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プリンセス・サーバンツ 〜スローライフ希望だったのに魔族の姫として働かされてます〜  作者: みずほたる
望んだのはスローライフ。――なのに大陸統一を目指されています。
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姫様、国賓を働かせます。

スターフィールドにある、まんぷく食堂。


「チセリ」


レミィは不貞腐れながらテーブルを拭いている。


「話しかけないで。綺麗に拭かないと店長に怒られるんだから!」


汗水垂らしながらチセリは椅子を拭いている。


「私たちスターフィールド(この国)を奪いにきたんだよね?」


「そう言われたらそうね。忘れていたわ」


「なんで日雇い労働してるわけ?」


「治療費とパスタ代を支払うために決まってるじゃない」


「いやいや、国を手に入れたら借金なんか踏み倒せない?」


「......早く言いなさいよ。真面目に働いてる私が馬鹿みたいじゃない。でも、この国の法律聞いた?」


「働かざる者食うべからず?」


「見た感じ姫様も働いてるじゃない。ということは、国を奪っても働かないといけないんじゃない?」


「そこはチセリが国を奪った後に法律を変えたらいいじゃない」


「そんなことしたら国民に怒られるでしょ」


「なんで?」


「だって今の法律、国民に人気なんだから」


「働かないと食べられないのに?」


「その代わり働けば食べられるんでしょ?」


レミィは昨日見た光景を思い出した。


道路は綺麗だった。


店には食べ物が並んでいた。


子供たちは学校へ通い、


病人は病院へ運ばれていた。


テナー王国よりよほど豊かだった。


「チセリ」


「なによ?」


「もしかして私たち、奪う国を間違えたんじゃない?」


「え?」


「私たちが欲しかったのって王国じゃなくて、ご飯なんじゃない?」


「……」


「……」


「確かに。食事にありつけたら全てよしなのよ。で、これからどうする?」


「どうするって?」


「スターフィールドを奪うの?」


「いや」


レミィは呆れた顔をした。


「むしろテナー王国をどうするかじゃない? ほったらかして一週間たつわよ?」


二人は困り果てると店長がやって来て、


「おいバイト。姫様からお呼びだ。行ってこい」


「え?」




スターフィールドにある通称ミナエモン城。


「あんた達いつまでいるの?」


まんぷく食堂の制服を着たままの二人を見て私は聞いた。


「借金を返済して、しばらく食べていけるだけの生活基盤ができたら帰ろうかと」


チセリは本音を話すと、


「国に帰ってから働いて支払ってよ。あんた達が国を治めないからテナー王国で盗賊や山賊が暴れまくってるじゃない」


「え?」


「七海」


「はい」


七海は書類を机の上に置いた。


「テナー王国の被害報告です」


「被害?」



「盗賊団七件。山賊四件。略奪十四件。家畜窃盗二十一件」


「そんなにいるの!?」


「王様が不在の結果、治安維持が機能せず、生活に困った庶民が次々と犯罪者にクラスチェンジしています」


七海に続けて私は正直に言う。


「そんなわけで、避難民やこの国(スターフィールド)に侵入しようとする盗賊が後を立たなくて迷惑なのよ」


「それじゃ、働きながら治安を回復しろっていうわけ?」


「当然じゃない。王様なんだから」


「じゃあやめる!」


「無責任すぎるでしょ」


「姫様。このバカを斬る許可を下さい」


ユウタが怒り浸透だった。


「バカって失礼ね。私が蒼穹の魔女(スカイウィッチ) って呼ばれてること忘れてない?」


「自称だろ!」


「違うわよ!」


チセリは胸を張った。


「私は一週間先の天気がわかるのよ!」


「だからなんだ!」


「雨の日を避けて洗濯できるわ」


「もっと魔女らしいことはないのか!」


「ないわよ!」


不毛な言い争いを見せられていると、


「姫様。彼女は我が国(スターフィールド)に必要な人物かと思います」


「天気予報?」


「はい。今、裕美子様が開発している魔導テレビのコンテンツとして天気予報は重要かと」


「まあ、天気予報は教えてくれるに越したことはないわね」


「レミィ様の能力も有用です」


「どこが?」


「転生者判別機です」


「使い道あるの?」


「ございます。隠れ転生者をあぶりだすことができます」


「なにその隠れキリシタンみたいの」


「転生者は本人が希望していない有用なチートスキルを所持している場合が多いので、国の発展には欠かせません」


「つまり?」


「採用です」


「勝手に決めないで」


「もう決まりました。|プリンセス・サーバンツ《姫様のしもべ》に新事業の書類を提出しておきます」


「仕事早すぎない?」


「あとはテナー王国をどうするかですが、領主を募集するのと同時に治安回復をしなければなりません」


「なんで併合前提で話を進めているのよ?」


「王様を当国で採用した責任はとらないといけません」


こうなったらななみに弁論で勝てる気がしなかったので、


「じゃあ、ユウタ。なんとかしてきてよ。領主にしてあげるから」


「領主の扱いが雑じゃないですか?」


ユウタは懐疑的な顔をした。


「それは名案ですね」


七海はメモを取った。


「では今から領主に任命しましょう」


「決断が早すぎるし適当過ぎないか?」


「ユウタ様は現地事情を把握しています」


「やめろ」


「住民からの信頼もあります」


「やめろ」


「適任です」


「やめろ!」


「とりあえずユウタ。これ持ってテナー王国に行きなよ。道中お腹が空いたらできることもできなくなるわ」


「なんですかこの箱は?」


「毒キノコ5人前セットよ」


「持たせるもの間違ってません?」


「......塩味が好きだった?」


「味の問題ではありません」

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