第八話 リアル
さっきの戦場の光景が未だ目にこびりついているが、今から戦果報告が始まるらしい。
俺が席につくなり、蜘蛛のような見た目をしているものが勢いよく土下座をしてきた。
「魔王様。この度は私のせいでこのような結果になってしまい、本当に申し訳ございません。四獣の一人であるこのルボア、命を持って詫びさせていただきます」
そう言ってルボアは腰に引っ掛けてある鞘から刀を抜き、自分の腹に突き刺そうとした。
「待て!」
俺は思わず声が出た。
「なってしまったことは仕方がない。それよりもこれからのことを考えよ」
「は、はい」
ルボアは泣きながら席に着く、その隣にいるアージェンタムは「魔王様のご好意に感謝しろよ」と呟いた。
「では戦果報告を始めるぞ。アージェンタム、頼む」
「はい、今回招集したデストピア軍の人数は七千五百十三名、その内一二三三名が重症。五四六が死亡。ノガレスの軍は九九六名の死亡を確認。八百二名を捕虜として捉えています」
「わかった。次、ルボア」
「はい、最初はノガレスは多くて二千人程の兵しかいないと考えていたのですが、実際はその約五倍の兵が待ち構えていまして、流石にルボア軍三千人じゃ叶わなく、逃亡するも追いかけられてしまいました」
「わかった。それから……」
ルボアの横にはもう一人、カマキリの姿に似たものが座っていた。きっとこの男も四獣の一人なのだろう。
「わたくし、グリティアが発言させていただきます」
「おう、頼む」
「グリティア軍はミスカンドラ誘拐によるミドレ王国の攻撃を予期し、ミドレ王国付近で防壁を張っていた時、ノガレスとの争いの一方を耳にし、すぐさま城まで向かったのですか残念ながら着いた頃にはもう戦争は終わった状態でした」
「わかった、今回のことを踏まえてこれからは今までの攻めの姿勢から少し変えて守りの姿勢にするぞ」
「分かりました」
「あの……」
「どうした? ルボア」
「今回もクロセウスはいないのですか?」
クロセウス? 初めて聞いた単語に戸惑っているとアージェンタムが口を開いた。
「クロセウスはどうせ今もどこかで放浪しているのだろう。全く、四獣である責任が少しもない奴だ」
クロセウスと言う者も四獣なのか。つまり四獣はアージェンタム、ルボア、グリティア、そしてクロセウスの四人か。
これでよりこの世界が分かってきたぞ。




