第十二話 魔王一行
「そ、そんな」
「残念ですが」
「同じ名前の別人って可能性はないか?」
「動揺なさらないでください。この国は誰も名前を被せることは出来ないのでそれはないです」
「そうか……」
ユーマの顔が脳裏に浮かんでくる。この真実を伝えてしまったらユーマから笑顔を失わせてしまう。そう考えると胸が痛んだ。
「アージェンタム、一緒に探してくれてありがとう。今日はもう寝よう」
「はい」
ベッドに入るも全然寝れる気がしない。
ユーマになんて伝えよう。
『両親は死んでたよ』とでも言うべきか、いや、流石にそれは軽すぎる。でも、じゃあどうやって。
それに、きっとこの国で親を亡くした子はユーマだけではないのだろう。
俺はたまたまユーマとあったから知ったが、まさに今でもこの国のどこかで帰ってくるはずのない親を待ち続けている子供が何人、何百人といるのだろう。想像しただけで心が壊れていく。
改めて戦争の憎さ、悲惨さ、残虐さがわかった。
この世界に来る前、現実では戦争を心のどこかでかっこいい物だと思ってしまっていた。正直、人生で一、二回は戦争を経験してみたいなと思ってしまったこともあるし、戦争ごっこなどと言って友達と遊んでいたこともある。
だけど、実際に戦争に触れた今、こんなこと二度と起こしてはいけないと思った。
例えゲームの中の世界だとしても。
そんなことを考えていると、外はもう明るさを得ていた。
朝ごはんを食べに食室へ向かうと、すでにユーマが食卓に座っていた。
「おはよう」
「あぁ、おはよう」
「今日はお母さんとお父さん探してくれるの?」
そのユーマの言葉に、俺はなんと答えたらいいか分からず、黙ってしまった。それを見かねたアージェンタムがすかさず話した。
「魔王様は忙しいんだ。だからまださがすことは……」
「いや、探しに行こう」
「ほんと!やった」
喜ぶユーマの表情は、嘘をついた俺を攻撃してきた。
「じゃあ先に準備してくるね」
ユーマはすぐに朝ごはんを食べ終え、真っ先に何処かへと行ってしまった。
「魔王様……。どうするおつもりですか?」
「すまない。まだ言う勇気が出なくて。今日はこうさせてくれ」
「はい」
俺はユーマに続くように朝ごはんを食べ、出かける準備をした。
ユーマと合流し、城を後にしようとした時、アージェンタムとルボアが話しかけてきた。
「魔王様、流石に魔王様が子供と二人で外を出歩くのは危険です。ですが、私は用事がありますのでルボアに同行させます」
「魔王様、よろしくお願いします」
「お、おう。よろしく頼む」
するとアージェンタムが俺にこっそりと耳打ちしてきた。
「ルボアにはこの子供の一連の事は話しているのでご安心を」
「わかった」
「それでは行きましょう。魔王様」
そうして俺とルボアとユーマの残酷で結末が決まっている嘘の旅へと出向いた。




