↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界の観察者  作者: 天霧翔
第二十二章 イニステラ①
387/1143

10

 「ほう!私に勝つつもりか、面白い!本気で来い!」

 「まあまあ、訓練場まで待ってくださいね。」

 

 既にヒートアップしているシズをリナが落ち着かせる。


 訓練場に案内するのでついて来てくださいとリナは受付の隣にある扉へ入っていった。アキとシズもそれに続いて訓練場へ向かう。


 ちなみに試験は非公開ではないらしく、誰でも見る事が出来るのだとか。それに受付嬢と訓練場へ向かったら、何が行われるかは大体想像がつく。連盟内にいたハンター連中は興味津々にアキ達の方を見ていたし、きっと野次馬しに来るに違いない。

 

 まあ別に実力を隠す予定はないので構わない。むしろ今後ミルナ達をユーフレインへ連れてくるし、アキの実力を知らしめておくいい機会だ。実力者だと周囲が勘違いしてくれれば、うちの子達にはちょっかいを出して来ないだろう。少しでも面倒事を回避できるならそれに越したことはない。


「さて・・・準備はよろしいですか?」


 リナが訓練場の中央でアキ達に確認しくる。


 訓練場は受付の扉を抜けたらすぐにあった。円形状のフィールドに観客席。簡易的なコロシアムといった感じだ。そして壁面には様々な武器が並べられている。まさに模擬戦するにはうってつけの場所だ。


 アキとシズは10Mくらい間を空けて対面する。いよいよ戦闘適正試験。相手はシズなので模擬戦みたいなものだが、見物人もいるし、ベルフィオーレの闘技大会のような物と考えておいた方がいいだろう。


 それに久々の実戦だ。うちの子達やエリスと訓練は毎日欠かさず行っているが、彼女達以外との実践は一切していない。大丈夫だとは思うが、油断は禁物だ。


「リナさん。始める前にルール確認だけさせてください。」

「はい。近距離、遠距離、魔法攻撃なんでもありです。ただあまりにも遠距離や魔法一辺倒とかだと実力がわからないので、戦闘方法を適宜変えてください。まあその時は私が声をかけますので、とりあえず好きに戦って頂いて大丈夫です」


 なるほど。アキの場合、まさにそれを指摘されるだろう。魔法中心にするつもりだったが、近距離戦闘もやる必要がありそうだ。おそらく攻撃魔法に制限がかけられる。とりあえずは好きに戦っていいそうなので、いつも通りいこう。


「勝ち負けは?いつまでやればいいんですか?」

「あらあら、アキさんは自信があるんですね。大抵は試験官のほうが強いのでギブアップするか審判が止めるのですが・・・そうですね、試験官であるシズルドリーヴァさんがギブアップしても終わりです。ふふ、頑張ってください。」


 リナがくすくすと笑う。どうやら試験官を倒す事は稀らしい。


 だが正直なところ、結構余裕ではないだろうか。アキは負ける気なんてさらさらない。適当にシズをあしらって終わらせるつもりだ。シズの実力が予想通りBランク相当だった場合の話だが。


 もし彼女がエリス以上の実力者なのであれば注意が必要だ。とはいっても攻撃魔法有りならエリスをも圧倒できるし大丈夫だろう。それにオリハルコンを使えば瞬殺する事も可能だ。まあさすがにこの試験でそんなもの使うわけにはいかないが。


「他に質問はないですか?よろしいですか?では、はじめ!」






 リナの合図ともにシズが地面を蹴る。一気にアキとの距離を詰めてくる。


 だがそんな事は勿論させない。


 アキはまず無詠唱で魔法を叩き込み、シズの動きを止める。さすがに視認性が低い氷刃魔法は避けられないだろうから使っていない。アキが行使した魔法はいつもの氷矢と炎魔法だけだ。まあ無詠唱で予備動作なしに魔法を飛ばしたので、シズを飛び退かせるには十分な効果があった。


「アキ!そんな魔法使えるなんて聞いてないぞ!」


 初期位置あたりまで後退ったシズが叫ぶ。


 アキは一度魔法を止めるが、シズはもう突っ込んでこない。距離を詰めようとしたら魔法を打たれると分かったのだろう。


 これがエリスだったら、視認性が低い氷刃魔法を混ぜない限り、躱しつつ接近してくる。氷矢を捌き、炎を避けて、巧みに接近戦に持ち込んでくる。だがシズにそこまでの実力はないらしい。彼女の戦闘能力は未知数だったので小手調べに魔法放ったのだが、彼女の実力を把握するには十分だったようだ。シズの実力はエリスに及ばないと考えていいだろう。これはイリアの観察通り、シズはBランク程度の実力だ。


「まあ、言ってないし。そこから動かないでね、シズに怪我させたくない。」

「わかってる・・・むう、どうしたものか。」


 シズから「しばらくは動かない」と言質が取れたので、アキは次の一手を打つ。このまま見つめ合っているだけでは試験として成立しない。リナを納得させるだけの実力をまずは見せなければ。


「シズちょっと待ってね。リナさん、そこの槍使っていいですか?」

「え、ええ、構いませんよ?」


 急に話を振られ、驚いた様子のリナ。ただすぐに問題ないと頷く。


 アキは早速壁際においてあった槍を一本拝借する。おそらく訓練用の安物だろう。そしてそれをシズの隣に刺さるよう放り投げる。


「こら!急に投げるな!一瞬攻撃されるのかと思ったぞ!」


 シズが頬を膨らませて拗ねている。


「嘘つけ。微動だにしなかったくせに。」

「それでこれはなんだ?」

「うん、それはシズに白旗をあげさせる為のものだ。」

「ほう・・・?しかし私がそんな簡単に白旗を上げるなんて思うなよ!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。