第十五話 裏切り
体が揺れている気がする。
風を切っている感覚がする。
動物の声がする。
ここは? どこだ? 俺はユーマとルボアと三人で城を出て、一日近く歩いて、それからオンボロの宿に泊まって、それでルボアが部屋に来て、そしたら男達に襲われて……、そうだ! 襲われたんだ!
一気に思い出し、眠りから覚めると、今自分がいるのは馬車の中だと言うことがわかった。
すぐ目の前には見知らぬ男が座っている。まだこの世界のことは全然分からないけど、デストピアの人では無さそうだ。
「おい! なんなんだこれは! どういう状況なんだ!」
俺がどれだけ声を掛けても、その男は全く返事をしない。
「おい! ユーマは? 十歳くらいの子供はどこにいる?」
口うるさく聞いていると、痺れを切らしたのか、男はやっと口を開けた。
「うるさいな……、そんなに気になるんだったらこいつにでも聞け」
そう言って後ろのカーテンを開けた。
誰だ? 暗くてよく見えない。
だんだんと目が暗さに慣れて来て、カーテンの中にいた人物のシルエットが見えてくる。
これは……ルボアだ!
「ルボア! お前! どう言うことだこれは」
怒りのあまり、殴りかかろうとすると、腕と足が拘束されているのがわかった。
それを見た男が言う。
「あなたは一国の王なんだから、これくらい許してよね」
今の俺にはそんなこと耳にも通らない。それよりも目の前にいるルボアに聞きたいことが山ほどあったからだ。
「おい! ルボア! 教えろ。どう言うことだこれは」
するとルボアは、今まで聞いたことのないか細い声で答えた。
「殺しはしないので、静かにしていてください」
「答えになってないぞ。俺はなんでこんな状況になっているのかを聞いてるんだ!」
「しょうがないんですよ。誰だって命は大切なものですから。それは魔王様も私も」
「全然意味がわかんない。どう言うことだよ」
「直に分かります」
「もういい。俺が今から言うことに一つだけ答えろ。ユーマはどうした?」
すると、ルボアは大きなため息をして男に視線をやった。
「見せてあげてください」
男はニヤリと笑みを浮かべ、足元にあったバックの中を見せてきた。
俺は体を伸ばして必死に覗く。サッカーボールのようなものが入っていた。
だんだんと暗さにも慣れてくる。
サッカーボールじゃない、毛みたいなものが付いている。
「わかりづらいですか?」
男は笑顔のまま話しかけてくる。
「なんなんだこれは?」
「仕方ないですね……」
すると男は何のものを勢いよく取り出した。
それを見て俺は目を丸くして口を開けることしかできなかった。
だって…………、ユーマの首だったから。




