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プリンセス・サーバンツ 〜スローライフ希望だったのに魔族の姫として働かされてます〜  作者: みずほたる
望んだのはスローライフ。――なのに大陸統一を目指されています。
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26話 姫様、聖騎士団を放置します。

聖香と勇者が村で働き出して一ヶ月後。


「姫様。北の聖法国が慌ただしくなっております。なお、今回の出兵には聖騎士団も含まれております」


洋館(私の自宅)にて、毒キノコの新メニューを開発していた私のもとに、七海が淡々と報告してきた。


「なんで?」


「聖香様と勇者様がこの村で働いているから、拉致られたと勘違いしたものと思われます」


「攻めてきたとして勝ち目は?」


「むしろ負ける要素はございません。オカリナ様をはじめ我が村(トランペット村)には戦力がそろっております」


「そういえば三大神がそろって(うち)で働いてるもんね」


「三大神様ですが戦力にはなりませんよ?」


「なんでよ」


「創造神様は創ることしかできませんし、破壊神様はうどん屋のシフトがパンパンです。慈愛の女神リィナ様はもはやただの詐欺師です」


「三大神の定義とは?」


私はつい頭を抱えてしまうと、


「詐欺師とは失礼じゃな」


噂をすれば久々にリィナがやって来た。相変わらず見た目だけは女神様に見える。


「新メニューの毒キノコのオイスターソース和え、食べる?」


「会ってすぐに神を殺そうとするでない。妾が今日来たのは聖香と綾子(あやこ)についてじゃ」


「聖香はわかるけど、綾子って誰よ?」


「勇者じゃ」


「ああ、食い逃げの人」


「ひどい覚え方じゃな」


「で、二人がどうしたのよ?」


「妾への支払いが悪いのじゃ」


「ぼったくった紹介料の話? あれなら無効よ。私の村で詐欺行為なんか許さないわよ?」


古の悪魔姫(デビルプリンセス)の自覚はないのか? 悪魔姫ならここは奪える物は根こそぎ徴収すべきではないかのう?」


「慈愛の女神の自覚あるの?」


「たまに、じゃな」


「いつもしなさいよ」


「借金がないならなんで働いているのじゃ?」


「なんか寒い室内で絶滅危惧種の魔族対策で祈らされるより労働環境がいいらしいわ。勇者も三食昼寝付きが出来て生活環境が爆発的に良くなったって満足してるみたいよ?」


「悪魔姫の軍門に降る理由がおかしくないかのう?」


「で、支払いの相談に来たの?」


私は本題に入ろうとすると、リィナは汗水を垂らして、


「いや、北の聖法国の軍隊がこちらに向かって来たらどうするのか聞きに来たのじゃ」


「なんも考えてないわ」


「ならば妾の召喚獣を使者として遣わすと良いぞ」


リィナはそう言うと、一羽の鳩をどこからか取り出した。


平和の象徴の鳩(カイザーフェニックス)じゃ。なんと実は正体は世間では炎の怪鳥として辺り一面を灰と化すことで有名じゃ」


「平和の象徴じゃないし、使者にしたらダメなやつじゃない」


「二人の支払金を当てにして後払いで買ってしまったのじゃ」


「召喚獣でもなんでもない、ただのペットじゃない」


「妾が商人に支払う金貨がないのじゃ。立て替えてくれんかのう?」


「嫌よ。踏み倒される未来しか見えないわ」


「妾は慈愛の女神リィナじゃぞ?」


「たまにしか女神として自覚してないくせに、よく言えるわね」


「困ったのう。スキマバイトでもするしかないかのう」


「三大神がスキマバイトってどうなのよ」


そもそも日頃からリィナが何をしているのかわからないのだが。


「リィナは日頃からどこで働いてるのよ?」


「犯罪組織じゃ。誰にでも簡単に稼げると聞いてのう」


「この村で犯罪組織なんかあったの? 聞いたことないんだけど」


知らない間にこのトランペット村でもそういった組織があったとは驚きだ。


比較的平和であったアンダンテ国でも貧民街があったが、同じことが起きている前兆なのだろうか。


「犯罪組織ピカピカです。リィナ様。姫様が混乱しないようにしてください」


七海が補足するように言ってくる。


「何よその名前」


「犯罪組織ピカピカは、ようするに清掃業者です。深夜、各店、各施設を定期的に掃除しております」


「なんでそんなややこしい名前なのよ」


「全身黒の作業服を着ていることから千尋(ちひろ)様が面白がって名付けました」


「まったくあの子は......改名するように伝達しといて」


「かしこまりました」


一礼すると七海は部屋から出て行った。


「で、妾の話はこれくらいにして聖法国の軍隊はどうするつもりじゃ?」


「どうもしないわよ。いざとなったら聖香と綾子だっけ? 人質にすればいいだけだし」


「悪魔かお主は」


古の悪魔姫(デビルプリンセス)にそれ聞いてどうするのよ。私だって自分の立場をたまにだけ思い出してるわよ」


「それなら妾と変わらんではないか」


「確かにね」


部屋中に響く笑い声。


するとドアをノックする音。


「失礼しますわ」


聖香と勇者、綾子だったか? 二人が部屋に入ってきた。


ガラス工芸品店の制服が妙に似合っている。


「我が聖法国の軍隊、聖騎士団がこちらに向かってると聞きまして、私の見解を伝えたくお訪ねしました」


聖香の立場なら当然の行動だろう。


「そうね」


実はこの村に被害が出ない距離に、オカリナたち警備班を待機させている。


戦闘は避けたいが、オカリナのことだから警告より先に突撃しかねない。


一応、参謀としてヴィオラも付けているので大丈夫だとは思うけど。


「ミナエさん。戦うなら聖騎士団長であるオリンさんにはご注意下さいませ」


「聖騎士団長オリン.....」


「彼は極めて強力な《《闇魔法》》を使います」





「聖騎士団長とは」


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