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プリンセス・サーバンツ 〜スローライフ希望だったのに魔族の姫として働かされてます〜  作者: みずほたる
望んだのはスローライフ。――なのに大陸統一を目指されています。
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姫様、クーデターを知ります。

「お目通りありがとうございます。テナー王国の密偵。ユウタです」


玉座に座る私の前に礼儀正しく挨拶をする黒髪の青年。


「見る限り転生者ね」


密偵が私に何の用だ?


オカリナの自宅に行ったり、千尋とメロンを食べたり、密偵のやることではない。


何か企んでいるのか。


それとも、ただの馬鹿なのか。


私は本音を知る必要があった。


「僕は王命でこの国の内情を知るために侵入したら、仕事を斡旋されまして、大元帥に力試しを申し込みに行ったら死の竜(デスドラゴン)が暴れました」


「意味がわからないわ」


「姫様。彼の言うことに嘘偽りはございません。我が国(スターフィールド)の諜報部隊の証言と一致してます」


「いつの間に諜報部隊が出来たのよ」


「反乱防止のために作ってみました。ですが、部隊長がまだおりません。そこで密偵である彼をヘッドハンティングしてみては?」


「言いたいことはわかるけど、彼は密偵として何一つ成果を出してないわよ?」


「ちょっと待って下さい! 僕は王国を裏切る気は全くありません!」


「じゃあ、私に何の用よ?」


「スターフィールドの姫様に一度会ってみたくなったんです。魔族の姫でありながら人種差別がなく就職率百%。働きやすさを第一にすることで衣食住に不自由のない暮らしをさせた方なや興味がありました」


「じゃあ用は済んだじゃない。見逃してあげるから帰りなさいよ」


「帰っても働かされるだけなんです。休日は月に二日。給金も銀貨三枚です」


「ブラック企業じゃない」


「だから姫様に助けを求めているんです!」


「他国のことなんか知ったこっちゃないわ」


「どうか、テナー王国を姫様の国にして下さい! そうしたら給金は良くなり、生活レベルが上がるんです!」


「あんた、自分が国を裏切るよりひどいことを言ってることに気づいてる?」


「いえ! 王国そのものがスターフィールドになれば裏切りではありません!」


「理屈として最低ね」


「姫様。彼の論理は破綻しておりますが、実際に他国で似た現象が発生しております」


「発生しないでよ。仕事を増やしてどうするのよ」


「姫様が決めた国の方針によって、人口増につながっているので、姫様の責任かと思いますが」


私が楽したいからインフラを整備しただけなのに、何故か人が集まってくる。


この世界の基準がおかしい。


私は思わず舌打ちをすると、私の身体を介して漆黒のドレスから闇が床に沈んでいったが無視して話を続けた。


「でも、あんたが国を譲りたいって言ったって国王他多数、領民が反対するに決まってるじゃない」


死の竜(デスドラゴン)を送り込めば一発かと」


「昨日、養鶏場の責任者にしたから無理よ」


「ドラゴンなのにですか?」


「むしろ昨日の朝まで鶏だったんだけど?」


「悪魔姫なのに武力行使しないのは何故です?」


「人心掌握ほど面倒くさいことはないからに決まってるじゃない」


「では何故ここまで発展したんです?」


「知らないわよ。勝手になったのよ」


「姫様」


「なによ」


「原因の九割九分は姫様です」


「理不尽だわ」


私は頬を膨らませると、ユウタは言った。


「しかし姫様は我がテナー王国の方針を知っとおいた方がいいんです」


「一応聞いておくわ。どんな方針よ?」


「事なかれ主義です」


「なら私と相性いいじゃない」


「王国全体がそうなんです」


「国としてダメじゃない」


「だから誰も改革しません」


「終わってるわね」


「なので姫様お願いします」


「帰りなさい」


そんなやりとりをしていると、先ほど床に沈んでいった闇が私の前に現れて人の身体を作り出した。


「姫様、お待たせ致しました」


「どうせ待たせるなら服くらい着てきなさいよ」


「これが正装なんですが」


「あーはいはい。わかったわよ。で、あんたは誰よ?」


「風の四天王ウインドです」


「四天王何人いるのよ。あなたで五人目よ」


「皆、気持ちは四天王なのです」


「あなたのせいで四天王の価値がダダ下がりよ? で、何の用?」


「風の噂を仕入れたので報告しようかと」


「それ、当てにならないやつじゃない」


「風レベル1ですので、仕方がありません」


「一応聞くわ。どんな噂?」


「テナー王国でクーデターが起きて王が追放されたそうです」


「は?」


私とユウタの声が重なった。


「誰がクーデターなんかしたんだ?」


「噂では、もしかしたら三丁目に住んでいたマサなんじゃないかって、おばちゃんたちが話しております」


「いきなり情報が雑になったな!」


「風レベル1ですので」


「便利な言葉みたいに使うな」


「ちなみにマサは昨日まで無職だったそうです」


「余計不安になったぞ!?」


「じゃあ頑張って」


私はユウタに言うと、


「助けてくれないんですか?」


「助ける義理はないわ。でも国を乗っ取られたなら忠誠心も何もないでしょ。このまま亡命してもいいわよ」


私はこの話はこれで終わりでいい? と言わんばかりに言うと、ウインドが私に言ってきた。


「姫様。続報です」


「まだあるの?」


「魔女チセリがテナー王国を支配したそうです」


「マサどこいったのよ」

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