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「話を戻すけど、王女の催しへの参加は誰でもできるの?」
シズの身の上話も気になるが、とりあえずは王女の方だ。話を聞く限り、催しに参加する価値はあるだろう。手っ取り早く為政者と繋がりを持てるチャンスだ。
「できるけど・・・やるの?」
「そうだね。やってみようかな。」
「叶えたい願いでもあるのかな?でもなんかアキなら出来そうな気がするよ。」
シズがくすくすと笑う。
ちなみに王女は毎日1時間程、その催しの時間を設けているらしい。最初は行列が出来るくらい挑戦者がいたが、最近は誰も挑戦しに来ないのだとか。
「場所はあの王城?」
「そうだね。行くなら案内するよ?」
「うん、その時はシズに頼むね。今日はさすがに疲れたしやめとくよ。」
参加する価値はあると思うが、今一度検討すべきだろう。どうするかの判断はミルナ達と相談してからでいい。
「まあ氷姫様の事は数日後にするよ。シズには使いを出すね。」
「うん、わかった。私も家の事でアキの力がいる時は使いをだすね。あ、それとその『氷姫』って本人には言わないほうがいいからね?」
シズが苦笑いを浮かべながら忠告してくれた。
「じゃあまたね、今日はありがと、アキ!」
「こちらこそありがとう。」
シズを見送る。今日はこれで解散だ。
それに時刻も16時近い。そろそろ帰る準備をしなければ。とりあえずイリアとルティアの2人は影から出て来てもらう。
「うん、なんで不機嫌なのかな?」
ただ姿を見せたルティアとイリアは大層へそを曲げている。そんなに退屈だったのだろうか。
「アキ、遅い。」
「ほんとだよ!暇だったんだからね!」
まあ1日影にいたらそんな愚痴を言われるのも仕方ないか。しかしランクⅣを祝ってくれるでもなく、開口一番が文句なのは何とも・・・。それに文句を言うなら言うで、ちゃんと怒気を出して欲しい。ルティアは背中にくっついて満足気な表情だし、イリアも何故か少し嬉しそうだ。そもそもこの子達は怒る気があるのか。
「とりあえず帰るか・・・。ゆっくりするのは向こうに帰ってからでいいだろ。」
ここでのんびりしても仕方ない。さっさと帰ってミルナ達を構わなければ。それに今日も報告する事は山ほどある。
「おかえりなさいませ、アキさん。」
ベルがお辞儀で出迎えてくれる。「出来た妻でしょう?」と満足気のベルだが、アキとしては何やってるんだこいつらという感想しか出てこない。ミルナ達の表情を見るに、絶対誰が一番に「おかえり」を言うかを争った後だ。こうして出迎えてくれるのは本当に嬉しいが、悲惨な戦後のような空気の中で「おかえり」とか言われても素直に喜べない。
「ただいま、シャルちゃん。」
「おかえりなさいです!お風呂の準備出来ています!」
「ありがとう、さすがシャルちゃんだ。」
とりあえずシャルに逃げよう。触らぬ神に祟りなしと言うし、今のミルナ達の誰を構っても面倒な事になりそうだ。しかしシャルが一番年下なのに一番しっかりしているのはどういう事だ。
「アキさん、私、私が一番に言ったんですよ!無視はよくないと思います!」
ベルが「私を構って」と服の裾を引っ張ってくる。
「シャルちゃん、タオルは?」
とりあえずベルの事は引き続き無視する。留守番させた分いっぱいミルナ達を構ってやろうと意気揚々とベルフィオーレに戻って来たのに、こんな鬼気迫る顔で迫られたら逆に逃げたくなるだろうが。
「はい、こちらです。お荷物貰いますね。」
「ありがとう。」
シャルからタオルを受け取り、荷物を渡す。本当にシャルは気が利く。最近はアリアを凌ぐ勢いで成長している気がする。
「アキさん、やだ。無視は嫌。ねえ、ねえ・・・!」
ベルが腕を絡めて甘えてくる。
「だったら誰が一番に『おかえり』を言うかで争ったりするな。」
「だ、だってー!」
「で発案者はだれなの。」
「そ、それは内緒。」
視線を逸らすベル。まあなんとなく想像はつく。
「そこの白と黒。正直に言いなさい。」
どうせミルナとソフィーだろう。こういう事をするのこの2人しかいない。他の子達は思いついてもちゃんとブレーキを踏む。だがこの無駄乳と駄エルフはすぐに実行に移す。ブレーキなんて概念が存在しない。常にアクセル全開なのがミルナとソフィー。
「せめて名前で呼んでくださいませ!?」
「イヤですー!黒はやめてくださいですー!」
まあそれがこの2人の可愛いところではあるが。




