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不良の兄と、可愛い妹!  作者: 愛依
笑いあり!涙あり? 夏合宿!
35/37

コンクールに出ないわけ。

「かーよーちん!」

「…あぁ?」

「だから俺に対して当たr…」

「はいはい、なんですか?」


曜先輩に声をかけられたのは、お兄ちゃんとマリンが家を出て3分後のこと。


「いや、マリンちゃんどこかなー、って思って」

「さっきお兄ちゃんと出かけました。」

「えぇ!椋夜くんと!?どこに!?まさかデーt…」

「違います。買い出しです」

「なんだぁ〜よかった!」


なんだこいつ。

なんでもかんでもすぐ恋愛に結びつけたがる中学生か。


「ねね、どこのお店?」

「近くのスーパーです。」

「スーパーに椋夜くん?似合わねぇー」

「はいはい、とっととどこかいって下さい。静かにしててください」

「何でそんなに雑なの…まぁいいや!」


立ち直り早っ。

ハート超合金かよ。


「じゃあ俺、ちょっとマリンちゃんとこ行ってくるわ!」

「勝手にしてください」


あえて止めなかった。

マリンは嫌がるけど、お兄ちゃんが一緒だし多分大丈夫。

あの2人、何だかんだ仲がいい。

マリンが嫌がることを曜先輩がしたら、お兄ちゃんがぶっ飛ばしてくれるから大丈夫なはずだ。


「よし、じゃあ、アクア!」

「はーい?なに?花夜姉」

「お米炊いてもらっていい?」

「うん!あ、その代わりにね、お願いがあるんだけど…」

「お願い?」


アクアからのお願いなんて珍しい。

アクアが幼稚園生だった時以来かもしれない。


「うんとね、花夜姉のピアノが、聴きたい。」

「ピアノ…曲は?」

「えっと、海夜姉の得意だった曲」

「お姉ちゃんの…?」


お姉ちゃんの得意だった曲…絶対に忘れない。

ショパンの華麗なる大円舞曲 ワルツ1番 変ホ長調。


「久しぶりに聴きたいの。海夜姉が居なくなっちゃってから、コンクールにも出てないから…」


コンクール…

出てないんじゃない、出れないんだ。

お姉ちゃんが亡くなってから1ヶ月くらい、ピアノの音が聴こえなかった。

医者には、精神的なものだと言われた。

そのあと、すぐ聴こえるようにはなったけど。

お姉ちゃんが亡くなってから初めて出た大会で、私は演奏を途中で止め、泣いてしまった。

それから怖くて出れないだけだ。


「なんであの曲なの?」

「…なんとなく」

「………しょうがないなぁ。」


そういった瞬間、アクアの顔がパァっと明るくなった。

マリンとお兄ちゃんが帰ってくるまで限定で、私はお姉ちゃんの思い出の曲を弾いた。

彩樹家の末っ子、意外と過去が重いんです。

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