第十三話 外の世界
城を出てからもうすぐ一日が経つ。
移動手段は歩きだけではなく、馬に似た動物が引いている馬車のようなものや、電車のようなものもある。
ただ、外の世界を楽しみたかった俺は、ユーマとルボアに許可を得て歩きで移動させてもらうことにした。
この世界に来てから初めて城以外の場所へと足を踏み入れた。
青い空、時々肌に冷たく当たってくる風、夜になると辺りは暗くなり、朝になると明るくなっていく。
俺がいた現実世界とほぼ変わらない。
それはそうか。ここはゲームの世界。つまりこの世界を作ったのは現実世界の人間なのだから。
「そう言えばルボア、俺達は今どこへ向かっているのだ?」
「とりあえず民家の多い場所へ行き、そこで何かこの小僧の両親について聞き込みでもしようかと」
「わかった。あとどれほどかかる?」
「そうですね……。このペースだとあと二日ほどでしょうか」
「二日!!」
この時は改めてルボアを筆頭に戦士の体力は桁違いだなと実感させられた。
それともう一つ、まだ歳も一桁ほどのユーマが文句一つ垂れずに歩き続けていることだ。
この世界の住民みんなの体力がおかしいのか。いや、ユーマは今。疲れなどの概念が無くなるほどに両親を求めているのだ。
もう、死んでいるのに……。
「そろそろ日も落ちて来ますね。昨日はまだ体力があったので夜も歩き続けられましたが、流石に二日連続はきついと思うので今日はどこかへ泊まりましょう」
「えー、泊まってる暇なんかないよ」
ルボアの提案に駄々をこねるユーマ。気持ちは分からなくもない。
「ユーマ、ここはルボアの言うことを聞くぞ」
俺は駄々をこねているユーマを説得し、宿へ向かった。
俺は何故泊まることを選んだのだろう。自分自身疲れていたからか、それともどれだけ急いでもユーマの両親が亡くなっているのは変わらないからか。
「申し訳ありません魔王様。このような宿しかなくて」
近くには安い宿しかなく、その宿の出来にルボアは頭を下げて来たが、俺はむしろこのオンボロ感が現実世界にいた時に住んでいた家と重なり、嬉しくなった。
今の俺の体格には合わないベッドに、隣の部屋の住民の話し声まで聞こえてくる薄い壁。
こんなものに懐かしさを感じるなんて思わなかった。
昔の俺は暇な時、よく隣の部屋の人の会話を盗み聞きしていた。
今はルボアもユーマも部屋の外に行ってしまい、暇なので壁に耳をつけて隣の部屋の会話を聞いてみた。
(どれどれ、どんな会話をしているのかな)
すると、耳には驚くべき会話が聞こえて来た。
「いいか? 俺がゴーと言ったら突撃するぞ」
「わかった。これでやっとデビラスタを捕獲できる」




