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「アキ、シズがそろそろ来る。」
どうやら迎えが来たようだ。ルティアがシズの気配を察知して教えてくれた。
適当に雑談していたら結構な時間が過ぎていたらしい。とりあえずイリアとルティアには隠れてもらわないと不味い。いつかシズに2人を紹介出来る日が来ればいいが、まだ早い。
ちなみに2人には屋敷で留守番しててもいいよと言ったのだが、当然のように「アキ1人はダメ」と光の速度で却下された。何でイリアまで・・・まあいいけど。
「提案するだけ無駄。アキ、自分でもわかってる。」
「まあわかってるけどさ、でも口に出して言うのは大事だろ。」
わかっているから言わない、わかっているけど言う。その2つなら絶対に後者だ。言わなければ何を考えているのかわからないと思われてしまうかもしれない。それにちゃんと口に出す事で、自分の考えがきちんと相手に伝わる。
「ただの俺の主義だから気にしないでくれ。」
「ううん、アキのそういうとこ、私は好きだよ。」
「そう?ありがと。」
そんなに真っ直ぐな目で言われると、正直ちょっと照れ臭い。イリアは思った事は恥ずかしがらずにはっきりと言うタイプだ。だからそれが彼女の本音だと余計にわかるので、言われた方としては恥ずかしくなってしまう。
「アキ!私も!私も好き!」
「わかってるって、ルティアもありがと。」
そこは張り合うところではないだろうが。
うちのルティアは意外に負けず嫌いだ。それに寂しがり屋で、甘えん坊で、すぐにアキの背中にくっついてくる。本当に小動物のようだ。それが可愛くてついついアキもルティアを甘やかしてしまう。これをソフィーがやってきたら間違いなく引っ叩いて庭に捨てている事だろう。ルティアだから許せるのだ。
「アキ、来た。」
ルティアは雑談を切り上げ影に潜る。もうリビングに彼女の姿はない。さすがだ。そしてアキはイリアに光学迷彩の魔法を施す。これで準備万端。
「とりあえずは今日の用事を終わらせに行くか。」
シズの馬車が到着したのがリビングの窓から見えた。ルティアの言った通りだ。アキは早速足早に屋敷の外へと向かう。
ハンター連盟がある場所は街の中心部だ。
どうやらハンター連盟以外の様々な国の施設もそこに集約されているらしい。そしてほとんどの商会もその中心部に軒を連ねているので、必要なものがあればそこに行けば問題ないのだとか。シズが簡単に街の説明をしてくれた。
「エル商会は貴族御用達だけあって少し外れた場所にあったがな。」
何時の間にかシズが騎士隊長の時の口調に戻っている。格好も先ほどのドレスではなく、白色の綺麗な装飾が施された防具を着ている。屋敷に帰ったついでに着替えたようだ。ただ昨日の鎧とはまた少し違う。非番だからだろう。
「昨日の騎士団の制服ではないんだね。」
「非番だからな。さすがに騎士団の格好をするわけにはいかん。」
やはりそう言う事らしい。
「口調もそっちなんだね。」
アキがそう言うと、シズが急に慌てた表情になる。何か気に障る事でも言っただろうか。するとシズはすぐに女の子の時の口調に戻してくれた。
「ご、ごめんね・・・あっちの口調嫌いだった?」
どうやらそれを気にしていてくれただけらしい。
「どっちが好きかって言われたら勿論そっちのシズかな。でも騎士の時のシズも嫌いじゃないから大丈夫だよ。それに今はあっちの口調がいいんだろ?」
「うん・・・そうなの・・・。いや。そうなんだ。防具を付けているときはこちらの顔を使うようにしているからな。すまんが、ご了承願いたい。」
別にどっちのシズでもアキの用事には影響ないので問題ない。
「大丈夫だから心配するな。」
「そうか、それはよかった。アキ、感謝する。」
「あ、でもハンター登録が終わったらいつものシズがいいな。」
「もちろんだ。私もそのつもりだからな。」
こっちのシズより素のシズのほうが色々とわかりやすいので、アキとしては話しやすい。表情もころころ変わるし、情報が引き出しやすいのだ。お堅い方のシズは必死に表情を作っているから本心が少々分かりづらい。それに女の子のシズの方が、やっぱり話していて楽しい。
「ハンター連盟まで30分くらいかかるんだっけ?今のうちにハンターの戦闘試験について教えてくれないか。」
「うん?ああ、勿論構わないぞ。何でも聞いてくれ。」




