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勇者志望の俺が、ラスボス役になっちゃった  作者:


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第五話 見えてくる戦い

何もせずともおいしい料理は出てくるし、使える部下が慕ってくる。


今までは何をやっても上司には怒られっぱなしで、どれだけ働いてもお金がないので食べられるのはカップラーメンやスーパーで値引きされたお弁当。


こんな生活を一度味わってしまえば、もう現実には帰りたくないと思ってしまう。


魔王の立場でのゲームクリアが何を指すのかはいまだに分からないが、とりあえずまだこの生活を堪能するため、クリアしないことを目標にした。


このゲームに来てから大体一週間ほどが経った。


これと言ってデカいイベントがあるわけでもなく、俺は姫と会話をしに地下牢に行く時間が増えていた。


始めは目を見てもくれなかったが、次第に目が合うようになってきた。それに、こちらの質問にも答えてくれるようになった。


「ミドレ王国とはどのような国だ」

「とてもいい国よ、こんなデストピア王国と違って。そう……、こことは違って」

「少し教えてくれないか?」

「侵略したのにミドレの事、何も知らないの?」

「いいや、知ってるさ。だけど実際その国に住んでいた者と、その国を外からしか見ていない者の感じ方は少し違うだろう」

「た、確かに……そうね。と言っても、私はミドレのことはあんまよく分からない」

「どういうことだ。姫なんだから国のことはよく知っているものなのではないのか?」

「あなたもデストピアの王なのでしょ? なら少しは私の気持ちもわかるんじゃない?」

「ん?」

「あなたは毎日この地下牢に来るでしょ。つまりそれくらい暇ってこと。自由に外も歩けない。ずっとお城の中に閉じこもったまま」

「た、確かに。そうだ」


俺と姫は行極端な存在だと思っていた。


けれど、誰にも分かってくれなさそうな悩みが一緒だった。だから俺は姫と話すのが楽しくて毎日地下牢に来てしまうのかもしれない。


「魔王様、大変です」


ものすごい形相をしながらアージェンタムが走ってきた。


「どうした?」


「ノガレスとの戦いでルボアの軍が負けたらしく、こちらまで引き返していたところ、相手がしつこく追ってきて、すぐそこまで来ています」

「何! 相手はどのくらいいるんだ?」

「一万ほどだと思われます」

「そうか……」


もちろん戦いなど経験したことのない俺は一万の軍の凄さがどれほどかは分からなかったが、とりあえず驚きの感情を出した。


「こちらの軍勢は?」

「すぐ集まるのは良くて七千程です」


三千人も差がある。けれど相手は城に来ているのだから逃げることは出来ない。


ここはしょうがない。


「よし、戦うぞ」


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