキルボードを確認した。
【レベルが21→23に上がりました】
(……対人戦でも経験値が入るのか。
上等兵ってだけあって、結構上がるな)
教官はしばらく黙っていたが、
やがて深く息を吐いた。
「……決まりだな。
タイチ、お前は合格だ。
お前が本気を出していないことくらい、動きを見ればわかる」
訓練場がざわつく。
「上等兵相手にあそこまで……」
「あれで本気じゃないのか……」
「そりゃ合格だろ……」
俺は静かに頷いた。
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【スキルボード:タイチ・クロサワ 17歳】
LV:23
HP:232
MP:238
魔法適性:火魔法 A+
固有スキル
・焔神の加護
・アイテムボックス
剣術
・フレイムスラッシュ
魔法
・フレイムランス
・フレイムチェイン
・ヘルフレイム




