表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
プリンセス・サーバンツ 〜スローライフ希望だったのに魔族の姫として働かされてます〜  作者: みずほたる
念願のスローライフを送ったら、討伐対象になりました。
PR
77/102

75話 姫様、冒険者になります。

「では、新人冒険者の皆には最初の依頼を受けてもらう」


ギルドマスターは壁に貼られた依頼書を指差した。


「まずは街道沿いに出没するゴブリン三匹の討伐だ」


「三匹ですか」


聖香は小さく頷く。


「新人にはちょうどいいでしょう」


「ちょうどいいの?」


私は思わず聞き返した。


ゴブリン三匹という数字にいまいち実感が湧かない。


「よし。頑張って冒険者ランクをあげましょう!」


アキナは元気よく声を出したのだが、


「ちょっと待ってよ」


私は依頼書の下を指差してギルドマスターに聞いた。


「成功報酬が銀貨一枚なんだけど」


「ギルド設立してまもないから大盤振る舞いだろう?」


「成功報酬、お金じゃなくて水洗トイレとかにならないの?」


「水洗......なんだそれは?」


「湯沸かし器でもいいんだけど?」


「湯沸かし器? お湯を沸かしたかったら薪に火をつけやがれ」


「薪でちょうどいい湯加減なんか面倒くさいから言ってるのよ!」


私とギルドマスターが言い争うと、聖香が聞いた。


「で、ラスボス島にはいつ行けるのですか?」


「ラスボス島へ向かう船に乗りたいなら、ランクAの冒険者になることだ」


「私はすでにランクAにふさわしいかと思いますが」


「ゴブリンを倒してから言え。お前は見るからに未熟者だ」


世界で唯一の聖女は未熟者らしい。


こうして、その日の仕事を終えたあと。


私たち四人パーティーは、ようやくゴブリン討伐へ向かった。


「姫様、いました。ゴブリンです」


草むらから聖香が言う。


「勝手に決めつけていいもんなの?」


「確認します?」


「本人に?」


「はい」


「それって、あなたは人間ですか?って聞いてるようなもんじゃないの?」


「確かに、その確認方法は失礼ですね」


「ゴブリンだと思ったら違いましたってなった場合、やっぱ犯罪者よね?」


私は七海に聞いた。


「はい。ゴブリンでなければ、ただの無差別殺人です」


「そもそも、ギルドの依頼とはいえゴブリンって魔物よね?」


「はい。トランペット村にも何匹かいます」


「じゃあ、悪いゴブリンだけ倒さないとダメじゃない」


「はい」


「見分け方は?」


「存じません。履歴書を書いてもらい、犯罪歴を確認しますか?」


「履歴書を書かないゴブリンは?」


「黒です」


困ったもんだと、三人は頭を抱える。


スターフィールドではゴブリンも同胞の一種だったため、ギルド依頼といえどもためらいがあるからだ。


「何さっきから悩んでいるんです? 暗くなってきていますし、皆さんが行かないのであれば、私が!」


と、制止も聞かずアキナは一人でゴブリンの前に立った。


ゴブリンたちは突然近づいてきた人間を見て威嚇した。


次の瞬間、一斉にアキナへ襲いかかる。


「ひぃっ!」


「受付嬢なのに前衛に出ないでよ」


私も後を追い、咄嗟に絶望の波動を放つ。


闇はアキナやゴブリンたちを飲み込むと、アキナは気を失った。


「この波動は、まさか魔族......?」


一匹のゴブリンが震える声で尋ねてきた。


どうやら住む大陸は違っても、魔族の波動はわかるみたいだ。


ゴブリンたちは一斉に武器を捨て、震えながら座り込んだ。


「そうよ。古の悪魔姫(デビルプリンセス)って言ったらわかるかしら?」


「曾祖父さんに聞いたことがあります...... 神をも恐れぬ魔族を統べる姫君がいたと」


その話を聞いた他のゴブリンは、さらにひれ伏す。


「ですが姫様。なぜこんなところに......? この波動はたまに遥か彼方から感じたことはありましたが......」


旅行気分で来たのはいいものの、「帰れなくなりました」と正直に言うのも気が引ける。


すると他のゴブリンが答える。


「姫様が世界征服の第一歩として、この地に来られたのですか?」


「え?」


「我らゴブリン一族、姫様に忠誠を誓います!」


いや、討伐しに来たんだけど。


「ささ、姫様。我らが村にお越し下さい! ささやかですがおもてなしをさせて下さい!」


盛り上がるゴブリンたちだが、


「姫様。依頼はどうされるおつもりですか?」


七海と聖香がやって来た。


「姫様、忌々しい人間たちが現れました。しかもこいつは聖気を感じます。殺すべきです!」


ゴブリンが聖香を要注意人物に認定したようなのだ。


いや、私があんたたち(ゴブリン)を殺しに来たんだけど。


そんなことを言ったら話がややこしくなる。


「この人間たちは私のサーバンツ(しもべ)たちよ」


「さすが姫様。憎き人間たちをすでに手駒にされていたとは!」


七海はため息をついた。


「姫様。多分誤解を招いております」


「とりあえず村に行ってみませんか? 晩御飯代も浮きますし」


聖香の提案に、


「それもそうね」


そう思ったものの、気を失ったアキナをどうしようか悩んでいると、


「私が送り返しておきましょう」


影の中から、風の四天王ウインドが姿を現したのだった。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ