其の百十七…『怪談小豆夜話:『金沢東山牡丹『闘』記『その五』と『霧の化け物』』
今回は『其の百九』の『続き』である。『夜の東山地区』に『毎晩』出現する『化け物』の『討伐作戦』に『氷室牧人さん』の力(麗華さんへの嫌がらせ)によって『参加可能』になった『滝本君』はいきなり『麗華さん』から『殴られた』のである。
バキィッ!!
この『パンチ』で見事に彼は『目を回し』、その状態で『手』を引っ張られて『強引』にその場から連れ出される。なので『滝本君』は『自分がどこに連れてかれているのか』も、『出現したらしい化け物がどこにいるのか』もわからなかった。
(え!? え、え!? なになに!!!??? 化け物が出たって!? どこに!? ていうかなんで俺殴られてんの!?)と『滝本君』
『恐らく『街灯』と思われる流星』が『視界』の中を『しっちゃかめっちゃか』に飛び回り、まるで『命綱一本』で『宇宙空間』に放り出されたかのように感じたそうだ。
(うわわわわ! 俺『SF映画』とかでたまにある『宇宙空間にくるくる回転しながら放り出されるシーン』がマジで怖いんだよ!! とくに『自分を軸にデカイ惑星とがぐるぐる回転してるシーン』とか本当に無理! 止めてくれ~!! あああああああ!!!)
そして『自分の周囲』には『複数人の走る足音』が『同行』しており、『声』が『お風呂』みたいに『反響』していたが、おおよそ『以下』のようなことを話しているのはわかったそうだ。
『『(国道)359号』は越えさせるな! そこが『最終防衛ライン』だ!』
『化け物はどこだって!? 予想通り『鶯町』から来てるのか!?』
『『龍国寺』の近辺らしい! さっき『目撃情報』が入ったんだ!』
『そっちからか!? 『寺院線』から来るなんて聞いてないぞ!』
『『東山』はもともと『寺』が多いんだ! 『化け物』が『寺社』を恐れないことは最初からわかりきってたことだろ!』
『『注連縄』と『賽の神』を設置しろ! 『化け物』があれを『避ける』のは『実証』済みだ!』
『滝本君』にとって『東山地区』は『地元』なのである程度『地理』はわかっていた。なので『化け物は『卯辰山』から降りて来てて、『討伐隊』は『化け物』が『香林坊方面』に進出しないように『防衛線』を構築しようとしている』ことも『理解』できたという。それにしても……、
(……『寺院線』ってなに!? 『お寺』を『線』でつないだ『防衛線』って言いたいのか!? 『レイライン』かよ(全然違うけど)!! つーか『卯辰山』には『神社』もあるのになんで『化け物』が堂々と降りてこれるんだよ……)と『滝本君』
ちなみにまだ『滝本君』の視界は『正常化』しておらず、相変わらず『世界』が好き勝手に『跳ね回って』いたそうだ。するとにわかに『周囲の足音』が騒がしくなり始める。
『『『!? 化け物だ! くそ! こっちに来やがったか! 散れ散れ!!』』』
(えぇ!? …………ってさっきも『現れた』とか言ってなかった!? 一回消えて現れたのか!? ええい! いったい何が起こってるんだよマジで!!! …………って、あ)と『滝本君』
この時『滝本君』を引っ張っていた『手』が離れたので彼は『地面』に倒れこんだ。やっと落ち着いくことができて『ぜぇぜぇ』と自分の荒い呼吸が聞こえてきたが、相変らず『世界』が回っていて何が何だかわからない。
(ううぅ……おえっ……今気づいた……俺酔ってる……)と『滝本君』
そして『事態』は『急展開』しているようだった。
『ぐえぇ!!』
『おい見たのか!? 『一部』だったか!? 教えてくれ!』
『馬鹿顔を出すな! 見ちまうぞ!!』
『仲間を見捨てる気か!? 『滝本少年』を連れていかないと……』
『うおおおお!! 化け物め近寄るなああああああ!!』
『撃て撃て!! 弾幕を張るんだ!!』
(…………え?? もしかして『化け物』がすぐ近くにいるのか!?)と『滝本君』
『滝本君!? こっちに来るんだ! 立ち上がって走れ!』
『滝本くうううううううううん!! この手に捕まれ!!』
そういうなり『誰か』が『滝本君』の『手』を『再度』掴んで強引に引っ張り上げる。なのでまた『滝本君』は『自分の意志』に反して『走らされ』始めた。そして後ろから『足音』も追いかけてくる。恐らく『討伐隊』の人たちだろう。
『うおおおお!! 化け物おおおお!! とまれええええ!!』
『滝本くうううううううううん!!!』
『化け物があああああああ!!!』
(俺を連れながら『化け物』から逃げつつ戦ってる……??)と『滝本君』
とりあえず彼は『ホッ』としたのだが、同時に『妙なこと』に気づいた。『足音』がどんどん遠ざかっていくのだ。
そして『次の言葉』で『滝本君』が『脳震盪』から『回復』したのである。
『滝本君を返せ『化け物』おおおおおお!! とまれえええええええええ!!!』
『……え!? ヒィッ!』と『滝本君』
彼が『反射的』に『手』を振り払って再び『地面』にへたり込む。だが途端に『足音』が全く聞こえなくなっていることに気づいた。異様に周囲が『静か』なのだ。『怒声』もないし『人の気配』も無い。
『は、はひぃ!』と『滝本君』
そして『何かの気配が立ち去った音』もしていない。なので『滝本君』は『顔』をあげようとして、すぐに『両手』で『目』を覆って何も見えないようにした。
(ば、『化け物』は見たらいけない……! 見ない限り『病気』にならない……! 見ない限りは俺だって『戦える』んだ……!)と『滝本君』
……………………、
彼は体感的には『一時間』くらいはその場でずっと『うずくまっていた』と思ったそうだ。最初は『怖くて体が動かなかった』ので『助け』を待っていたそうだが、待てども待てども『足音』も聞こえないし『声』も響いてこない。
…………………、
…………、
…………なので、暫くして考え直して『戦おう』と奮起したらしい。
(…………い、いつまで『ビビって』るんだ『俺』! 『家族の仇』のために来たんだから『男』をみせろ!!)と『滝本君』
彼は『目を塞いだまま』の状態であたりの地面を『手探り』で『武器』になりそうなものをさがしたらしい。すると明らかに『誰かの靴』に手が当たった。
『!? うわあああああああああ!!! 死にやがれ化け物おおおおおおおおお!!!』と『滝本君』
そう叫びながら彼は『氷室麗華さん』の『顔面』を力いっぱい『殴って』しまったらしい。
バキィ!
『…………ってあれ!? ひ、『ひむろん』!? なんで!?』と『滝本君』
『氷室さん』は『滝本君の拳』を『顔面』に受けても『微動だ』にしていなかった。『滝本君』の方も『まるで大木を殴ったような感覚』で、『手』が痛くなって思わず『悲鳴』を上げたという。
『いてぇ! …………ご、ごめん『ひむろん』! 『化け物』かと思ったんだ!(手を振りながら)』と『滝本君』
だが『氷室さん』はいつもの『無表情』を『岩石』のように崩すことなく、
『…………ちゃんと『見ないよう』にしていて『感心』だわ。『討伐隊』の『新規隊員』はその『約束事』を守らずに『初日』で『戦線離脱』する者が多いもの…………けがはないかしら?』と『氷室さん』
そんな心配をする『氷室さん』の鼻から垂れた『鼻血』を『福沢さん』が手拭いでふき取る。
そう、見れば『氷室さん』の横には『福沢さん』がいたのだ。だがそれだけで他の誰も見当たらない。『滝本君』が『キョロキョロ』しながら、
『あ、ありがとう。けがはないと思う…………(本当は足に擦り傷があったが気づいていない)……あの、『ここ』に来るまでに『何が起こったか』が全然わかってないんだけどさ………今『化け物との戦闘』はどうなってるんだ?? みんなは? ていうかなんか『撃て』とか言ってたけど何を『撃ってた』んだ? 俺『撃てる武器』なんてもらってないけど…………?』と『滝本君』
するとそこで『福沢さん』が『新しい盛り塩が入った袋』をくれた。
『クスクス、『質問』が多いわねあなたは。『それ』はあなたが『考えるべき』ことじゃないわ。余計なことに『脳の容量』を使う必要なんてないわ。それより『もっと大事なこと』があると思わない?(クスクス)』と『福沢さん』
『なんだよ、そんなに『秘密』にしておきたいことなのか??』と『滝本君』
『別に説明してもいいけど、『今』はもっと『優先順位の高い事象』があるってことよ、クスクス………まず『あなた』には『理解』してもらうべき『一番大事』なことは、『今』もまだ『牡丹灯籠』と私たちは絶賛『戦闘中』だということよ、まずそれはいいかしら?』と『福沢さん』
そこで『滝本君』が思わず『周囲』を見渡す。相変わらず『夜の静かな東山地区』の情景があるだけだ。すぐ近くに『ひがし茶屋街』の入り口があったので『滝本君』が恐る恐る覗いてみると、『街の灯り』は煌々と照っているが、もちろん『無人』である。ただどこからともなく『歌』は聞こえてきていた。
『…………誰が『歌』歌ってるんだ?? 確か『住民』は夜は『家の中でおとなしくしていないといけない』んじゃなかったっけ?』と『滝本君』
『『あなた』ってすぐに『意識』が別の方に飛ぶのね(クスクス)。でも『警戒』するのは正しくて、今『私たち』は『敵』が『どこにいるのか』もわかってないわ。ただ恐らく『東山』かその近辺にいるのは確かね…………クスクス』と『福沢さん』
『な、なんでそんなことが言えるんだ??』と『滝本君』
その時『氷室さん』は『おっとり刀』で近辺を『うろうろ』しており、『顔』の前に『塩が入った袋』を下げている。その『塩の反応』を見ながら『敵』の位置を探っているらしい。また『ダウジング』も行っていた。
その様を眺めながら『福沢さん』が、
『…………『化け物』たちの方も『私たち』を倒さないとおちおち『金沢』の街中を『荒らす』ことができないからよ(クスクス)。あとは結局のところ『怪異』を『撃滅』できるのが『堰守衆』だけな以上、『堰守衆』を倒せば自動的に『金沢』は『無防備状態』になる。だったら優先すべきは『堰守衆』の方じゃないかしら? だから連中は『私たち』を『排除』するためにこの『付近』を移動してる…………あるいはどこかに『待ち伏せ』してるかもね(クスクス)』
『そ、そうなんだな…………じゃあ『他のみんな』はどこにいるかわかってんのか?』と『滝本君』
『判ってないわ(クスクス)。『討伐隊』どころか『富野』と『秋葉のご当主(牧人さん)』の位置や『生死』すらわかってないわね『私たち』は。だからまずは『現状把握』から始めないといけないの』と『福沢さん』
『連絡取れないのか??』
そこで『福沢さん』が『スマホ』を取り出して、
『他の人達に電話かメッセージを送って『返事』が来ればとれるわ(クスクス)。でも皆が皆『索敵中』だったり『戦闘中』だったりしてるからちゃんと出てくれるかわからないわ。それに『他の人たち』が『自分達の身に起こっていること』を『完全に把握できている』という保証もないでしょ? 例えば『滝本少年』は今自分が『正気かどうか』が自分で分かるのかしら?(クスクス)』
『いや、それは『あんたら』がいるんだから分かるだろ………』と『滝本君』
『クスクス…………残念♪ わからないわ♪ だってどんな『霊能者』でも『自分で自分が正気かどうか』なんてわからないもの(クスクス)、それに『この場の三人』が『同時』に『化け物』に『幻術』を見せられてる可能性もあるから、『調べる』こと自体無意味よ。そしてそれは『私達以外の仲間全員』にも言えるわ(クスクス)。『怪異』は『そういう戦い方』をしてくるの、『討伐隊』に参加した以上はすぐに『適応』してほしいわね(クスクス)』と『福沢さん』
『はぁ…………? で、でもとりあえず他の仲間と『連絡』をしろよ。『仲間』が現状を把握できてないとしても、とりあえず『生死』くらいはわかるだろ…………』と『滝本君』
『『電話に出た』ことが『生きてる』ことを保証しないわ(クスクス)。『怪談』ではよくある『パターン』じゃない? 『電話相手が死者だった』とか『知り合いを騙る化け物だった』とかね。だから『連絡』も慎重になる必要があるわ。もしかしたら『敵』と通話がつながって『電話口』から私たちを『攻撃』してくるかも…………『滝本君』が『電話』かけてみる?(クスクス)』と『福沢さん』
『そんなこと言われてかけるわけねーだろ!(ツッコミ) じゃ、じゃああれか!? 今から俺たちは『化け物』と戦いつつ『他の味方が何してるか、そもそも生きてるか』を『調査』しないとダメってことか!? そんで出来る限り『合流』して『態勢を立て直せ』って!? なんじゃそりゃ! すぐに『増援』呼んでくれよ!』と『滝本君』
するとそこで『氷室さん』が近づいてきて、
『…………『堰守衆』は『人手不足』よ。だから『増援』は最初から考えないで。『滝本君』にわかりやすいえば、『今次戦闘』では『私』が『討伐隊』の『総司令官』の立ち位置で、『あなた(滝本君)』と『福沢京子』は『補佐官』だと思って頂戴。そしてこれからの私たちの『作戦』は『討伐隊の再編成』と『敵の撃破』………そしてその前にできる限り『戦場の霧』を晴らすことにある。『勝敗』を決めるのは『情報』よ、そのことを肝に銘じて頂戴』と『氷室さん』
『戦場の霧』……歴史上のすべての『軍事指揮官』の『判断力』を鈍らせる『味方の不正確な情報』、『敵の流す誤情報』、『部下の失態の隠ぺい』、『報連相不足』、『単純な勘違い』エトセトラエトセトラ……それらを『霧』に例えた表現である。急遽『何も知らないど素人の子供』から『化け物討伐隊補佐官』に『大出世』した『滝本君』はその『霧』をその目で『目視』して、思わず『絶叫』したのだった。
『…………『見ただけで死ぬ化け物』を『霧の中で探して倒せ』って? いくらなんでも『無茶』にもほどがあるだろ!!!!』と『滝本君』
だが『それ』が『実際の怪異との戦闘』の『常』らしい。なるほど、なぜ『退魔師』の『死亡率』が高すぎるのか理解できた『私』と『ユズハさん』と『ノナさん』であった(そして次回へ続く)。




