第二十三話 追手の正体
絶対に誰かいる。
ノガレスの奴らか、それともミドレの奴らか、それともさっきノガレスを襲っていた奴らか?
心当たりが多過ぎて誰だか確信には迫れない。
ただ、このような状況になってしまった以上、たとえ誰であっても倒さなければ俺がやられてしまう。
俺は再び落ちている小石を拾い、今度はさっきとは違い、正確に狙いを定める。
ほんのわずかな木々の掠れ音を頼りに追手のいる方角を探る。
風が邪魔をしてくるが、流石は魔王の体、耳に全神経を研ぎ澄ませば、微かな息の根まで聞こえてくる。
『そこだ』
俺は思いっきり小石を投げた。
すると、木の上から何かが倒れた。
「イテ!」
誰かが降ってきた。まだ顔は見えない。俺はすかさず戦闘体制を取り少しずつ追手の元へと近づく。
遠距離武器で攻撃してくる可能性がある、それから遠くにいる仲間が襲ってくる可能性もある。一瞬足りとも気を抜かない。
そろり、そろりと、これほどまでに世界がゆっくりと感じたことはない。
あと十メートル、五メートル、三メートル。
もう追手はすぐそこにいる。
すると、追手は立ち上がって一言。
「流石は我が魔王。たかが小石でここまでの威力が出せるなんて」
え? 我が魔王? 確かに今、こいつは我が魔王と言った。
我がってことは……デストピアの者なのか? まだ暗くてしっかりと顔は見えない。
「お前は誰だ?」
「クロセウスですよ」
「クロセウス?」
「えっ、まさか俺のこと忘れちゃったんですか? 悲しいなー。まぁ、かれこれ魔王とは四年ぶりくらいですから忘れられても仕方ないか……」
クロセウス……、あっそうだ。この前の戦火報告会の時、アージェンタムが四獣の一人として口にしていた名前だ。
そうか、こいつだったのか。でも何故ここに?
「あぁ、そうか、クロセウスか、久しぶりだから忘れてた。それより、なんでお前がここに?」
「アージェンタムに命令されたんすよ。魔王が攫われたから取り返してこいって。それで色々調べてノガレスにいることが分かって、やっと着いたのも束の間、急に戦が始まって、それで逃げてる最中に魔王を見かけたんです」
そうか、あの時の声はクロセウスの声だったのか。
「それで、あれからずっと魔王を探して、やっと見つけたって感じですよ」
「そうか、それにしても、あんな脅かすような感じでアプローチしてこなくてもいいだろ」
「少しのドッキリ的なことあった方が面白いかなと思って」
全く、これまた厄介な奴そうだ。
「そうだ。あと、ルボアについてなんだが」
「あぁ、あいつですか。実は……」




