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プリンセス・サーバンツ 〜スローライフ希望だったのに魔族の姫として働かされてます〜  作者: みずほたる
念願のスローライフを送ったら、討伐対象になりました。
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姫様、新スキルを習得します。

古の悪魔姫(デビルプリンセス)


伝説によると、かつて世界は、彼女の名を聞くだけで震え上がったという。


そして現在、オーボ港は悪魔姫について来てしまった大王イカによって震え上がっていた。


「あんなのがここで暴れたら港が壊滅しちゃうわ。短期決戦に挑むわよ。おじさん、腕の立つ冒険者を集めてちょうだい!」


私はギルドマスターに言うが、


「腕の立つ冒険者なんかいない!」


「なんでよ!」


「新設されたばかりのギルドだぞ!」


「しかも唯一の魔物(ゴブリン)は、お前たちが結界を張って守っちまった!」


「今ある依頼なんて薬草採取くらいだ!」


「私には呪われし歌姫とかいう、いかにもな依頼を受けさせたじゃない!」


「あれだって謎解きであって、討伐依頼じゃないだろう?」


言われてみたら確かにそうだ。


「姫様。イカが次々と船を壊しています!」


「大砲とかないの?」


ギルドマスターは首を横に振った。


「ない!」


するとフレアが、


「四天王たちよ。とりあえず我々でイカの注意を引きつけるぞ!」


「おう!」


アクアも船酔いから回復し、大王イカへと向かっていく。


一方、私は攻撃手段を模索する。


......するのだが、何故か蚊が私の周りを飛んで鬱陶しい。


ペチッ。


とりあえず叩いてやっつけた。


すると、私の脳裏に久しぶりにあの声が聞こえてきた。


【レベルが1あがりました】


え? 蚊で?


【ミナエの力が1あがりました】


具体的にどれくらいよ?


【米3キロを片手で持てるくらいです】


微妙すぎるわね。


【他に素早さが1あがりました。フルマラソンでなんとか一秒タイムを縮めるくらいです】


まずフルマラソンをしないからどうでもいいわ。


【けん玉の技術が少し高まりました】


今忙しいんだから、役に立つこと教えてくれない?


【新しいスキルを習得しました】


それよ。それ!


私は目を細めてステータス画面を確認すると、


従者との契りサーバンツ・ライセンス】?


説明文を読むと、


【従者のスキルを使用できます。ただし使用許諾契約(ライセンス契約)が必要です】


また課金なの? 魔力の概念どこいっちゃってるのよ。


そう思いながらも、サーバンツ(しもべ)には攻撃手段を持つ人はたくさんいる。


この状況を打開するスキルはあるはずだ。


私はいろいろ探してみる。


だが、ライセンス契約が高すぎる。


千尋の願望耕作ウィッシュ・カルティベーションって金貨千枚もするの? しかも一回で。


個人設定してるわけではないだろうが、これは高すぎる。


「女神バズーカがお試し価格で銅貨一枚って何よ!」


確かリィナが盗賊のアジトに撃ったら国ごと半壊させたアレだ。


一応説明が書かれている。


慈愛の力によりあたり一面を野ざらしにする砲弾です。


慈愛とは?


威力は認めるけど、この距離だと港まで壊れそうだ。


探していて気づいたのは、私がみたことがあるものしか一覧にでてきていない。


つまり、サーバンツ(しもべ)を理解していなければ、その力は借りられないということだ。


これまで私は戦闘というものに関与していないし、しようともしていなかった。


そのため、知っている攻撃スキルが女神バズーカと、願望耕作のレベル2しかなかった。


願望耕作レベル2なんて、金貨千枚払って大根を育て、さらに課金してロケットランチャー一発。


さすがにコスパが悪すぎる。


「ねぇ、おじさん」


「なんだ?」


「このままだと大王イカによって港は瓦礫の山になると思うのよね」


「そうだな」


「私の手で瓦礫の山にしていい?」


「いいわけないだろ!」


さて、どうしたもんかと悩むと、


「ようやく私の出番が来たようね」


地縛霊がどこからともなく現れた。


「逃げることしかできないあなたに何ができるのよ?」


「イカを連れて遠くまで逃げます!」


「それで港は助かるわね」


地縛霊は元気よく返事をすると、


シャキーン!


触覚が2本生えやがった。


ひぃ、気持ち悪い!


私だけが前世を知っているので悪寒が走る。


そんな私の気持ちを知らず、元ゴキブリ、いや、地縛霊は大王イカのもとへ飛んでいった。


「こっちですよー!」


見事にイカの注意を引きつけると、そのまま陸とは反対方向へ逃げていく。


私は目を閉じて念じる。


「銅貨一枚支払ってあげるわ!」


漆黒の闇が渦を巻き、一丁のバズーカ砲を形作る。リィナのものとは違い、禍々しい黒い輝きを放っていた。


姫様バズーカ(物理攻撃)!」


ちゅどおぉぉん!


遥か彼方先で爆発する。


七海がそれを見て、


「姫様、地縛霊は無事でしょうか?」


「えっ!?」


「忘れてたのですか?」


「いや、共に天国に召してやるつもりだったんだけど」


「さすが姫様。これも天の導きです!」




遥か彼方。


「いてて……」


地縛霊はたんこぶをさすりながら立ち上がった。


「ミナエさぁん! 囮役と標的役は違いますからねぇぇぇ!」

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