とある休日の夢の話1
期末テストという地獄から解放された反動でとても深い眠りについていた。人間というのは本当に疲れている時に無意識に夢を見るものなのかも知れない。まぁー夢を見ようと思って見れるものでは無いので可笑しな話なのだが、見たくもない夢を見てしまった‥‥。とてもリアルなノンフィクションの自分のお話を‥‥。
あれは中学2年の夏、県大会出場を賭けたバスケ部の大事な試合の事だ。リーグ戦で上位2チームが決勝リーグに行ける条件だから、負ければ即終了って訳では無いが、勝てば1位通過が決まる試合でオレ達は劣勢だった。
既に県内では超有名選手だった親友の誠が徹底的にマークされ、なかなか得点出来ない状況が続き残り時間が少なくなっていた。
チームスポーツにおいて拮抗した試合では、やはり気持ちに余裕が無い奴がミスをするものだとオレは思っている。そしてミスをして自分を責めイラつく。これが負けているチームの負の連鎖の王道パターンだ。自分に自信のない奴程この傾向が特に強く、焦りが生まれミスをする。更にそれを周りにアタリ不協和音が生まれ敗北する。負ける時なんて大体こんな感じだ。
これは自論だがスポーツの試合はミスをするのは当たり前だし、ミスをしない為に練習をしているものだろう。よって極論を言ってしまえば、相手よりいかにミスを少なく試合をするかで勝敗が決まると言っても過言では無いと思う。
何が言いたいのか?というとオレたち神崎中は敵の作戦にまんまとハマリ、顧問を含めた誠とオレ以外の全員が殺伐とし苛立っていたのだ。
こうなった時点で、オレは負ける事を確信し特に自分でどうにかしようとも思わなかった。因みに、オレと誠以外のレギュラーメンバーは1つ年上の3年でオレとは特に仲が良い訳でも悪い訳でも無い。
残り1クオーターで10点差、逆転は不可能とまでは言わないがかなり厳しい状況である。はっきりいって何か手を打たなければ確実に負けるだろう‥‥。しかし、誰も諦めた気配は無い。それなのに貴重なタイムアウトの時間をミスに対する責任の擦り合いをしている実に愚かな先輩方だ。オレは心の底から呆れ返っていた。こういう状況でミスした奴に何を言っても無駄なのはよく分かっている。励ましの言葉も逆効果だろう‥‥。
オレ 「なぁー誠。お前勝ちたいか?」
誠 「当たり前だろ?キミは違うのか?」
オレ 「‥‥オレの目標は県大会優勝だからな。過程は気にしない。」
誠 「次の相手は今日より強い筈だが‥‥?」
オレ 「オーライ。じゃあ頼みがある。」
「オレにボール廻す様に進言してくれ。お前の話なら聴くだろ?」
誠 「‥‥本当にいいのかい?」
オレ 「あぁ‥‥。」
オレは今までの全試合特に目立った活躍をしてこなかった。正確に言えば見せ場という場面も無かったし、誠にボールを廻すだけで楽に試合に勝てていた為オレが目立つ様な必要は無かったのだ。無難にパスを廻して無難にシュートを決める。ただミスなく、そつなくプレーしていたのだ。
しかし今回、オレたちが逆転するには誠にボールが廻せない以上、他の奴が点を取る必要がある。その役をオレが買って出たのである。
おそらく、先輩方も何故アイツにボールを廻すんだ?と思っているだろう。しかし誠の発言力は大きいし信頼も高いので渋々オレにボールが集まった。ほぼノーマークなオレはボールを受けとると迷わずスリーを放つ。
シュッ! パサ!
シュッ! パサ!
シュッ! パサ!
3本連続でスリーが決まった所で周囲がざわつき始めた。開始5分であっと言う間に3点差になる。当然オレにマークが集中し始めたが関係ない。構わずスリーを放ち続け残り5分で逆転した。そこから1点差を何回か繰り返して残り1分を切った所でオレにボールが廻って来た。この攻撃を決めれば再び逆転に成功し、おそらく間違いなく勝てるだろう。相手が必死にオレにマークに付きシュートを撃たせない様にする。オレは一瞬の隙を突いてディフェンスを外し‥‥パスを出した。
‥‥
‥‥
完璧なパスだった。敵も味方さえも騙す完璧なパス。そしてどフリーになった先輩もそのパスに看取れてしまった。
そして相手ボールになり、そのまま試合が終わってオレ達は負けた。
そして試合終了後、敗者の名物とも言える罪の擦り合いと悪者探しが始まった。実に下らない時間だ。コイツらは大した実力も無いくせに全ての試合に勝たなきゃ気がすまないのか?この中でそれが許されるのは誠くらいなものだろう‥‥。勿論親友のイケメンはそんな事をする訳もなくどうにか場をまるく治めようと頑張っている。残念ながら勿論オレには興味が無いので沈黙を貫いていた。
そして何故か顧問に呼びだされた。
顧問 「‥‥何で最後にパスを出したんだ?」
オレ 「フリーの人にパスをするのに理由がありますか?」
顧問 「お前が撃てば入ったんじゃないのか?」
オレ 「入ったでしょうね。」
顧問 「何故だ?」
オレ 「‥‥」
そうか‥‥。コイツはオレのせいで負けた‥‥と言いたいらしい。
オレ 「オレのせいで負けたと?」
顧問 「そうは言っていない‥‥」
オレ 「分かりました。責任は取ります。」
その後、今度は誰も居ない場所でラストパスを見送った先輩「キャプテン」に呼びだされた。
心底うんざりし過ぎて何を言われたか記憶に無いがオレが気に入らないという言葉だけは覚えていた。
誠 「裕貴‥‥。大丈夫かい?」
オレ 「何がだ?別に殴られてないぞ。」
誠 「いや‥‥そうじゃなくて‥‥。」
オレ 「悪いな!誠‥‥。オレは2度とパスは出さない。」




