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書籍化決定!!したらS級美少女の先輩が通い妻になった  作者: アライコウ
第二部 妻になった先輩が迫りまくる夏休み

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5-2 真天先輩と冷やし中華と母の訪問

 ――そうしてノンストップで執筆に明け暮れた。

 キリのいいところまで進んだので、誤字脱字がないかチェック。二つ三つと発見したので修正していく。


「……よし、午前の仕事はこれで終了っと」


 椅子から立ち上がり、軽く伸びをする。

 いい具合にお腹が空いてきた。真天先輩、お昼ごはんは何を作ってくれたんだろう?

 そう思ったタイミングで、ドアの向こうから彼女の声がかかってきた。


「唯人くん、お昼ごはんができましたよ」

「はーい」


 食卓には、今年初めて見るものが並んでいた。


「冷やし中華ですか!」

「これでもっと涼しくなっていただこうと思いまして♪」


 黄色い麺の上にロースハム、キュウリ、トマト、卵といった色とりどりの具材が盛り付けられている。見ているだけで涼しい気分にさせられるな。

 俺と真天先輩は席に着き、揃っていただきますをした。


「……んんっ、美味い! 口の中がすごい爽やかになる!」

「うん、いい感じですね。冷やし中華は初めて作ったんですけど」


 麺と具材をバランス良く食べていく。特に薄焼き卵のほどよい甘さが素晴らしい。


「なんか冷やし中華って簡単な料理みたいに言われることありますけど、そんなこともないですよね。具材を綺麗に細切りにするのとか。盛り付けも適当じゃ見栄え良くならないし。あと麺の硬さとか……俺がやったらだらしなくなりそうだ」

「それでも手間はかからないほうだと思いますよ。たまにはこういうのでもいいですか?」

「もちろんです。いつも気合い入れて料理するのじゃ疲れるでしょ」


 楽しい昼食はやがて終わった。

 俺はそのままテーブルの前でお腹を落ち着かせて、真天先輩は洗い物をする。彼女は手を動かしながら聞いてきた。


「ところで唯人くん、残りの夏休みのことなんですけど……あとはずっと小説の執筆ですか?」


 む、これはもしかしなくても。


「いや、ちょっとは外に出ようとは思ってますよ。真天先輩とデートしたいです」

「よかった! 夏休みの終わり頃に記念公園で花火大会があるんですけど、それに行きたいなって」


 スマホでチェックすると、確かに近くの国営記念公園で花火大会の開催が予定されている。


「記念公園の花火、子供の頃に両親に連れられて見に行った記憶がありますよ。もう十年くらい前か」

「わたしも同じです。……ふふっ、ラブコメでは定番ですよね。夏休みに花火を見に行くのって。それがきっかけで距離が縮まるっていうのが多いですが」


 俺と真天先輩は、もうこれ以上ないほど縮まっている。

 ……いや、まだ縮まる余地はあるのだろうけど、口に出しては言うまい。


「それでですね、わたしは当日浴衣を着ていこうかなって」

「っ……! 真天先輩の浴衣?」

「だからぜひお揃いでと思うんですが、唯人くんは持ってますか?」

「あいにく持ってないです。……でも実家に父さんのがあるかも?」


 新しく買ってもいいんだけど、なるべくお金は節約したいからな。

 メッセージで聞いてみると、すぐに母さんから返事があった。


【お父さんのがあります。もう何年も着ていないし唯人にあげるというので、今からそちらに持っていきます。】


 約三十分後、母さんがやってきた。


「こんにちは真天さん! 元気? 暑さにやられてない?」

「大丈夫ですお義母様。お気遣いありがとうございます」

「これお土産のりんご! フルーツはあまり食べてないだろうと思って」

「わあ、ありがとうございます。三時のおやつにいただきますね」


 俺というより真天先輩に会いに来たって感じだ。気持ちはわかるけど。


「母さん、浴衣はその紙袋?」

「ずーっと仕舞い込んでたけど、綺麗だと思うわ」


 取り出されたのはオーソドックスな紺色の浴衣だった。白い帯も付いている。父さんがこれを着たことがあるのをおぼろげながら思い出した。


「お父さんと唯人は体格がほとんど同じだから、たぶんそのまま着られるでしょ。……もしかして一緒に花火大会に行くの?」

「そうなんです。初めての浴衣デートをしたくて♪」


 真天先輩も浴衣を見てテンションを上げていた。


「くうっ、いいわね青春ね。唯人、ちゃんとカッコよく着られるように練習しておきなさいよ。当日初めて着るんじゃなくて」

「わ、わかってるよ」

「真天さん、浴衣姿はぜひ写真で送ってね! それじゃ、また来るから」


 用事を済ませた母さんはさっさと帰っていった。


「りんごの差し入れ、よかったですね。あとでお出ししますから」

「母さん、また来るとか言ってたな……差し入れはありがたいけど」


 俺たちの仲をからかうようなことはちょっと困る。真天先輩はそれが楽しいみたいだけど。


「唯人くんの浴衣姿、早く見てみたいですけど当日まで我慢します。わたしの浴衣姿も、どんなのか想像しててくださいね」

「は、はい。期待してます」


 浴衣を部屋に運び込むと、俺は午後の執筆を開始した。

 油断すると真天先輩の浴衣姿をあれこれイメージしてしまい、執筆速度は午前と比べて少し落ちてしまった。

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