其の百二十五…『恋愛について:『針刺し恋人形』の話・前編』
『割れ窓理論』の話はあまりにも『有名』なのであえて『説明』をする必要もないだろう。『斎藤君』が言っていたが、『怪奇現象が日常的になると『普通の人たちの思考』すら『怪異』に『引っ張られる』』のだそうだ。
その話はもう『ユズハさん』が恐らく一番の『好例』だろうと思う。彼女は『怪異』と長いこと一緒に暮らしていたから『怪異に対する恐怖心』が根本的に『無い』のだ。どうやら『化け物に対する恐怖心』は『後天的』に親から『教えられて』得られるもののようで、『ユズハさん』はその『学び』を得る機会を『不幸』なことに持つことができなかったとか。
……これって『割れ窓理論』の話であってるのだろうか?(不安)
さて、これは恐らく『ユズハさん』が『遠因』となって完全に『歪んで』しまった『黒百合丘学園』で『日常的』に起こっている『怪奇な日常』の『一例』だ。この『怪奇な日常』に最も『適応』したのが皆さんもご存じの通り『虎ちゃん』と『東さん』なわけだが、あの『二人』が『学内』で『大暴れ』して『堰守衆』や『昼休み怪談部』を『疲弊』させている『裏』で何やら『怪しげなおまじない』が流行っていたそうだ。『語り部』は『塩尻さん』である。
「…………(溜息)。っと、ごめんごめん、えーと、『怪談』だったね~。これは『石田』っていうか『果心居士』関係なんだけど、最近『私のクラス』で『好きな相手と確実に両思いになれる呪術』ってのが流行ってんだよね~。これはその『呪術』に関する話だよ」と『塩尻華さん』
すると『姫川君』が若干『険しい顔』になって、
「…………最近は『辰口』と『北斗』のせいで完全に忘れていたが、『石田』も『危険人物』だったな…………(溜息)。『塩尻』も疲れてそうだな、しっかり息抜きはしておいた方がいいぞ(心配)」
「ありがとうね(にっこり)、それにしても今日は『姫川』と『やっくん』だけ?」と『塩尻さん』
「はい。多分『ユズハさん』と『ナツメちゃん』は…………」と『私』
するとそこで『部室』が『大きく揺れ』て、『轟音』が響き渡った。
ドーーーーン!!
『三人』とも『天井』を見上げながら、
「…………これもあの『寿司』の力ですかね」と『私』
「いや『ダイナソー』かもねw 最近お腹すいてるらしいから激しいかもよ~?」と『塩尻さん』
「…………全く何もかも『ふざけてる』だろ。『かつて『富山の薬売り』は街道や船旅で消耗する体力を補うために『人間寿司』に『強壮剤』を振りかけて食べてた』だと…………? 『富山』が『寿司』をアピールし始めたのは最近だろ適当なこと言いやがって…………(ぶつぶつ)」と『姫川君』
『塩尻さん』には『南さん』という『同じクラスの友達』がいるのだが、ある時その『南さん』と他数名が『塩尻さん』と共に『石田』から『意中の相手と両思いになれる呪術』を教えてもらったそうだ。
『まず最初に『用意するもの』だけど、一応『メモ』取った方がいいぞ? 『粘土』なら何でもいいけどとりあえず『粘土で作った30センチくらいの人型の人形』を作っておく。この『人形』はとりあえず『人間っぽければ』どんな下手糞でもいいし、『顔』とか作る必要もない。あとは『爪楊枝』だな。ほんとうは『錆びた鉄釘』が一番いいんだが、まあ『そこら辺で売ってる爪楊枝』でも効果には大した違いがないから気にしなくていい…………』と『石田』
最近彼と言うか『果心居士』は良くこうやって『呪術』を『生徒』相手に『販売』して『お小遣い』を稼いでいるようだった。特に『恋のおまじない』は『男女』問わず人気が高いので『引っ張りだこ』で、『学校中』を飛び回っては『おまじない』を『売りさばいて』いるのである。
正直ここまで『堂々』と活動しているのに『堰守衆』が一切止めれてないのは本当に『やばい』と思う。まあ全部『虎ちゃん』と『アズマさん』が悪いんだけど(汗)。
『うんうん』とうなずきながらメモを取る『女子』たちに『石田』が続ける。
『そんで『人形』と『爪楊枝』以外にもう一つ、『三角形の紙』を用意してほしいんだ。書くものはなんでもいいんだが、『三角形の紙』を用意したらまず『逆三角形』にして『机』に置くんだ。そんで『紙の一番上』に『好きな相手』の『名前』を『ローマ字』で書いてくれ。例えばそれが『俺』だったらこうだな…………』
彼はそう言いながら『逆三角形の紙』の一番上の辺に『ISIDASYUUITI』と書いた。さらに続けて、
『………そんでこの『すぐ下』に今度は『相手の名前』のうち『最初の一字』を落とした奴を書くんだ。そんでさらにその下に『さらに先頭の一文字』を落とした名前を書き、その下に『次の先頭の字』を失くしたバージョンを書いてく。それを『最後の一字』まで続けるんだよな。するとこんな感じになるはずだ』と『石田』
ISIDASYUUITI
SIDASYUUITI
IDASYUUITI
DASYUUITI
ASYUUITI
SYUUITI
YUUITI
UUITI
UITI
ITI
TI
I
『文章』で書くと『上記』の感じになるが、実際に『紙』に書くときは『逆三角形の紙の形』に合わせて書いていき、それで『紙面』を完全に埋めてしまうらしい。それ以外の文字は一切書かず、『紙』の反対側の面にも『全く同じ文字列』を書く。書き終わったらこの紙を『丸める』か『畳むか』して『人形』の中に埋め込んでおくそうだ。
『……ここまでが『事前準備』だな。では次は『儀式』ですが、こっちはそこまで難しくありません。『真夜中』に『誰も見られていない』ことを確認してからこの『人形』を手に取り、『俺』の真似をしてくれ………』
『石田』はそういうと『人形』を手に取り、『爪楊枝』を一本もって『人形の喉』の部分に刺して、
『『○○(好きな人の名前)』に突き刺したぞ! 『○○』は俺の物になれ!』
と叫んだ。そしてもう一本『爪楊枝』を手に取ってまた『人形の首』に刺し、『全く同じセリフ』をさけぶ。
彼は『其れ』を最終的に『五回』繰り返し、ついには『人形の首』が『取れて』しまったのである。『石田』はその『落ちた首』を拾い上げてから、
『………『爪楊枝』で『首が落ちる』まで同じことを繰り返してくれ。まあ大体『5~6本』くらいで首が取れると思うから、取れたら『人形の胴体と首と使った爪楊枝』を『土の中』に埋める。だけど『埋める所』を誰にも見られてはだめな。あと『埋める場所』は極力『自分の生活圏内』から離れている方がいいぜ。近い場所に埋めると『呪い』の悪い影響が『自分』にも及ぶかもしれないからな………あ、忘れてたが、『埋めた人形』を誰かが『掘り出して』もその時点で『呪術』は『失敗』だぜ。『失敗』すると『術者』が『死ぬ』ので注意しろよな………以上だぜ。何か質問はあるかな『恋するお嬢様』方?』と『石田』
そこで『塩尻さん』が『メモ』を確認しながら手をあげて、一言。
『………それって『相手を呪い殺す呪術』じゃないんだよね?? なんでそんな『おどろおどろしい』の?』
『石田』は肩をすくめて見せて、
『『なぜ』と言われても『そういう作法だから』としかいえんだなこれが。まあでもあれじゃねーか? 『自分に惚れさせる』って割と『呪い殺す』のとそう変わらないくらい『重い』ことだと思わねーか? だって下手すりゃ『相手の人生』を『一変』させちまうかもしれねーし、それが原因で『死ぬ』ことだってあり得ないわけじゃないだろ? だからこうなってんじゃねーか? 知らねーけどよ』と『石田』
『マジで『呪い』なわけだね…………確かに『相手の本当の気持ち』を『無視』して自分に惚れさせるんだからそりゃあそうだよね~』と『塩尻さん』
『ちょっと~、そういう『覚める』こと言わないでよ~! なんか悪いことしてるみたいじゃ~ん!』と『倉橋さん』
『一応『この呪術』を使ったら『お祓い』を受けておけよ?…………あ、そうだ…………』
(中略)、
その後『塩尻さん』達は実際にその『術』を試してみたらしい。だが『数日後』には『南さん』以外の『全員(塩尻さん含む)』が『術』を『やめて』しまったそうである。
『だ、だって『術に使う人形』を『昼間』に作って『夜』まで『箱』に入れてたらさ! なんか『箱』が『ごそごそ』って音立てるんだよ! もちろん『箱』開けても『人形』しか入ってないし、もうそれだけで『捨てちゃった』よ……』と友人α。
『私は一晩中『人形』と『かくれんぼ』してたよ(疲労)。いざ『使おう』としたら『人形』がいなくなっててさ、『家中』探したらなんでか『風呂場』に置いてあったんだよね~! でも家族は『寝てた』から知ってるはずないし、私も『きもかった』から近所の『河』に捨てちゃった☆』と友人β。
『私も『朝』のうちにさっさと『人形』作っておいたんだけど、その後『人形』を部屋にしまってから『外出』して、そんで『帰宅』して『自分の部屋』の扉を開けようとしたらさ、なぜか『部屋の中』から『好きな人の声』が聞こえたんだよ~! 『マジで私のことが好きだぜ』みたいにいってたけど、なんかそんなの聞いたら逆に『蛙化』しちゃったよ~!』と友人Γ。
『えぇ…………それはちょっと『理不尽』じゃね?(同情)』と『塩尻さん』
『なんか『呪術』を使ってみて初めて思ったんだけどさ。『あんなキモイ思い』してまで『好きか?』って言われたら、『いや~そんことないかも?』って思ったんだよね~。そういう意味じゃあそれが分かっただけでも『呪術』やる価値あったと思うよ(笑)。あ、でも『人形』は『術』使う前だったら普通に捨てても大丈夫だよね??』
『いや、『正しい方法』で捨てないと『死ぬ』ぜ』と『石田』
『『『ういいいいいい!!?? それ最初から言ってよおおおおおおお!!(悲鳴)』』』と女子たち。
『大丈夫だって、俺がちゃんと『お祓い』してやるから(げらげら)。まあ『追加料金』は頂くけどな☆』と『石田』
『…………あんた最近『鳴神さん』と似た感じになってきたよね(呆れ)』と『塩尻さん』
だが一方で『南さん』だけはやめなかったのである。彼女についての話は次回に持ち越す。




