壊れてない、それだけで
こんばんは。2話です
味噌汁の匂いに誘われ目を覚ます。
━生きてる。
外は明るく、まるで昨日のことは夢のように思えた。
体を起こしひとつ伸びをする。まだ覚めきってない脳を刺激するかのように叫び声が聞こえた。
「きゃあぁぁぁ!!!!」
重い体を動かし階段を降りる。そこで見たのはパンツ一丁でコーヒーを飲む男がいた。
「…なにしてんの」
「おー、なゆたおはよう。今日は早いな」
パンイチの男、ヤマトは気にする様子もなくコーヒーをまた1口飲む。
「な、ななにしてんのよ!そんな格好で!!目が腐るじゃない!なゆ!見ちゃダメよ!目が腐る!!」
叫び声の張本人、ニコは慌ててなゆたの目を両手で塞いだ。
またいつもの日常。
━壊れていない
それだけで十分だった。
奥のキッチンから右手にオタマを持ったサクヤが現れた。
「おはよう。なゆた。味噌汁作ったけどいる?」
「おはよう。うん。とりあえず、顔を洗ってくるよ」
ニコの手を退かし、洗面所に向かう。
いつもの光景。
なゆたはそんな日常を求めていた。
水は少し冷たく一気に脳が起こされる。
顔をあげると鏡に映っていたのはただの人間の少女。少し息を吐き、目を閉じる。
そして、すぐにまたゆっくりと目を開けるとそこには昨日の夜、人間を救った鬼の少女。
なゆたは"半妖"と呼ばれるもの。
妖怪と人間の間に生まれてきたのだ。
とある言葉が脳裏を過ぎる。
━忌み子━
その言葉だけは、忘れたことがない。
あの場所には、もう戻れない。
また目を閉じ、人間の姿にもどる。
人間に混じり、人でも妖でもない。居場所はここだけ。
「その為なら、世界を敵にしてでもこの平穏を守ってみせる。祢々切丸…一体どこにあるんだ…」
心の声が知らずに出る。
「なゆたー?朝飯出来上がったってよ」
「…今行く」
ヤマトはいつも通りの声で呼ぶ。
━だが、その目だけは、わずかに鋭かった。
その場を後にし、3人のいる場所に向かう。
何としてでも、祢々切丸は見つけなくちゃいけない。
━手遅れになる前に
見てくださりありがとうございます。
日常ってどこか嵐の前の静けさを感じさせますよね




