3-2 真天先輩とたくさんの動物
「唯人くん、まずは何を見ましょうか?」
ワクワク顔の真天先輩と一緒に、入場してすぐのところにあった案内板を見る。
「猛獣エリアは……奥のほうみたいですね。まあ道なりに見ていきましょうか」
「一番近くはフラミンゴです! とっても綺麗なんですよ」
さっそくそこへ向かってみると、鮮やかなピンク色の体をした鳥たちが群れを成していた。
「うわっ、マジでドピンクですね……なんであんな色なんですか?」
「解説がありますね。餌に含まれるカロテノイド色素によるものだって。だから生まれたてだと白いみたいですよ」
「そういう仕組み、異世界ファンタジーでも活かせそうだ。そうだ、写真をSNSにアップしよう」
仲良さそうに向かい合っているフラミンゴをスマホで撮影する。
《小学生以来の動物園に来ています。フラミンゴすごいピンク色!》
テキストを添えて、送信っと。
少しすれば、リプライやいいねで反応があるだろう。
「ねえ、狩谷さん! わたしと唯人くんのツーショット、撮ってくれませんか?」
「私もそう提案しようと思っていたところでした。我和様、スマホをお貸しくださいますか」
「あ、はい。お願いします」
狩谷さんにスマホを渡した。他の人は俺たちに遠慮して離れてくれている。
「はい、チーズ」
ギュッと恋人繋ぎしたままで、もう片方の手でピースサインしている写真を撮ってもらった。
「どれどれ……うん、いい写真です! わたしのスマホにも送ってください」
「これはSNSにはアップできないですよね」
「ええ。でも……いつかわたしたちの関係を明かせる日が来たら、一斉放出しちゃいましょうか」
「……いつになるかな」
「早ければ早いほどいいです♪」
俺たちはそれからも、様々な動物を見ていった。
レッサーパンダ、チンパンジー、キリン、カバなどなど。
俺は童心に返ったように、彼らの姿に感動していた。
「レッサーパンダって、一昔前にすごいブームになったって聞いたことありますけど、あの可愛さは納得ですよ」
「人間みたいに直立する姿がマスコミに取り上げられたそうですね。お父様とお母様も、その頃にこの動物園に来たって言ってました」
「チンパンジー、手だけであんなに身軽にひょいひょい移動してすごいなあ!」
「握力が人間よりもずっと強いそうですよ。森の生活に適してるんですね」
「キリンってなんであんなに首が長いんですか?」
「高い木の葉を食べるため、なんて言われてるみたいですね。あと首が長い方が、遠くの敵を早く見つけることができて有利だったとか」
「真天先輩、知ってました? カバって、実は地上最強の生物とか言われてるらしいですよ!」
「ふふっ、唯人くんってやっぱり男の子なんですね。最強ってワードに惹かれるんですか。デビュー作で書いたくらいですもんね」
いろんな動物の前で、俺と真天先輩は貴重な写真をたくさん収めていく。狩谷さんがいなければ、見知らぬ人にお願いしないといけなかったからとても助かった。
歩いているうちに、俺が一番楽しみにしていたエリアが近づいてきた。
「いよいよ猛獣エリアか……!」
「そんなに楽しみだったんですか?」
「男ですからね!」
「なるほど、いずれわたしを猛獣のように襲うためにその姿から学ぼうと?」
「全然違いますから!」
「おふたりとも、見事なバカップルぶりでございます」
冷静にツッコミを入れる狩谷さんだった。




