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1516_人間はAI相手に礼儀を欠く #AI #言葉

「名門貴族の長男として生を受けたフランスの政治家シャルル=モーリス・ド・タレーラン=ペリゴールは『言葉は思うところをいつわるために人間に与えられた』と言ってます。でも、嘘ばっかり言ってたらダメですよ」


「やっほー、知識はいいものだ。世界一の美女サクラです! 今回は『人間はAI相手に礼儀を欠く』について話すよ。よろしくね」


「言葉遣いというのは相手によって変わります」


「友達だと気やすい感じになりますし、上司や先生が相手だと丁寧になります。部下が相手なら威厳を保とうとするかもしれません」


「このように言葉遣いが相手によって変わるのは当たり前のことです」


「では、AI相手にも言葉遣いが変化することを知っていますか?」


「実は、AIに対して多くの人の言葉遣いが変化するのです。しかも、悪い方向に」


「今回はAIに対する言葉遣いについて紹介します」


「どうやらこの変化、少し損する可能性もあるみたいです」


「参考文献はアメリカの研究となります」


「研究者はAIに対する言葉遣いを調べるため、AIチャットボットに送られた匿名のメッセージ1357件と人間同士のチャットの記録13000件を対象に分析を行いました」


「分析では、文章の正しさ、丁寧さ、語彙の豊富さ、情報量、明確さ、感情の強さ、の六つから評価を行いました」


「そして、人間対人間と人間対AIで、どのような言葉遣いの違いが出るのか調べたのです」


「さて読者様、AIに対してどのような言葉遣いの変化があったと思いますか?」


「より丁寧になったのでしょうか?」


「AIの進歩が目覚ましいとはいえ、まだまだAIの文章の理解力は低かったりします。明確な回答を求めるため、AIに分かりやすい言葉、つまり丁寧な言葉遣いになったのでしょうか?」


「それとも雑になったのでしょうか?」


「どうせ相手はAIだから、そんな気持ちから丁寧に対応する必要はない、と考えても不思議ではありません。相手は心の通っていないロボットです。雑になる人がいてもおかしくないです」


「文章の長さはどうでしょうか?」


「AIなら短い文章でも意図を汲み取ってくれるという考えから短文になるのでしょうか? それとも、AIは読解力が低いという理由から文章が間延びするのでしょうか?」


「他にも、難しい語彙を使ったり、感情表現が多くなったりしたのでしょうか?」


「はたして、AIに対して言葉遣いはどうなったのでしょうか?」


「14000件以上のメッセージを分析した結果、人間はAIに対して言葉遣いがーー」


「失礼になっていました!」


「人間対人間と人間対AIのメッセージのやり取りを分析した結果、人間相手に送るメッセージでは丁寧さが14.5%高く、文章の正しさは5.3%高く、語彙の豊富さは1.4%高くなることが判明しました」


「言い換えれば、AI相手に送るメッセージは雑になるのです」


「なお、メッセージの情報量や明確さ、感情表現においては対人間も対AIも同じでした。伝えたい内容そのものは人間もAIも同じなんです。言葉遣いだけが変化するようです」


「では、どうしてこのような違いが出るのでしょうか?」


「研究者はいくつか理由を考えています」


「一つ目の理由はAIだからです」


「通常、相手が人間であればマナーを気にして丁寧な言葉遣いを意識します。しかし、相手が機械、つまるところAIと認識しているのでマナーなんて気にしていない人が多いのです」


「二つ目の理由は、AIは感受性がないからです」


「多くの人はAIには感情がない、感情を理解する能力が乏しいと見なしています。雑な言葉をAIに使っても気分を害することがありません。なので「ありがとう」や「お願いします」といった丁寧さが減るみたいです」


「三つ目の理由は、印象問題です」


「相手が人間であれば相手にいいイメージを持ってもらいたいと考えるのが普通です。そのため丁寧な言葉遣いを心がけます。しかし、AIが相手だと印象をよくする必要がありません。本性が現れている可能性があります」


「要するに、多くの人がAIをただのツールと認識しているのです。気遣う必要がない存在だと考えているので、対応が雑になり、失礼な態度を取ってしまうみたいです」


「え? 『別にAIだからいいじゃないか』ですか。確かに相手はAIです。少々礼を欠いたところで問題がないかもしれません。ですが、その考え改めたほうがいいかもしれません」


「というのも、AIに雑な話し方をするとユーザーの意図を正確に理解できなくなる可能性があるからです」


「雑に話すことで、AI本来の性能が発揮できなくなる可能性があるのです。十分な結果が得られなかったり、AIに質問を聞き返されたり、意図を曲解した回答が返ってくる可能性が高くなります」


「これはAIが丁寧な文章を学習しているためです。失礼な言葉遣いのデータが少ないため正確な回答が難しくなるのです」


「AIの本来の性能を100%活用するには、人間側にも正しい使い方が求められるのです。雑に話を振ってもAIとの会話は成立してしまうので、あんまり意識していないのかもしれませんね」


「なお、AIに最初から丁寧な会話だけでなく、雑な会話も学習させていると、性能低下を少しは防ぐことが可能なようです。最初から学習させることで精度が2.9%よくなるみたいですよ。データがあれば問題ないんですよ」


「ならば、雑な文章を丁寧な文章に自動で書き直してからAIに渡す、とどうなるのか調べました。丁寧な文章ならデータがあるので、いい結果が得られるのではないか、と考えたのです。ですが、こちらの方法ではAIの理解力が1.9%下がりました」


「変換の過程で微妙なニュアンスや重要な要素が消えるので、不自然な言い回しになってしまい、AIが理解できなくなるみたいです」


「AIって気難しいね。ということで今回のまとめです」


「研究者は人間のAIに対する言葉遣いについて調査したよ。人間対人間と人間対AIのメッセージのやり取りを分析して比較したよ」


「すると、人間はAIに対して丁寧さが減るみたい。雑な会話を振るようになるみたいだよ。文章も正しくなくなるし、語彙のレパートリーも減るみたい」


「相手が感情のない機械と考えている人が多いからみたいだね」


「今回の研究では会話の始めを分析しています。メッセージ全体ではなく、最初の部分しか対象に含まれていません。長いやり取りや込み入ったやり取りは分析していません」


「他にも、英語圏での研究のため、他の言語ではどうなるか不明です。同じ結果になるのか、それとも違った結果になるのか、どうなることやら」


「とはいえ、ロボットやAIにぶっきらぼうになったり礼を欠くというのは他の研究でも示されています。人間は機械に冷たい存在なのかもしれませんね」


「はたして、人間はAIを人間のように扱う未来がやって来るのでしょうか?」


「今回は『人間はAI相手に礼儀を欠く』でした。未知を少しでも減らす」


「ありがとうございます。次は『どうして目の前に友達がいてもスマホを触ってしまうのですか?』だ! バイバイ」

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