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異世界の観察者  作者: 天霧翔
第二十二章 イニステラ①
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「アキ、もうすぐアキのお屋敷つくけどどうする?」


 いつもの調子が戻ってきたシズ。


 これなら色々話が出来そうだ。屋敷であれば誰かに聞かれる事を心配する必要もないし、そこで話をすればいいだろう。


「シズは時間大丈夫?」

「うん、平気だよ。何かある?」

「今度は俺からのお願いだな。少しイニステラについて教えて欲しい。うちで少しお茶でもしていかないか?」


 予定通り情報収集だ。


「いいよ!そんなのでよければいくらでも!」


 まあ今日購入した屋敷だから出せるお茶なんてないが。あくまでお茶という名の雑談だ。






 アキの屋敷に到着した。早速シズをリビングまで案内する。現在の時刻は14時過ぎ。今日はこの屋敷で転移すればいいので1時間程度は話せる余裕がある。


 ただ影に潜んでいるイリアとルティアがいい加減拗ねそうだ。ずっと側で見ているだけだろうから暇しているに違いない。それに「まだなの?」という無言のプレッシャーをさっきから感じる。これは今日も間違いなくお話コースだ・・・。しかしいつの間にかイリアがすっかり「お話」仲間に加わっているのには笑う。まあそれだけ気に入られているという事だし悪い気はしないが。


「それで聞きたい事ってなに?」


 リビングのソファーに腰を下ろしたシズが「友人との会話」を待ちきれないと言わんばかりに聞いてくる。ただアキとしてはあまり仲良さげに団欒するとと不機嫌になる2人が側にいるので、シズとの話はさっさと終わらせてしまいたいところだ。


「うん、噂で聞いたんだけどこの国の王女が何か面白い事やっているんだって?」


 もうシズとの友好関係は十分に築けただろう。アキは前置きなしに本題を切り出す。


「ああ、それはユーリロキサーヌ王女殿下の事だね。この街に来たばかりのアキの耳にも入ってるんだ。」

「この街に来て初日に聞いたから印象深くて。氷姫って聞こえたけど、その王女様のことだろ?もし何か知っていたら教えてよ。」

「うん、私で知っている事でよければいいよ。単なる噂だったらこう言う事を話すのは不敬になるけど、事実だからね。アキに教えてもなんの問題もないかな。」


 シズが苦笑しつつも、詳しく教えてくれた。簡単に言えば、王女を楽しませることが出来れば、願いを叶えてくれるらしい。まあ全部ルティアの情報収集通りだ。


「なるほどね。聞きたいのは何の目的でそんな事してるのかってことなんだけど。」

「えっとね・・・なんでも氷姫って呼ばれているのが気に入らないんだって。」


 いつも仏頂面で感情がない氷のような王女。でも本人からしてみれば、楽しい事がないから笑わないだけで、楽しい事があれば笑うと言い張っているのだとか。悪いのは自分を楽しませる事が出来ない周りが悪い。だから「私を楽しませなさい」という事らしい。なんともまあ自己主張の激しい王女様だ。ある意味信念を持っているとも言えなくもないが、世間知らずなのは間違いなさそうだ。


「じゃあ依頼は王女本人が?王や王妃はそれを許してるの?」

「あはは。えっとね、友達のアキだから言うけど・・・内緒だからね?」


 王女の両親である王や王妃、兄である王子も、実は氷姫という渾名がぴったりだと思っているらしい。事の発端は王が口を滑らせ、王女に「笑わないから氷姫なんだぞ」的な事を言ったのが原因なのだとか。そしてそれに憤慨した氷姫様が「私は悪くない、私を笑わせない世界が悪い」と息巻いて私を楽しませなさい大会という愉快な事を始めた。最初は王族の恥を晒すなと王は止めようとしたが、王子が「それで笑うようになったらラッキーだ」と言った事で王家公認の催しになったらしい。王や王妃も仏頂面で笑わない娘が少しでも笑うようになればと思い黙認しているようだ。


「そうか・・・平和だな・・・。」

「うう・・・お恥ずかしい限りで・・。」


 自分の国の恥部だとシズが恥ずかしそうに呟く。


 しかしそんな事をしている程、この国は平和ではないはずだ。だがまあ自分の跡継ぎになるかもしれない娘の事だ。気持ちはわからなくもない。


 それにシズ曰く、ユーリロキサーヌはこの欠点を除けば、ものすごく優秀で頭も切れる人間らしい。兄の第一王子より王位に近いと言われていて、対話・対人能力さえ改善できれば、時期女王は確実なのだとか。そんなに優秀なら多少の遊びも許されると言う事だろう。


「へぇ・・・でもその氷姫様はそんなに暇なのか?」

「いや・・・忙しいはずなんだけどね。優秀だから時間があるんじゃないかな。」


 どうやら国務を終わらせても、余裕で時間が余るらしい。だからその時間を使って例の催しをしているのだとか。


「年齢は?」

「16歳だよ。」


 王女とはいっても年齢的にはまだまだ子供。うちのベルもそうだが、きっと色々と反抗したい難しいお年頃なのだろう。


「あ、ちなみにシズは?」

「あれ、言ってなかったっけ。私は18歳だよ。」

「なんだ、一緒か。」

「アキもそうなの?なんか嬉しい!同い年のお友達!」


 シズはやったと喜んでいるが、アキとしてはちょっと驚いた。


 18歳で騎士隊長。それは本当に凄いと思う。もしかしたら父親のコネなのかもしれないが、コネだけで隊長を続けられる程甘い世界ではないだろう。間違いなく実力や素質もある。


「話を戻すけど、その王女の催しへの参加は誰でもできるの?」

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