第二十話 過去の魔王Ⅱ
俺は思わず大きく口を開けて驚いてしまった。
それをみたジョバンはやっと疑いが確信に変わったようで、生き生きとして俺に話しかけてくる。
「その反応。やっぱりお前、デビラスタじゃないな」
もう言い訳も何もできない。
「やはりそうか。お前が俺達の母のことなど忘れるわけないものな。だって、俺達の母を殺したのはお前なのだから」
そんな、デビラスタは酷いやつとは聞いていたけど、まさか親殺しまでしていたとは。
「それに、お前があんなお前の国の部下や俺の部下などに捕まるはずなどない」
俺は焦りから固唾を飲む。
ジョバンは興奮から固唾を飲む。
「それじゃ聞こう。お前は一体誰なんだ?」
その時、勢いよく扉が開いた。
その扉から一人の兵士がジョバンの元へと駆け寄っていく。
「なんだ? 今大事なところなんだ」
「しかし国王様、とても大事なことでして」
そして兵士はジョバンに耳打ちをする。
それを聞いたジョバンは一転、さっきの興奮からきたレッドフェイスから青ざめたブルーフェイスへと変わっていった。
「何だと!? それは本当か?」
「はい! もう時間は残されていません」
「くそー! こんな時に限って! いいかデビラスタ、いや、ニセモノ。今度また聞くから、その時、必ず真実を話せよ?」
捨て台詞を吐いてジョバンは部下と共にどこかへと行ってしまった。
俺は一人残されてどうすればいいか分からない。
とりあえず…‥城内でも探索してみることにした。
改めてこの城は俺が住んでいた城によく似ている。
城を見れば、本当に血が通っている兄弟という信ぴょう性が増して思えてきた。
すると、窓際に一人、誰かの人影が見えた。
気になって寄ってみると、それは見覚えのある人影、ルボアだった。
「おいルボア! こんなところに」
ルボア発見に驚いている俺とは違い、ルボアは俺をみても何も驚いていない。
「魔王様。私の無礼、許してもらおうなど思っておりません。しかし、私の部下は皆立派なもの達です。なので、どうか面倒見てやってください」
そう話すルボアの表情は、どこか悲しげであった。
「面倒見てやってって、お前はどうするんだ?」
「もう、行かなければなりません」
「行かなければってどこに?」
「魔王様、これをお持ちください」
そういって渡されたのは、何やら地図のようなものだった。
「悪いことは言いません。裏切り者として信じてはもらえないかも知れませんが。あと少しでここで戦争が始まります。魔王様がここから逃げる唯一のチャンスでもあります。なので、どうかデストピアに戻って皆を導いてやってください」
「ちょっと待て。戦争が起きる? 今から? ここで?」
「はい。それからその地図、そのバツが書いてある場所にも暇があったら寄ってあげてください。後悔はしないと思います」
「どういうことだよ。全然分からないよ」
すると、遠くの方から爆発音が聞こえてきた。
「それじゃ魔王様、どうかご無事で」
そう言い残して、ルボアは音のなる方へと消えていった。




