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「やあ、リナ。」
「あら、シズルドリーヴァさん。ごきげんよう。」
シズが受付嬢に声をかける。リナというらしい。
「今日はどうされましたか?」
「うむ。友人がハンター連盟に用があるというので案内したのだよ。アキ、彼女がさっき話していた受付嬢でリナという。」
「こんにちは。アキと申します。」
アキは早速リナに対して挨拶する。
「ご丁寧にありがとうございます。ハンター連盟イリステラ支部の受付を担当しておりますリナリスと申します。お気軽にリナとお呼びください。しかし・・・シズルドリーヴァさんのご友人。あらあら。」
リナがうふふと意味深な笑みを浮かべる。珍しいものを見たといった顔だ。
「どうした、リナ。何かおかしいか?」
「いえいえ。それよりアキさん、ご用件をお伺いしても?」
シズの事を適当に受け流すリナ。なかなかやり手の受付嬢のようだ。そう言えばセシルもこんな感じだったし、こういう才能がないと受付嬢は務まらないのだろうか。それに・・・
「ハンター連盟の受付嬢って美人じゃないとなれないのですか?」
「・・・はい?」
一瞬何を聞かれたのかわからなかったようで、リナは「こいつ何言ってるんだ?」という表情で見つめてくる。
本題に入ろうかとも思ったが、ちょっと気になったので雑談がてら聞いてみた。
ベルフィオーレの冒険者協会でも、受付は綺麗な女性ばかりだった。そしてイニステラのハンター連盟も同じだ。もしかして本当にそういう採用基準なのだろうか。
実際、リナは顔立ちは整っていてとても可愛い。年齢は20くらい。髪は栗毛でポニーテール。そしてブルーの瞳。服装は他の受付嬢と同じ紺色のベストと白い襟付きシャツを着ている。おそらくこれがハンター連盟の制服なのだろう。
そして勿論リナだけじゃなく、他の受付嬢も当然見た目麗しい。
「いえ、本題ではないんですけど気になっただけです。」
「えっと・・・とりあえずありがとうございます?でいいのでしょうか。」
褒められ慣れているのか、リナに動揺した様子はない。ただ直球で「可愛い」と言われるわけではなく「受付嬢って可愛くないとなれないの?」とよくわからない質問をアキがした事に戸惑っているようだ。
「いいんじゃないですか?でも男の受付っていないんですか?」
「え、ええ。イニステラ支部にはいません。他の支部にも、私の知っている限りですが、いませんね。探せばいるかもしれませんけど・・・珍しいと思いますよ?」
やはり受付はそのほとんどが女性らしい。やはり女性を受付においておいた方が客受けがいいのだろうか。
「でも男の受付の方が面倒事少なくないですか?女性だと言い寄られたり色々あるでしょう。」
「まあ・・・それはそうですね。でも受付が女性だとみなさん態度が柔らかくなるので。クレームが起きにくい、起きても処理がしやすいというメリットはあります。」
男が受付をやればいざという時の危険は少ない。だが冒険者やハンター連中は横柄な態度を取ると言う事か。そして女がやれば、言い寄られたりはあるが、依頼や仕事に関するクレームは減る。
どっちもどっちのような気もするが、協会や連盟側からしてみれば個人より組織なのだろう。つまり組織が円滑に回る方を取る。つまり受付は女性がやるほうが効率的ということに違いない。
「なるほど、参考になります。リナさんありがとう。」
「いえ。でも面白い事を聞きますね?大抵は口説いたりするものですよ?」
「興味ないので。」
「それはそれで複雑な心境なんですが・・・。これでも乙女なんですからね?」
リナが口を膨らませ、可愛らしく拗ねる。
まあ本当に拗ねているわけではないだろう。こうしたほうが男受けがいいとわかっているだけだ。実際、アキも男だし、女性のこう言う仕草を見せられると思うところはある。
だが本当に興味がない。何故ならうちには手のかかる美少女が沢山いる。こんな事でいちいち動揺してられない。それにわずかでも興味を示したら、近くにいるであろうイリアやルティアからミルナ達に報告され、今日の「お話」が倍増するだけだ。
「アキは女に興味がないのか?」
だがミルナ達の事を知らないシズはそんなアキの態度を不思議に思ったようで、首を傾げている。
「まさか、男だし人並み程度にはあるよ。」
男色だと思われても困るので、はっきりと否定しておく。
しかしアキが人並と言った瞬間、イリアとルティアから「嘘つき」という視線が飛んできた気がする。まあ確かに人並みだったら今のようなハーレムは作ってないだろう。言い訳はできない。ただ意図的に作ったハーレムではないという事は全面的に主張したい。
「俺の周りには美人が多いからな。シズを筆頭にね。」
「そ、そうか。」
納得したのか、シズは黙って俯いてしまう。上手く世辞が効いたようだ。
「ふふ、やり手ですね、アキさん?」
「リナさん、あまり余計な事は言わない方が身のためですよ?」
リナを脅すが、彼女は「あら、怖いです」とどこ吹く風だ。
「ではそろそろ本題に入ってもいいですか?」
「ええ、ご用件はなんでしょう?」
「ハンター登録をお願いしたいのですが。」
アキがそう言うと、リナは「かしこまりました」と慣れた手つきで書類を渡してきた。なんでもこの書類にサインするだけでいいそうだ。
内容はベルフィオーレの冒険者協会と大体一緒だった。簡単に言うと、死んでも自己責任だから連盟に文句は言うなということだ。後は細かいハンターについての説明が書いてあるが、その辺は既にルティアやシズから聞いているので目新しさは無い。
「それでアキさん。こちらからお伺いする事は1つだけです。どのランクをご希望されますか?」
「出来ればVで。」
「な、なるほど。さすがシズルドリーヴァさんのご友人ですね。ご存知かと思いますがVは試験できる人間がいないので無理です・・・。Ⅳであればシズルドリーヴァさんが試験官をやって下さるのであればすぐに手続きは行えますが。」
「しょうがないですね、ではⅣで。」
やはりVは無理らしい。まあ仕方ない。
「勿論、喜んでやらせて頂こう。」
「助かるよ、シズ。」
「友人だからな!当然だ!」
やはりシズはアキと模擬戦出来る事が相当楽しみらしい。まあアキとしても騎士隊長とランクⅣの実力を見られるので一石二鳥ではある。
「では戦闘試験を行いますね。ご友人だからと言って手心など加えませんよう。立ち合いは私が行いますが、厳正な審査を行いますのでご了承ください。」
リナがダメですよと注意してくる。まあ知り合い同士で協力すればランクを意図的に上げる事も出来るから、それを抑制する為の指摘だろう。だがランクを不正にあげても、実力が無ければ魔獣討伐で死ぬだけだ。そんな事をする意味はない。
「当然です。シズも手心加えるとか中途半端な事しないだろ?」
それにシズがそんな不正に協力してくれるとも思わない。
「勿論だ。本気でいくぞアキ!」
だってこんなに目を輝かせているのだから。
「ああ。でも俺が勝っても文句いうなよ?」
「ほう!私に勝つつもりか、面白い!本気で来い!」




