3-1 おめでとう
「ツルギーさんを、星三つに昇格します」
半年後。
受付のシオさんがそう宣言し、遂に私は、一つの到達点である、星三つに辿りついた。
星三つになることで、組合に紹介してもらえる依頼、その全てを単独で受けることができるようになるのだ。単独で受けた依頼を成功させれば、それだけ評価点は高くなり、更なる昇格を望める。
『ドニーのランクが上がっているから、私の時より時間がかかるとも思っていたけれど――よくがんばったね。おめでとう。ツルギー』
「ありがとう、姉さん」
部屋に戻って、姉はそう祝ってくれる。
『星がつくのは三つまでで、ここからは一本、二本と付けられていく。これはこれまでみたいに、任務ごとに見直されるわけではなくて、半年ごとの査定になるから、今後は、ランクを上げたいのだったら、期間を意識して大きい任務を継続的に受けるのがいいと思う』
「うん」
私としては、姉の最終ランク、星三つと十一本まで到達したいところである。そのために、星三つになったことを活かしてこれまで以上の難度の任務にも積極的に参加していきたいとは考えているが、姉が言っていることはつまり、一度の査定で付く本数には上限があるということだろうか。しかし姉が、星三つに半年で到達したとして命を落とすまでには約三年間あった。査定が半年ごとということは六回か七回ほど、最低でも一回に二本は付くようである。姉と同等の任務をこなせば三年、シオさんやドニーさんとも相談しながら、これから計画的にいくべきだろう。
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「《調査任務》、ですか」
翌日、受付に行くと、シオさんが仕事の話を持ちかけてきた。
「はい。たまにあるんです」
彼女は頷く。
「中央の剣士団からの依頼で、先遣隊として、国民に危害を加えるおそれのあるような、討伐対象になり得る生物の危険度を調査する、という任務です」
「お。いいねえ」ドニーさんが現れて、横から依頼状を覗き込む。「場所は――ローツェ街道か。そろそろ本格的に、整備するんだろうな」
ローツェ街道。それは、この国で四番目に大きい街道で、私の初任務で、ドニーさんと共に向かったところだ。
「受けるつもりなの?」
「おはようございます。えっと、はい」私は応じる。場所は行ったことがある。内容としても、《調査》と銘打っているからにはそこまでの難度でもないだろう。かつて行った巡回ではないということは、整備されていなかった奥のほうにも踏み込んでいかなければならないかも知れないが、あの初任務の時より私は随分成長できている。それに、剣士団からの依頼、というところも興味が湧いた点だ。
「じゃあツルギーと、私が入るとして、もう一人だな」
ドニーさんは言った。
「もう一人?」
「ああ。この任務は、三人組で受注する」
彼女はそう答えた。
「こいつはカルド。フォスとも面識がある」
椅子に掛けて待っていると、ドニーさんが、組合の同僚たちの中でもやたら背が高い男性を連れてきた。
ただし、他の人たちと同様に筋骨隆々、というわけではなく、頭一つぶんほど小さいドニーさんと同じくらいの筋肉量で、それを縦に引き伸ばした、というような印象を受けた。逞しいという形容は似合わない。締まっているその身体の腰には、剣身が、そのやたら高い背の半分くらいはありそうな長さの剣を差している。
「はじめまして――僕は何度か見かけてはいたけれど――カルドといいます。フォスさんとは、何度か一緒に任務を受けたことがある」
髪は目にかかるくらいの長さで、その隙間から覗く瞳で、かなり身長差のある私を捉えるカルドさん。
「よろしくお願いします」
私は頭を下げる。全く、ノアくんというかっこいい人が居ながらこんなところで男を作っているだなんて、と意味のないことを考えながら、私たちは任務に向けての話し合いを始めた。




