第十一話 現実とゲーム
話を聞いていると、少年は三日前の戦争で両親とはぐれてから今日まで何も食べていなかったらしい。
俺は魔王だが鬼ではないので、その少年に一緒にご飯を食べようと誘い、食室まで向かった。
食室の扉を開けると、アージェンタムが話しかけてきた。
「魔王様、どちらにいたのですか。まさかノガレスやミドレの奴らに攫われたんじゃと心配してたんですよ」
「悪い、少し城の中を探索していた」
「次からは一言くださいね。それからその後ろの子供は?」
「あぁ、迷子らしい」
「迷子……ですか。では私が親御さんの元まで返してきます」
「いや……俺はこの子とご飯を食べたい」
「でも……この子供の分の食べ物は用意していませんよ」
「俺の分を分ければいいだろう」
「まぁ…魔王様がよろしいのであれば」
「よし、じゃあこっちに座れ」
俺は少年を自分の席の隣に座らせた。
少年は目の前に広がる料理に目を奪われている。
「遠慮するなよ。食べたい分だけ食べろ」
すると少年は勢いよく目の前の料理に飛びかかった。まるでこの世界に来て初めてご飯を食べた時の俺みたいに。
「どうだ? 美味しいか?」
「うん! 超うまい」
「そうかそうか。それはよかった」
それから少年は俺のご飯を全て食べてしまい、今日の俺のご飯は無くなってしまったが、幸せそうな少年を見ているとそんな事どうでもよくなった。
「そう言えば、名前はなんて言うんだ?」
「ユーマ」
「ユーマか、いい名前だな」
「お父さんの名前のユガスとお母さんの名前のマザリーを合わせてユーマだって言われた」
「そうか」
「おじさんは?」
ユーマの問いに、アージェンタムが突っかかる。
「こら、この方はおじさんじゃない。魔王様だ」
「まぁいい。俺はデビラスタだ」
「なんでデビラスタなの?」
「それは……その……、まぁそれは今度だ。
今日はもう遅いからこの城で休みなさい」
そう言って俺は近くにいた護衛兵にユーマを寝させる部屋を案内させた。
「魔王様、言いにくいのですが……」
「まだ分からん」
俺とアージェンタムはある場所へと向かった。それは三日前の戦死者の名前が書いてある名簿だ。
「ユガスとマザリーが載っているか、アージェンタムも手伝ってくれ」
「はい」
俺達はその名簿を漁った。一ページ、一ページとめくるたびに二人の名前が載っていないでくれと願って。
しかし現実、いやゲームは残酷だった。
「魔王様、これ」
アージェンタムが見せてきたそこには、『ユガス』と『マザリー』の名前が書いてあった。




