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勇者志望の俺が、ラスボス役になっちゃった  作者:


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第九話 心休まる場所

あの戦いから三日。


死体処理や街の修復などが行われている。いつもは魔王であろうとも率先して物事をやりたがる俺だが、今回ばかりは魔王と言う立場に甘えて城から出ないことに決めた。


もうあの光景は目に入れたくないと心の底から思った。


しかし、何もやることがないのでこの前のように暇な生活へと逆戻りした。


初めはおいしさに感動していた食べ物も、だんだんと舌が慣れてきてしまい、食の楽しみも減ってしまった。


すると俺の楽しみは一つしかない、ミスカンドラの元へ行き、話すことだ。


今日も早足でミスカンドラの元へ向かった。


「どうだ? 調子は?」

「特に何ともないわよ」

「そうか。あの戦場を見ておかしくなってしまったんじゃないかって心配だったんだ」

「別に……普通のことじゃない」

「普通?」

「えぇ。戦場には血が流れて体が倒れる。当たり前のことでしょう」

「そ、そうだけど」

「一国の王でもある者が戦場如きで弱気になっているの?」

「…………」

「私はね、今後どんなことがあっても絶対に超えない悲しみがあるのよ……」

「絶対に超えない悲しみ?」

「私のお母さんはとても綺麗な人だった。だけどそれは歳を重ねるごとに段々と薄れていったの。それに腹を立てた父はお母さんを忌み嫌うようになって、最終的にお母さんを殺してしまったの」

「……」

「だけど父はミドレの王だから、父のやる事はすべて正しい。例え妻を殺しても、それをしたのが王なのであればその国では妻を殺すのが正しくなる」

「大変……だったんだな」

「魔王であるあなたがそんな同情なんでしていいの?」

「いいよ」

「え?」

「誰も死んでほしくない。もちろんデストピアの民も、そしてノガレスの民もミドレの民もみんな死んでほしくない」

「そんな事、殺して勝ってが正義のこの時代に言って恥ずかしくないの?」

「恥ずかしくない。さっき言ってただろ。王のやる事は正しくなるって。じゃあこの国では俺が王なんだから殺さないのが正しいんだよ」

「ふふ、面白い人ね。確かに今の常識からは逸脱した考え方だけど。でもそういう方が世界は面白く回っていくと思うわ」

「そう思ってくれてよかった」

「なんか、こうやって喋っているとあなたが魔王だってこと忘れそうになるわ」

「だって、本当は魔王じゃないからね」

「え?」

「あっいやいや、何でもない。じゃあまた明日」


俺は焦りを表すように急いでその場を後にした。


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