5-7 真天先輩の実家で⑥
「さ、どうぞ入ってください」
「お邪魔します……!」
俺は今、なんと真天先輩の部屋に足を踏み入れている。
お父さんとお母さんとの面談をどうにかいい感じに終えることができて、愛娘の部屋に入っていいという許しをもらえたわけだ。
「アルバム、お持ちいたしました」
そして狩谷さんが分厚いアルバムを持ってくる。
真天先輩の昔の写真を見せてもらうという話を先日にしていたが、これも無事に叶うことになった。
「さっきはありがとう、狩谷さん。おかげでお父様もお母様も理解してくれました」
「どうということはございません。それではまた後ほど。我和様、当家のランチにご期待くださいませ」
「は、はいっす」
お父さんとお母さんには、このあと一緒に食事をどうかと誘ってもらった。まさかここまで上手くいくだなんて。
ひとまず今は、真天先輩がどれほど可愛い女の子だったのかを見させてもらおう。
「ほら、これがわたしです」
「おおお……赤ちゃんの頃の真天先輩……!」
プニプニのほっぺに、利発そうな目。すでに今の美貌の兆しが見えていた……というのも決して言い過ぎじゃない。
「これが、幼稚園の頃の」
「か、可愛い……!」
写真越しなのに、キラキラと輝く宝石のようだった。こんなに可愛い幼稚園児は見たことがない。犯罪級と狩谷さんが言っていたが納得だ。
「これは小学生の頃の、遊園地に行った時のですね」
「お父さんとお母さんも映ってますね。そのへんの人に頼んで撮ってもらったんですか?」
「いえ、これは狩谷さんが。この日もメイド服だったのをよく覚えています」
「なんで外出先でもメイド服なんですかあの人」
「メイドだから、だそうです」
ともあれ休日には家族でお出かけ。あのご両親は本当に娘思いなんだな。
「で……これが中学校の入学式です」
「……っ!」
一瞬、ドキッとしてしまった。
グッと大人びた真天先輩の笑顔……それだけじゃない。さすがに今ほどではないが、制服をくっきり盛り上げる胸部に。これ、本当に中一だよな?
「……胸が大きいなって、思いました?」
「あ、いや」
「この頃からグングン大きくなっていったんですよね。数ヶ月おきにブラを買い換えるくらいで」
数ヶ月おき……どんな成長速度だそれは。
「今はオーダーメイドで作ってもらってるんですよね。お洒落なのはもう市販のじゃ見つからなくて」
「へ、へえ……」
「それに……実はまだ大きくなってるみたいで」
「まだ?」
「ところで唯人くん、ブラのカップってどうやって決まるか知っています?」
「し、知らないです」
「トップとアンダーの差です。Aなら10センチ、Bなら12.5センチと増えていって。唯人くんは作家さんなんですから、こういう知識も頭に入れておかないと♪」
つまり、真天先輩のLカップなら……?
「わたしのLなら、どれくらいかって計算してます?」
「つ、次に行きましょう!」
どんどんページをめくってもらう。
家庭での写真、旅行先での写真など、いろんな真天先輩がそこには記録されていた。
今まで知らなかった恋人の姿は、彼女への気持ちをさらに色濃くしてくれる。
「これからは唯人くんにも、いっぱい写真を撮ってもらいたいです」
「うん……俺も真天先輩に、いっぱい写真を撮ってもらいたい」
スマホじゃなくて、本格的なカメラを買って勉強してみようかな? そんなことを考えていると。
「ふたりだけじゃなくて、あと何人か加わったら、最高ですよね」
「……そ、それはつまり?」
「わかってるくせに♥」
真天先輩はとろけるような声で言う。
「唯人くん、将来は何人くらい欲しいですか? 赤ちゃん」
「あ、赤ちゃん……」
「わたしは最低でも三人くらいは」
「最低でも?」
「唯人くんには大ヒット作を連発してもらわないといけないですね。うふふっ」
さっきから翻弄されてばかりだ。少し落ち着こう。
「もちろん、どんどんヒット作を出したいです。そのためにも……真天先輩、協力してください」
「はい。まずはプロモーションビデオの作成ですね。出版社のは少し後になるでしょうけど、生徒会のはさっそく週明けにでもやりましょうか? 第一弾の動画を」
「いいですね! 一応、早乙女さんに伝えておきます」
真天先輩の両親がプロモーションビデオの作成にOKしてくれたと、スマホのチャットツールでメッセージを飛ばす。
返信はすぐに来た。
「週明けに契約書を持って伺うっス、だって。生徒会の動画は自由にやっちゃってくださいとも」
「よーし! 唯人くんの宣伝大作戦、いよいよスタートですよ!」
楽しみ半分、不安が半分というところだった。
はたして真天先輩の登場に、インターネットがどれほどざわつくのか……とても予想できるものではなかった。




