其の百十六…『死神にまつわる話『その一』』
これは『黒百合丘学園』の『三年生』である『蓮杖先輩』という『男子生徒』がある日『昼休み怪談部』にやってきて話してくれた『怪奇談』である。
「ども~! 『サンシ君』の紹介で来たんだけど、君が『ゆずっち』でそっちの君が『やっくん』?」と『蓮杖先輩』
この先輩は『眼鏡をかけた細身の男子』ということでどう考えても『サンシ先輩』と仲良さそうには見えなかった。だけど『サンシ先輩』と『漫画の趣味』が合うことが分かってから『意気投合』しているらしい……『漫画の趣味が合う』だけで『生粋のヤンキー』である『サンシ先輩』と仲良くなれるものなのだろうか??(失礼)
ちなみに『サンシ先輩』曰く『なんでダチになってるのか俺でもわからん』とのこと。
「こんにちわ~♪ 『サンシ先輩』から話は聞いてますよ~! ささ、お茶をどうぞ♪」と『ユズハさん』
この時『蓮杖先輩』は『ユズハさん』の体のあっちこっちに走っている『傷痕』を一瞥したがすぐに『何も気づいていないふり』をしたようだった。『ユズハさん』は別に気にしていないが『怪談持ち込み』をしてくれる人たちは皆気を遣ってスルーしてくれるので『私』もそれに合わせる。
「ありがとう……それにしても『やっくん』ってすごい『美形』だね……話には聞いてたけど予想以上だよ……(感心)」と『蓮杖先輩』
「あはは、これも『怪奇現象』なんですよ実は(笑)」と『私』
「そうなんですよ~(笑)。私の彼氏マジで『格好いい』でしょ? 写真撮って良いですよ~♪」と『ユズハさん』
「君が許可するのか(笑)」
ここからは『蓮杖先輩』の『怪談』だ。彼の住む町の『近所』には『星崎さん』という『独身女性』が住んでいたそうで、普段は普通の人なのだが、『蓮杖先輩の両親』や近所の人たちに『こんなお願いごと』をしていたそうだ。
『あの、私はたぶん『月一』くらいの頻度で『高熱』を出して『意識を失う』ことがあるんです。意識を失うと『数日から数週間は目を覚まさない』んですが、どうかその間『私の体の清潔を保った』り、『点滴を入れ替えたり』してほしいんです。点滴に使う『液体』が保管してる場所も教えますのでお願いします。あと私が『意識不明』になっても絶対に『病院』には連れてかないでください……『絶対に回復』するので『入院費』が無駄になるんです……『変なお願い』なのは分かってますが、謝礼はちゃんとしますのでお願いします……』と『星崎さん』
最初『蓮杖家』や『隣近所』の人たちはひどく困惑したが、あまりに熱心に頼み込むので一応承知した。ちなみに『なぜそんなことが起こるのか』の理由も話してくれたそうだが、『あまりに荒唐無稽』だったので誰も信じなかったらしい。
それから『半年』が過ぎたころのこと。『蓮杖先輩』の『お爺さん』がずっと『入院』していたのだが、『容体が急変』した。『手術に耐えられる体力があるか不安』だったそうだが『医者』の決断で『手術』が始まったそうだ。
その『手術』の最中『蓮杖先輩』は『病院』に向かおうとして『家の近くのバス停』に向かおうと家を出たらしい。すると『星崎さん』が自分の家の玄関の前で倒れてるのを発見したらしい。
『えぇ!? 『星崎さん』!? どうしたんですか!? うわ! すごい熱!』と『蓮杖先輩』
『うぅ……抵抗するな……もう決まったことなんだ……(うわごと)』と『星崎さん』
『蓮杖先輩』は『パニック』になって『約束事』も頭から飛んで『救急車』を呼ぼうとしたらしい。
『うう、電話電話……!!』
だがすると『星崎さん』が『蓮杖先輩』の手を掴んで『電話』を阻止しようとして、
『……だからダメだって……『仕事』のたびに『入院』してたら『破産』しちゃうから……』
『えぇ!? あ、そういえばそんなこと言ってました……ああ、でももう電話かけちゃってますよ!! ど、どうしよう!?』と『蓮杖先輩』
別に電話を切ればいいだけなのだが『パニック状態』なのでその判断すらできなかったらしい。そして『電話をかけてしまった』→『かけてしまった以上は救急車を呼ばないといけない』という風に『思考』がつながってしまい、彼はそのまま『スマホ』に向かって叫び始める。
『あ、ああ! あの! い、今『星崎さん』が倒れてまして! あ、あの、えっと『高熱』なんです! えっと、でも『意識』はちょっとあるみたいで……』と『蓮杖先輩』
『落ち着いてください。まず今いる場所を教えていただけますか?』と受付の人。
『だ、だから『救急車』は呼ばないでって……(止めようとする)』と『星崎さん』
『ちょ!? なんで邪魔するんですか!? あ、ああ! そうなんですよ『呼ばないで』って言われたんだった! どうすればいいですか!? もしかして『救急車』に『キャンセル料』ってかかります!?』と『蓮杖先輩』
『かかりませんよ。まずは落ち着いてください。慌てる気持ちはわかりますが、まずは落ち着くことが必要です。『深呼吸』をしましょうか、私の言う通りにしてください、息を吸って……』と『窓口の人』
『ああ、はい! えっと、『スー』……(深呼吸)』と『蓮杖先輩』
『だから……呼ばないでって……本当に勘弁してって……!!』と『星崎さん』
そうこうしてるうちに『星崎さん』がだんだんと『元気』になってきたというか、今まで『うわごと』だった言葉が徐々に『はっきり』し始めたそうだ。そしていきなり『ガバッ』と起き上がると『蓮杖先輩』から『スマホ』を奪い取った。
『うわ!? 何するんですか!? ていうか元気になった!? 一体どうして……』と『蓮杖先輩』
『だーかーら! 『119番』はしないでって言ったじゃないですか! 倒れるたびに『入院』してるせいで『保険料』が馬鹿みたいに上がってまだ下がってないんですよ!! 『病気』じゃないんですから『家』の中で寝かせてくれればいいのに余計なことしないで!! おかげで『取り逃がした』じゃないですか!』と『星崎さん』
と、そこで『蓮杖先輩』の『スマホ』に『両親』から連絡が入り『お爺ちゃんが一命をとりとめた』ことを知ったそうだ。すると『星崎さん』がその場で『地団駄』を踏んで、
『なんてこった『生き返っちゃった』じゃん! これだと『獄卒』から『私』が『お仕置き』されるんですよ!! ただでさえ『貯金』ないのにこれからどうやって暮らしてけばいいんだか! あんたのせいだ『お金』払ってくださいよ!!!(首を絞める)』と『星崎さん』
『えぇ!? ぐえ……くるじい……(首を絞められる)』と『蓮杖先輩』
なぜ『星崎さん』はこれほど『蓮杖先輩』に怒っているのか? それは『星崎さん』が『死神のバイト』をしていたからだそうだ。ちなみに『星崎さん』が事前に『近所の人たち』に話していた『事情』は以下の通りである。
『私は実は『死神のバイト』をしてまして、『閻魔庁』の命令で『寿命』を迎えた『人間』の『魂』を『閻魔大王』の前に連れて行くという『仕事』をしてるんですよ。なんでか知りませんけど『冥府』では昔からの『伝統』で『生きた人間』に『死神代行』の『権限』を与えてそういうことをさせるんだそうです。私は『北陸担当』ですので『北陸』で『寿命が近い人間』が出てくると『幽体離脱』状態になってその人を『冥府』に連行するんです。でも『仕事』が終わればすぐに『元通り』になるので、『幽体離脱』するたびに『入院』するの無駄なんですよね……でも『水と栄養』は必要ですし『汗』もかくので『身の回りのお世話』はしてもらわないといけないんですよ……ってこんな話しても信じてもらえませんよね??』と『星崎さん』
この話を聞いて『ユズハさん』が驚いて声をあげた。
「その話って『走無常』じゃん。『中国古典』に登場する『死神の手伝いをする一般人』まんまだよ! 『中国の伝承』だけど『日本』でもってこと!?」と『ユズハさん』
「「え、『中国の伝統』なんですか???」」と『私』&『蓮杖先輩』
『走無常』、あるいは『無常』とは『冥府の命令で地域の寿命を迎えた人を幽体離脱して冥府に連行するアルバイト(的な感じで冥界の鬼神に雇われている一般人)』のことで、『中国志怪』には必ずと言っていいほど登場する存在らしい。この『走無常』の役は別に『特定の家系』に伝承されるものではなく、『冥府』が(恐らくくじ引きか何かで無作為に)選んだ『一般人』がある日突然『任命』され、有無を言わさず『死神的』なことをするらしい。まさに『死神代行』である。だがあくまで『寿命を迎えた人の魂を連れて行く』だけなので『化け物と戦ったり』はしない(卍なんとかしない)。
そしてどうやら『星崎さん』はこの『走無常』に任命されてしまったために『定職』にもつけなくなったらしい。『走無常』の仕事は時期を選ばず『突然』降ってきて、その都度強制的に『幽体離脱』させられるかだそうだ。なので『冥府』から『お給料』を貰って生活してるらしい。しかし『出来高払い』なので『連行に失敗』すると『無給』どころか『鞭打ちのお仕置き』をうけてしまうらしい。
だが『蓮杖先輩』は怒って、
『はぁ??? ってことは『あんた』が『爺ちゃんの魂』を『あの世』へ連れてこうとしてたってことか!? ふっざけんなよ『死神女』!? 邪魔して正解だったぜ! 次『爺ちゃん』を連れていこうとしたら……』
『やかましいいくそガキャアアア!! 人間皆いつか死ぬんだよ!! 私はその『自然の営み』を手伝ってるだけ! それなのにお前が『邪魔』したせいで『他の死神』に仕事を奪われるから結局意味ないし、『私』がひどい目にあうだけじゃねーか!! てめぇが『賠償』しろガキャあああああ!! 有り金全部寄こせやああああああ!!!(また首をしめる)』と『星崎さん』
『うぎゃああああ!! やめろバカ力ああああ!! ……あぎぎ、ほ、本当に息できない……(蒼白)』と『蓮杖先輩』
最終的に『星崎さん』は『蓮杖先輩』に『要求』を突きつけたらしい。
『もう怒った! お前今度から『無償』で『仕事中の私の世話』をしろ! もし『拒否』したら『お前』を『冥府』に連行してやるからな! お前は今度から私の『奴隷』だ馬鹿ガキ! 散々こき使ってやるから覚悟しろよ!!』
『えぇええええええ!!?? 嘘だろおおおおお!!!』と『蓮杖先輩』
これが『ごく一般的な男子高校生:蓮杖先輩』と『現代の死神代行お姉さん:星崎さん』の出会いだったそうである。その後『蓮杖先輩』は『死神界』の『あれこれ』に関わっていくことになるのだそうだが……それは『次回』以降の話である。
「…………これ『怪談』?? 『少年誌のラブコメバトル漫画のあらすじ』とかじゃないよね??」と『ユズハさん』
「『死神』が出るんだから『怪談』だろ? 俺『星崎さんの世話』で忙しいからたまにしか顔出せれねぇけど、面白いエピソードがいくつかあるからまた今度紹介するよ」と『蓮杖先輩』
「『死神界』とかもろ『某死神漫画』じゃないですか、『ホラー』は雰囲気が命なんですけど(困惑)」と『私』




