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プリンセス・サーバンツ 〜スローライフ希望だったのに魔族の姫として働かされてます〜  作者: みずほたる
望んだのはスローライフ。――なのに大陸統一を目指されています。
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姫様、国賓に請求します。

「遥か昔、魔王様にふさわしい杖を作りたく研究を重ね、漆黒の杖という魔導具を作りました。しかし、不必要とされ物置に片付けました。それがここにいるレミィです」


ルシアが淡々と説明したので素朴なことを聞いてみた。


「なんで捨てなかったのよ?」


「国家予算三年分を投資したので、もったいなかったのです」


「杖一本に国家予算三年分!?」


「レミィ。変身なさい」


「はい」


言われるがままにレミィは漆黒の杖へと姿を変えた。


ルシアはそれを掲げる。


「見て下さい。この色を」


「ただの黒じゃない」


「同じ黒でも五百色あります。ほら、この角度から見た色の艶。美しいでしょう?」


「この深みを理解できないとは……」


ルシアは本気で残念そうな顔をした。


「で、その杖に何か特殊効果は当然あるのよね?」


「あります」


ルシアは胸を張った。


「念じると相手のレベルがわかるようになっています」


「鑑定能力ね」


「開発当時は画期的でした」


なるほど。


国家予算三年分はともかく、魔導具としては便利そうである。


「しかし魔王様に献上したところ」


ルシアは遠い目をした。


「『相手のレベルがわかってどうする?』と言われました。さらに一度使用を試して『見られないではないか』と突き返されました」


「確かに反論できないわね」


「そもそもレベルの概念なんか、この世界では最初からどうでも良かったのです」


「作る前に気づきなさいよ」


「さらに魔王様は基本的に武器なんかなくても素手で勝てました」


「ますますいらないわ」


「結果として物置送りです」


レミィが杖から少女に戻り、しょんぼりと肩を落とした。


「ちなみに私のレベルは見えるの?」


私は試しに聞いてみた。


するとレミィはじっと私を見つめる。


「レベル45よ」


私は目を細めて自分のステータスを確認すると、


ミナエ レベル1。


今まで誰も倒したことがないから当然である。


45という数字に思い当たる節があった。


もしかしたら、前世で死んだ年齢がわかるのでは?


となると、使い道がますますないことに気づいた。


「でも驚きなさい。チセリのレベルは110よ!」


「おおっ!」


長生きしたなぁと、素直に感心した。


「私はいくつなのでしょう?」


七海が聞くとレミィはふてくされながら答えた。


「24よ」


「この魔族のお姉さんは?」


「わからないわ」


「あ、わかりました」


七海は即答した。


「姫様。彼女は対象者が転生者かどうかを判別する能力があります」


「使い道あるの?」


「今のところございません」


「ないのね」


期待してなかったので落胆はなかったが、


「で、姫様。いきさつはわからないけど、この二人はテナー王国をのっとった首謀者たちです。捕まえて王国を元に戻したいんですけど」


ユウタが話を本題に戻して来た。


「元に戻したら、あんたはブラック企業ならぬブラック王国に再就職じゃないの?」


「ぐぬぬ。確かにそうですけど……」


「なら彼女たちにホワイト王国作ってもらった方が、あんたにとってもいいのでは?」


ユウタはちらっとチセリとレミィを見ると、


「腹が減って毒キノコ食べるバカに、そんなことができるわけないです」


「私もそう思うわ」


「でしょう?」


「でも毎日あんたも食堂で毒抜き毒キノコパスタ食べてるじゃない。同じ材料よ?」


「……美味しいからセーフです」


「基準がガバガバじゃない」


「そもそもこの世界じゃ麺類がレアなんですよ」


ユウタは困った顔をしたのだった。




城内にある食堂。


よほどお腹を空かせていたのか、チセリとレミィは無言で毒抜き毒キノコパスタを貪り尽くしている。


「国をくれと言ってみたら素直に応じた。とても信じられない話ではありますが」


七海はこめかみを押さえた。


「姫様」


「なによ」


「この世界、思った以上に政治が適当です」


「王がおとなしく退位したとか信じられない。今はどこにいるんですか?」


ユウタの質問に食べ終わったチセリは、


「山菜取りを奨励したから山にでもいるんじゃないかな?」


「適当だな」


少しイラッとするユウタだが、


「私たちだって国を手に入れて贅沢三昧ができると思ったのに今夜食べる物がないって言われたのよ? 他の人にかまっている余裕なんかないわ」


「王になったのに自己保身に走るとは情けない」


「王が空腹で倒れたら本末転倒よ」


「それでスターフィールド(我が国)を手に入れて贅沢三昧をしようと考えたのですね」


七海がまとめるとチセリが、


「このパスタだけでもこの国の食べ物が美味しいことがわかったわ」


「国よりパスタの方が重要そうですね」


「当たり前じゃない。私は贅沢の限りを尽くしたいんだから」


「何か勘違いしてますよ?」


「何よ?」


「あなた方が召し上がったパスタ。有料ですよ?」


「ちょっと待ってよ。私たち国賓でしょ? 普通おもてなしするでしょ!」


「他に毒キノコの治療費も請求しますよ?」


「なんでよ?」


スターフィールド(我が国)領内では|プリンセス・サーバンツ《姫様のしもべ》の方のみ福利厚生が適応されます。なお、領外の方は二倍の価格を請求してます」


「ちょっと待ってよ! さっきも言ったけど、私たち国賓よ!?」


「国賓割引はございます」


「あるじゃない!」


「二倍から一・八倍になります」


「誤差じゃない!」


「ご安心ください」


「え?」


「分割払いも可能です」


「そういう問題じゃない!」

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