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プリンセス・サーバンツ 〜スローライフ希望だったのに魔族の姫として働かされてます〜  作者: みずほたる
念願のスローライフを送ったら、討伐対象になりました。
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姫様、利息を知ります。

再び場所は変わり、スターフィールドから海を越えた、遥か西の大陸。


人類各国の王や将軍たちが一堂に会し、また緊急会議が開かれていた。


議題は今回も一つ。


古の悪魔姫(デビルプリンセス)がこの大陸の東の沖合に現れたという報告についてである。


「報告します」


一人の情報官が地図を広げた。


古の悪魔姫(デビルプリンセス)ですが、オーボ港から海へ向けて高火力の魔法を放ち、海一面が赤く染まったとのことです」


「何っ! 経済による侵略を企んでいると思っていたが、ついに武力を誇示し始めたというのか!」


「なお、あの魔法は大魔導士でも防げるかどうかという威力だったと報告されています」


「馬鹿な……。そんな魔法を放てば、本人もただでは済まんだろう」


情報官は首を横に振る。


「それが――」


一瞬、会議室が静まり返る。


「現在、現地では『大王イカ祭り』が開催され、大変な賑わいを見せているとのことです」


「……は?」


「討伐した魔物を振る舞っているそうです」


「魔物を自分で撃ち落として祭りを始めたのか!?」


「はい」


「意味が分からん……」


「現在は悪魔姫を中心に宴が開かれ、住民は酒を酌み交わしております」


「完全に制圧されたではないか……」


「違います」


「違うのか?」


「住民の笑顔を見る限り、歓迎されています」


「もっと悪いではないか!」


再び場所は変わってオーボ港。


冒険者ランクがFからEに格上げされた私は納得をしていない顔で酒を飲んでいた。


「冒険者ランクって飛び級ないのね」


「ありません」


七海は即答した。


「ランクAの大王イカを倒してもEです」


「港を救ったのよ?」


「その港を危機に陥れたのは姫様です」


「ぐぬぬ......」


「ミナエさん。悔しがっても仕方がありません。今日は飲み明かしましょう!」


アキナが私に酒を注いでくる。


「貴様、姫様に馴れ馴れしいぞ! 姫様の酒は私が注ぎます!」


オカリナが負けじと酒を注いでくる。


「酒を混ぜるのやめてくれない?」


「安心して下さい。こちらはぬるい酒です」


「余計タチが悪いじゃない!」


「では熱燗に替えます」


「そういう問題じゃない!」


私は嫌がると、七海が話しかけてきた。


「それにしても、しばらくイカには困らなくなりましたね」


「あれだけ吹き飛ばしたのによく残ってたわ」


「海王ポセイドン様が海底から回収して下さったおかげです」


「逃げ帰ったんじゃなかったの!?」


私は祭りで賑わう港を見渡した。


人間も、ゴブリンも、冒険者も、皆が笑顔で焼きイカを頬張っている。


「やっぱり、美味しいものの前では種族なんて関係ないのね」


少なくとも今夜だけは、この港に敵も味方もなかった。


私は焼きイカを一口頬張る。


「……ところで、明日になったら呪われし歌姫の謎を解きに行かないと」


「そのことだが......」


ギルドマスターが大きな袋を抱えてやって来た。


「まずは大王イカの討伐報酬だ。受け取ってくれ」


ドン! と目の前に大きな袋が置かれる。


……この大きさなら、きっと金貨が山ほど入っているはずだ。


「銅貨一万枚だ」


「金貨じゃないの!?」


「金額は同じだ」


「重さが全然違うでしょ!」


かつてアンダンテ国でドレスを売った時に大量の金貨を受け取ったが、とにかく持ち運びが大変だった。


あれ以降最低限の金貨しか持ち運ばなくなったのだが、今後誰かを呼び出すなり、スキルを使用するなり資金を持ち運ばなくてはならなくなる。


「やはり銀行が必要になりますね。私も旅費を最低限しか持って来なかった結果、この大陸に足止めされましたし」


「銀行?」


「お金を預けて、必要な時だけ引き出せる施設です」


「それはわかるけど、信用されないと意味がないわよ?」


七海は静かに頷いた。


「だからこそ、信用される国家が必要なのです」


……悪魔姫が世界から信用される国家か。


「私のスローライフ、どんどん遠ざかってない?」


「姫様。利息だけで食べていける可能性を考えましたか?」


「............素晴らしいわね」


「ですから、今を頑張りましょう!」


「え?」


「ポセイドン様がいるなら船がなくてもスターフィールドに帰れますよね?」


「イルカに二人も乗れるのかしら?」


「私はスターフィールドに戻り、行政改革に着手します。姫様は呪われし歌姫の謎を解いて来て下さい」


「ずるいじゃない! 私も帰りたい!」


「リィナ様がスターフィールドを治めているから不安ってのもあります」


「確かに」


……今ごろ何をやらかしていることやら。


こうして、大王イカ祭りの夜は更け、翌日から私たちは再び「呪われし歌姫」の依頼へ向かうことになる。




「じゃあ、出港するわよ!」


私は船を前に威勢よく言うと、


「ハイ!」


「ポセイドン。なんでいるのよ」


「七海さんにイルカは一人乗りだと言ったら乗っ取られてしまいました」


「.........」


「姫様」


今度は具合が悪そうな聖香が来た。


「船酔いの後の二日酔いのため、現地に残ります。所持金を渡しておくのでスターフィールドについたら呼び戻して下さい」


「私のスキル、便利道具じゃないのよ? それにしても、オカリナはどこに行ったの?」


「昨夜、アキナと意気投合をしてスターフィールドの素晴らしさを教えるとか言って背負って帰っちゃいましたよ」


となるとだ。


私、フレア、アクア、サムス、ポセイドン。


私以外、全裸のオッサンパーティーじゃないか。


ある意味伝説のパーティーだ。


「ウインドは?」


影から声が聞こえた。


「恥ずかしいので外に出たくありません」

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