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プリンセス・サーバンツ 〜スローライフ希望だったのに魔族の姫として働かされてます〜  作者: みずほたる
望んだのはスローライフ。――なのに大陸統一を目指されています。
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姫様、平和的解決策を模索します。

「あんた達が聖法国に帰ったら、村に平和が訪れるんだけど?」


洋館の食堂で毒抜きキノコパスタを食べ終えた私は、聖香に正論を吐いた。


「そんなこと言われても、国に帰ったら無機質な部屋で延々と祈らされるんですよ? 私の人生、祈るだけで終わっていいんですか?」


「知らないわよ。自分の人生が良くなるように祈りなさいよ」


「それただの願望じゃないですか! 私だって普通の生活したいんですよ!」


「いや、私は古の悪魔姫(デビルプリンセス)なんだから、願いを踏みにじってナンボでしょ」


「そもそもミナエさんは自分の立場をわかっておられますか? 古の悪魔姫(デビルプリンセス)がなんで福利厚生を最優先にした庶民にとって幸福度の高い政治をしてるんですか!」


「スローライフを望んだら、こうなっちゃってるだけよ」


「あの温水式水洗トイレは!」


「あんな昭和の公園にありそうな汚い汲み取り式トイレなんか勘弁だから作ってもらったら、みんな真似しただけよ!」


「あの各家庭にある室内露天風呂は!」


「お風呂という概念がこの世界にないから、私だけでもって作ってもらったら、みんな真似しただけよ!」


「週休二日制は!」


「私が働きたくないだけよ!」


「ゴミの分別って環境に配慮してどうするんですか! むしろ環境を破壊する立場ですよね?」


「環境破壊したら怒られるじゃない!」


「あの義務教育制度は!」


「馬鹿ばっかりだと説明が面倒なのよ!」


「上下水道整備は!」


「井戸水でお腹壊したくないでしょ!」


古の悪魔姫(デビルプリンセス)なら腹痛耐性くらいあるでしょ!?」


「気持ちの問題よ!」


私と聖香が言い争っていると綾子が軽く声を上げて、


「つまり姫様。この生活を知っちゃったら元の生活に戻りたくないって聖女様は言ってるだけです」


「忘れなさい!」


「それは無茶かと...」


綾子は返答に困るとオカリナが鎌を抜いて、


「姫様が忘れろと言ってるんだ。忘れろ」


「姫様。この子いつもこんなに思想がぶっとんでるんですか?」


「ぶっとんでるとは失礼な。忠義に厚いと言え。死にたいのか?」


「感心しないな。私はこれでも勇者だ。そう簡単にはやられないぞ?」


「ほう。悪魔大元帥と呼ばれたこのオカリナ=ベルゼ・シンフォニアに楯突いたこと、ちょっと待て。昨日できなかった自己紹介をしてもいいか?」


「いまさら!?」


なんかこっちはこっちで危険な空気が漂ってきた。


「茶番はこれくらいにして話を整理してもよろしいですか?」


七海が咳払いをしてから、


「聖香様と綾子様が聖法国に戻らない場合、総力戦になりかねない。で、あってますか?」


と、状況を話し出すと聖香は答えた。


「そうですね。(聖女)がいない聖法国なんて、ただの国ですし、崇拝料とそれに関係した商業からの税収しかありませんし」


「なら国のために帰りなさいよ」


私が言うと、


「私だって少しくらい自分のために生きたっていいじゃないですか......」


まあ、言いたいことはわかるのだが総力戦になるのはごめん被りたい。


「ならこの村で祈ればいいじゃないですか。1日8時間。休憩、昼寝ありで。崇拝者はみんなこっちに来て経済がさらに回るようになります」


七海の提案に、私は反対する。


「あのね。この子は対魔族の祈りを捧げてるのよ? 古の悪魔姫(デビルプリンセス)が治める村の中で祈る意味がわからないわ。やってること隠れキリシタンじゃない」


「他の祈りはできないんですか? 必勝祈願や恋愛成就や、宝くじに当たりますように。とか」


「聖女の祈りを神社の参拝みたいにしないでほしいのですが」


「慈愛の女神リィナ様なら喜んで祈りそうですがね。お賽銭入れたらなんでもやりそうです」


「慈愛とは」


聖香が困惑したので、私は提案する。


「じゃあ、あんた(聖香)の代わりにリィナを派遣したら?」


「あ、それでもいいですね。正直誰が祈っても良さそうですし。肩書きは慈愛の女神ですからむこう(聖法国)も文句は言わないでしょう」


「世界の三大神の扱い、雑すぎませんか?」


「私から見たらただの詐欺師ですから」


こうして、一応解決策が出来たのでリィナを呼んで事情を説明したら喜んで承諾した。


「では法王に使いを送ろう。妾が直接行ってしまうと混乱するだろうしな」


そうリィナは言うとどこからか鳩を出して、手紙を足に結びつけて羽ばたかせた。


「これで一件落着ですね」


七海はそう言ったのだが、私は何かを忘れていたのだった。



一週間後。


「姫様。お食事中失礼します」


毒抜きキノコパスタを食べている私に七海が訪ねてきた。


「聖法国が瓦礫の山になりました」


「なんでよ」


「リィナ様の鳩が聖法国につくなり、カイザーフェニックスと化し、国で暴れ狂ったそうです。騎士団の奮戦も虚しく敵わなかったみたいで。今、家屋を無くした者、食べ物や水に困る民が続出しております」


「......で?」


「聖法国では聖女様を失い、神の祟りとして受け取っておりまして、法王に非難が集中してるとか」


「リィナが書いた手紙は?」


「受け取ることなく灰になったかと思われます」


「で、鳩は?」


「どこかに羽ばたいて行ったそうです」


「そうなんだ。まあ、見つけたら捕獲するようリィナに言っといて」


「すでに飼い主の責務を果たすようきつく申し上げておりますが......姫様。行ってみませんか?」


「どこによ?」


「聖法国です」

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