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朝9時、エリザをミレーに送り届け、アキもユーフレインへ転移する。今日もイリアとルティアが同行者だ。正直もうアキだけでもいいと思うのだが、ミルナ達が当然それを許してくれるわけがなかった。
「それはそうと、明日には約束通りミルナ達を連れてきてあげたい。」
毎朝アキを見送る彼女達はどこか寂しそうだ。表面上は笑顔で「いってらっしゃい」と言ってくれるが、本心は違うのだろう。たかだか数時間出掛けるだけなのに、とても悲しそうな目をしている。
彼女達にそんな表情をさせてしまう事が申し訳ない。だから昨日もベルフィオーレに帰ってからは彼女達をたっぷりと構った。どんなに疲れていても、それだけはしなければと思ってしまうのだ。
「寂しそうだもんね。みんな。」
イリアが同意するように頷く。
どうやらイリアも気づいていたようだ。まあいくらミルナ達が笑顔で取り繕っていても、あの子達はわかりやすいからすぐにわかる。
とりあえず、これ以上寂しがらせなくていいよう今日の予定をちゃんと全て終わらせられれば、明日にはミルナ達を連れてこられるだろう。その為に今日もより一層頑張らねば。
「じゃあルティアは影に。イリアには透明化の魔法をかけるね。でも今日は2人は特にする事もないし、俺の側でのんびりしてていいよ。何かあった時だけ頼むね。」
「まかせて。がんばる。」
「よろしくね!」
2人の姿が消えた事を確認し、アキは足早に転移した洞窟からイニステラの街へと移動する。シズとの待ち合わせは10時だから時間に余裕はある。
だが心の余裕はあまりない。
ミルナ達が寂しそうな顔をしていたからというのもあるが、元々の約束では明日つれてこれると言ってあるからだ。つまりそれを破ったら・・・それは想像したくない。だから何としても今日中に最低限の準備は終わらせなければならない。
後、なんだかんだで騒がしいミルナ達がいないとアキも寂しい。
「しかしまあ・・・俺が寂しいとか思うようになるとはな・・・」
こんなのは昔の自分では考えられない。
「これもミルナ達の影響なのかな。」
ミルナ達は四六時中アキの側にいようとしてくる。おかげで最近はそれが普通の感覚になってしまっている。だから彼女達がいないと何か物足りない。何だかミルナ達がいないと生きていけないよう調教されている気分だ。彼女達にその気はないだろうが・・・いやあいつらならあるかもしれない。ミルナ達ならそれくらいは平気でしてきそうだ。
そんなどうでもいい事を考えて歩いていたら、何時の間にかエル商会に到着していた。時間を確認するが、まだ待ち合わせには少し早いので、外でシズの事を待つとしよう。
「後、20分くらいか。」
アキぼーっと空でもみながら時間を潰す事にする。
ちなみにルティアとイリアはちゃんとアキの側にいてくれている。索敵魔法を発動させると真後ろから反応があった。
「うーん、気持ちいい。晴天だな。」
今日のユーフレインは雲一つない青空だ。
そう言えばベルフィオーレでミルナ達とアリステールに到着した時もこんな空だった。ベルやアリア達と合流し初めて旅をした際に見上げた空にもどこか似ている気がする。あれか確かベルをミレーへ護衛する旅だった。
やっぱりユーフレインとベルフィオーレは同じ世界なのだろうか。
「まあ今そんな事を考えるのは無粋か。」
せっかくの気持ちのいい空だ。今は純粋にこの心地よさを楽しめばいいだろう。
「でもどこか懐かしい気分になるな・・・」
朝の冷えた空気がアキをノスタルジックな気分にさせているのかもしれない。メルシアであるうちの子達、従者であるアリア達、王女様であるベル、そしてエリザやルティア・・・彼女達との出会いがアキの脳裏に蘇ってくる。
「どれも大事な・・・俺の、いや俺達の想い出だな。」
今、ベルフィオーレやユーフレインで楽しい時間を過ごせているのは間違いなくミルナ達のおかげだ。大変な事もあるが、あの子達がいるからアキは頑張れる。
そんな物思いに耽っていたら、いつの間にか隣にいた女性から声をかけられた。
「アキ、おはよう。ごめんね、少し待たせちゃったかな?」
誰だろうと思い、声のする方に顔を向ける。
するとそこに居たのは白のノースリーブロングドレスを着た少女。まあドレスというよりはワンピースと言ったほうがいいかもしれない。フリルや青のリボンの装飾が随所にあしらってあり、とても可愛らしい。
しかし本当に誰だ。こんな可憐な美少女、アキは知らない。
だがユーフレインでアキに声をかけてくる人間となると・・・まさか。
「・・・もしかしてシズ?」




