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其の百六……『昼休み怪談部事始め:霊能者業界怪談その二』

 これは『いつ頃』だったかは忘れたが、『昼休み怪談部』と色々な意味で『かかわりが深すぎる霊能者』である『氷室麗華さん』が『幼いころ』に『目撃』したことらしい。



「…………『私』は『湯涌町(金沢市の山間部にある温泉地)』の近くに住んでいるけど、『氷室家の傍系』が『鶴来(白山市鶴来町)』に住んでるわ。その『傍系』を私たちは『秋葉一族』と呼んでるの。今から『10年前』だったかしら? 私は幼いころ暫く『鶴来』に住んでいたことがあったのよ……(遠い目)」と『氷室さん』




『鶴来町』は『白山市』の中では一応『松任町(白山市の中心部)』に次いで『二番目』に人口が多いエリアである(いや、もしかして美川の方が多い?)一方、『日本海沿岸』にある『松任』や『美川』と違って『山間部』にあり、『スキー場』や『温泉地』としても知られている。それでいて『金沢のベッドタウン』でもあるわけで、『北鉄石川線』の終点でもある。



 そんな『鶴来』には『もう一つの氷室家』が古くから住んでおり、この地域の『顔役』というべきか、いわば『地域の実力者』的な立ち位置らしい。『堰守衆』の中ではもっぱら『退魔師の教育』を担当しているそうで、この一族の屋敷は『退魔師養成学校』のような扱いになっているらしい。


 そして『鶴来』の町は『手取川の上流域』に含まれ、『白山連邦』に面することから『山から下りてくる化け物』が『市街地』に入らないようにせき止める『戦略上の要衝』だそうである。まさに『堰守』に相応しい土地というわけだ。



 その『鶴来町』に『氷室さん』が住んでいた時、彼女の『退魔師』の『師匠』を務めていたのは現在『鶴来氷室家』の『当主』を務める(厳密には当主とは呼ばないそうだが)『氷室牧人さん』と、彼の『姉』であった『氷室秋葉さん』だったという。



 そしてもっぱら『氷室さん』に『退魔の術』を教えていたのは『秋葉さん』だったそうだ。


『…………『秋葉叔母様』、どうして『叔母様』はそんなに『強い』のですか? 『猿の化け物』をいとも簡単に『退散』させた手腕には私も『感嘆』せずにはいられませんでしたわ』と『氷室さん』



『秋葉さん』は『腰まで届く長いストレートの黒髪』に『パリッとしたスーツ』を着ている、いかにも『バリキャリ』と言う雰囲気で、『切れ長の目』がトレードマークの『クールビューティー』だったそうだ。『麗華さん』のあこがれの女性だったらしい(彼女はそういうことを真顔で言う人だ)。



『まだ『5歳』なのに難しい言葉を知ってるね『麗華』は(苦笑)。ご褒美になぜ私が強いのか教えてあげようか? それは『穀断ち』をしているからだよ』と『秋葉さん』



『『穀断ち』とは『穀物を一切食べない』ということですの?』と『麗華さん』


『そう、『米』とか『麦』とか『芋』とかの『穀類全般』を『一切食べない』と言う『食物規定』だよ。これは『仏教』伝統の『修行法』でね。あ、もちろん『穀物だけダメ』ってわけじゃなくて、『肉や魚介類などの肉全般』も『なまぐさ』だから『触れるのもNG』だし、さらには『香味野菜』も『ダメ』なんだ、『玉ねぎ』とか『ニンニク』とか『唐辛子』とかだね』



『…………それだとほとんどの物が食べられないのではなくて??』


『ふふ。その通り、食べられるのは『豆』とか『フルーツ』とかくらいだね。いや~でももうかれこれ『10年以上』は『穀断ち』してるけど、いまだに『お米食べたい欲求』は消えないね~! なにせ『日本の料理』は基本的に『いかにして白米を美味しく食べるか』で設計されてるから、肝心の『米』が食べれないと『食事』自体が『苦痛』なんだよ~! ……でもこれはこういう『修行』だからね。その『苦しみ』のおかげで私は『強い』のさ(ウィンク)』


『そんな『可哀そうな食事』をしていると『体が弱りそう』ですけど、逆に『強くなる』のはすごいですわね……!(目キラキラ)』


『『可哀そうな食事』って言い方を私以外にしちゃあだめだよ麗華(苦笑)』




 そんな『鶴来氷室家』はある時『怪異との戦闘』で『壊滅的な被害』を受けたことがあったらしい。『鶴来町』に常駐していた『14人の堰守衆』が『発狂』したあげく『お互いに殺しあって全滅』してしまい、『湯涌の本家』だけでなく『南加賀』や『能登各地』や『岐阜富山福井』の『傍系』も駆けつけて『総力戦』に臨んだが『二か月間』の間戦闘は『一進一退』をつづけたそうだ。この年『石川県』では『交通事故』や『自殺者』の数が例年の『5倍』にまで上昇したとか。勿論それらのかなりの部分は『巻き込まれた民間人』である。



 なので『氷室家』は『親族会議』を開き、さらには秘密裡に『石川県警』や『公安委員会』、さらには『県知事』まで同席してある『重大決定』が下されたのだ。




『『氷室家のうちの退魔師一名』に『変化の奥義』を会得させ必ずや『怪異』を『調伏』させよ!!』




 その『一族の退魔師』に『秋葉さん』が『抜擢』されたのだった。なので彼女はすぐに『化け物との戦い』からいったん身を引き、『湯涌地域』の某所にある『氷室宗家』の屋敷で『物忌み』と呼ばれる儀式を始めたのである。


 その『物忌み』と言う儀式は『一切の食事を断ち誰とも会わずにひたすらお堂に籠って精神統一する』という子供にはとても耐えられなさそうな修行だったそうだ(本当はもっといろいろやることがあるらしいが)。なので『麗華さん』も『秋葉さん』には会うことができず、『両親』からこうやって『諭されていた』らしい。



『麗華、もう『秋葉さん』とは二度と会うことはできないわ。『物忌み』を終えて『お山』に入る日が『会える最後の日』よ』と『母』


『『秋葉叔母さん』はもう『喋ることができない』んだ。最後は『笑顔』で送り出そうな?』と『父』



 この時『麗華さん』は自分が『何を言ったのか』を憶えていないそうだ。そうやって数日たって『秋葉さん』が『お堂』から出てきて、そのまま『親族の付き添い』のもと『白山連邦』へと入っていき、そのまま『山林』の中に消えてしまったらしい。



『『秋姉さん』はこれからさらにしばらくの間『白山』の『ある場所』にある『特別な修行場』に篭るんだ。そこは『怪異』が決して到達できないが『人間』も到達できない場所で、ただ『物忌みを終えた一人』だけが入れるんだよ…………そこで『秋姉さん』は『人間』ではなくなるんだ』と『牧人叔父さん』




 その後『二か月間』ほどさらに『怪異』との戦いが続いたが、『秋葉さん』は『修行』を終えたらすぐに『堰守衆』に加勢してくれるはずだったのだが、彼女は一向に姿を現さない。そして『退魔師の減少』で徐々に『怪異側』が優勢になり始めたらしい。


 なので『堰守衆』は仕方なく『苦肉の策』をとることにしたのだそうだ。それは『民間人のアルバイトを戦線に投入すること』だそうだ。これによって『堰守衆』はなんとか『膠着状態』に戦況を押し戻し、多少は『余裕』ができたので『数名』を『白山』に派遣して『秋葉さん』を探させたらしい。




『もうすでに『修行』は終えているはずだ! さっさと『秋葉』を山からおろしてこい! このままだと『石川』から人間がいなくなるぞ!!』と『長老』たち。



 その『捜索隊』には急遽と言う形で『麗華さん』も参加していたらしい。それくらい『堰守衆』は『人手不足』だったのだ。彼女は『三人の大人たち』と共に『谷かけられた丸太の橋』を渡り、『登山具を使って垂直の岩肌』をよじ登り、『ごつごつした岩だらけの地面』に『テント』を張って寝泊まりしたらしい。その『岩だらけの場所』の近くには『石が全くなく柔らかい土が露出した地面』があったそうだが、『麗華さん』がそれを指摘すると『そこは川床だ! 今は水が無いように見えるが上流で雨が降るとすぐに川になるぞ!』と指摘されたりしたらしい(キャンプ知識)。



 そうやってやっとのこと『山中にある氷室家が管理する神社』…………『森の中にある『注連縄』で封鎖された洞窟』の入り口まできたわけだが、その中を『ライト』で照らすと、中に『妙なもの』がうずくまっていたという。



『『秋葉叔母様』ですか!? もう『修行』は終わっているのでお返事してくださいまし叔母様! 貴女が来てくださらないと『堰守衆』は早晩にも…………え? 秋葉叔母様…………??』と『麗華さん』



 その『妙なもの』は最初は『こちらに背中を向けてうずくまっている女性』にみえたそうだが、よく近づいてみると『背中がびっしりと毛に覆われて』いて、かたや『両手両足』は『鱗』に包まれていてたそうだ。『指』は『溶けた』ようにくっついて『一つ』になっており、『指先』からは『巨大な草刈り鎌』のような『爪』が伸びている。


 そして『振り返った顔』も『全面が毛におおわれて』いて表情は一切見えず、ただ『ギラギラと輝く真白な眼球』と『口のあたりにある長いひげ』があるだけ。その『ひげ』はまるで『顔から生えている触覚』みたいだったという。





『…………誰ですの??』と『麗華さん』





 すると次の瞬間『毛むくじゃらの怪物』は『二本足』で『洞窟』から『走りだし』て、『障害物だらけの森』をまるで『大草原』のように華麗に『駆け抜けて』いく。すぐに『捜索隊』もその後を全速力でおいかける。



『すぐに『皆』に知らせるんだ! 『秋葉』は『成功』したぞ!!』




 おりしも『時刻』は『夜』だったそうで、暗くて危険な山道を急いで駆け降りる『麗華さんたち』ははるか前方を『飛ぶように走る化け物』の姿が『月』に照らされて何度も見えたらしい。その姿はまるで『巨大なカマキリ』のようだったという。



 その日の夜から『怪異VS堰守衆』の戦闘は一気に『堰守衆優位』に傾いたらしい。『怪異』は明らかに『見えない何か』から『逃げ回り』始め、一時は『金沢森の里エリア』で『10人の集団自殺』を引き起こしていたのに、『三日後』には『白山連邦』へと逃げ込む羽目になっていたらしい。



『いいぞ! そのまま『日本アルプス』に押し込め! 『岐阜県側』で『包囲殲滅』だ!』と『堰守衆たち』



 結果『堰守衆』は『怪異』に『完全勝利』したのだそうだ。だがその後『カマキリの化け物』もまた『白山連邦』へと消えてしまい、行方は誰にもわからなくなったらしい。



「…………だけど、それ以降『鶴来氷室家』は『秋葉一族』と呼び改められるようになったわ。なぜなら『秋葉叔母さん』がたまに『鶴来氷室家』に『帰って来る』ことがあるからだそうよ…………でも『叔母様』と会うことができるのは『牧人叔父様』だけよ…………(目を閉じる)」と『麗華さん』



 ちなみに『吉田ノア君』と『粟島悠ちゃん』の『両親』もこの時の戦いに『アルバイト』として参加して『戦死』しており、『氷室宗家』が代わりに引き取って養育しつつ『退魔師の英才教育』を施したらしい。『私たち』が暮らしてる『石川県』でこんなことがあったなんて全然知らなかった…………。



「…………知らないのは当然よ。だって『そういう風』にしたから…………『あなた達』も気を付けることね。『霊能者』だけじゃなくて『怪異』もよく『そういうこと』をするから…………」と『氷室麗華さん』



 …………『そういうこと』ってどういうこと??

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