第十八話 ノガレスの王 ジョバン
こいつがノガレスの王か……、確かに王ならではの風格はある。
俺は何も言わずにじっとノガレスの王、ジョバンを睨む。
「まぁまぁ、そんなに警戒するな。今日は前と違って戦をしたいわけでもない。とりあえず座れ」
ジョバンは自分の目の前にあたる席を座るよう、合図をしてきた。
こいつらは前まで戦っていた敵だ。
もしかしたら俺の隙を突いて殺してくるかも知れない。
そう考えた俺は周りを警戒しながらゆっくりと席へと腰を掛けた。
俺が座ったと同時に、ジョバンは扉の近くに立っていた側近に話しかけた。
「何か食べ物を持ってこい」
側近はすぐに食べ物を持ってきた。
これは……なんだ? 初めて見るものだ。
デストピアとノガレス、国が違うと食べ物も違うのか。
いや、待てよ。確かにこれは美味しそうではあるが、何故こんなもてなすのだ。
もしや、これに毒でも盛られてたり……。
そう考えると、どうしても目の前の食べ物に手を伸ばせなかった。
それを見かねたジョバンは笑いながら俺に話しかけた。
「安心しろ。何も入っていない。ほら」
そう言ってジョバンは俺の食べ物を一掴みし、どうだという顔を見せてきた。
確かに王自らがここまでするということは本当に何も盛られていないのだろう。
恐る恐る食べ物を喉に通した。
美味しかった。
自分の城を出てからろくな食べ物を食べていなかったせいか、涙が出るほどに美味しかった。
食への恐怖心は消え、欲望のままに食べ物を貪り食べた。
「ところでデビラスタ」
狂って食べている俺を現実に戻すかのように話しかけてきた。
「なんだ?」
「お前はなんでデストピア国の王をやっているんだ?」
「え、それは……」
答えられなかった。ゲームで、とも言いにくいし、だからと言ってそれっぽい理由も咄嗟には思いつかなかった。
「では質問を変えよう。お前の目的はなんだ?」
「目的? それは、平和な世界。かな?」
ジョバンは一瞬驚いた顔をしたが、すぐに正気に戻り、もう一度聞き返してきた。
「平和な?世界? と、言うと?」
「争いがなく、誰も悲しむことがないような世界」
すると、ジョバンは手を叩き、足をばたつかせながら大笑いした。
「まさか、魔王と言われている者からそんなことを聞けるとは。ではもう一つ。そのような目的を持ちながら、何故ミドレの姫を攫った?」
それは……自分でも分からない。この世界に来た時にはすでに攫われてからのスタートだったし、周りの奴らにも何故誘拐したのか聞いたら怪しまれそうで聞けなかった。
俺は黙ることしかできなかった。
すると、ジョバンは見透かしたような目をし、口を開いた。
「今のでよく分かった。お前、デビラスタじゃないだろ?」




