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異世界の観察者  作者: 天霧翔
第二十一章 ユーフレイン
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27

「ちなみに……どこから聞いてたんですか?」


 最後だけですよねとベルが懇願するように聞いてくる。


 ミルナ達が何やら女子会をしている最中、アキは夕飯を持ってリビングに戻った。すぐ食事が出来ると思ったのに、アキが言った余計な一言のせいで、30分みっちりと乙女心について「お話」された。そしてやっとお話が終わり、今からやっと夕飯を食べようとしているところだ。


「最後のとこだけだよ?」


 アキの返答に安堵の表情を浮かべるミルナ達。


 だが背中にくっついていたルティアが割って入ってきた。


「嘘。魔法つかって全部聞いてた。私知ってる。」


 何故ばらすのか。

 

「ばらすな。もうルティアはデザートなしな。」

「ダメ!それはダメ!アキは何も聞いてない!」


 今更発言を撤回したところで時すでに遅し。ミルナ達の目が怖い。顔は笑っているが「なにしてるんですか」と目で脅してくる。


「アキさんはまだ乙女心の理解が足りてないようですわね。」

「ええ、ミルナさん。もう一度最初からゆっくりお話しが必要のようです。」


 ミルナとベルがうふふと笑いながら物騒な会話をしている。


 だがまあ聞いていたアキが悪いと言えば悪い。言い訳はできない。


 ちなみに何故魔法を使ってまでしてあの子達の会話を聞いているのかというと、ミルナ達が不満を抱いてないか確認する為だ。不平不満が溜まっていないか、劣等感を感じていないかなどを知りたいのだ。勿論趣味が悪いのはわかっているが、他に良いやり方をしらない。

 

「別にいいですよー?好きなだけ聞いてくださいー!」

「ええ、私も構いません。」


 ただソフィーとアリアだけはまったく気にする様子がない。追加でされた「お話」でもアリアとソフィーは何も言ってこなかった。


 まあこの2人の場合はそうだろう。ヤンデレ属性エルフと変態属性メイドだからこの程度の事では動じない。ミルナやベル達は「乙女としての恥じらいを……」と2人に説教しているが、響いている様子は全くない。この2人の性格はある意味無敵だから何を言っても無駄だ。


「もういいわ!それよりルティア!あんたいつまでアキにくっついてるのよ!」


 エレンが急に叫ぶ。


 ソフィーとアリアを説得するのは諦めたのか、今度の標的はルティアらしい。あちらこちらと忙しい子だ。どこかに喧嘩を吹っ掛けていないと死ぬ生き物なのだろうか、うちのエレンは。


「アキ、おなかすいた。」

「はいはい。夕飯食べようか。」

「うん。食べさせて。」


 だがルティアはエレンの事は完全無視するらしく、アキに話しかけてきた。そして今日は食事の時すら背中から下りないと決めたようだ。


「無視するんじゃないわよ!?ルティア!!!」


 今にも飛びかかりそうな勢いのエレン。ただご飯時にそれをすると自分が怒るのを知っているので、エレンは絶対にしない。


「許してやれ。情報収集を頑張った褒美だ。これがいいんだと。」


 普段ならアキ自身でルティアを既に払い落としている。今日は許している理由がこれだ。


 初めは別のご褒美を考えていたのだが、ルティアに何が欲しいかを聞いたら、くっついていられたらそれでいいと迷いなく言ってきたので、もう彼女の好きにさせている。


「でもいつまでそこにいるつもりよ!それくらいは教えなさい!」


 確かに。いつまでいるつもりなのかはアキも気になる。


「おやすみまで一緒。おやすみも一緒。」


 どうやらずっとらしい。そして寝るのも一緒らしい。


「はああああ!?ダメに決まってるでしょうが!今すぐ離れなさい!」


 エレンが臆する事なくルティアに突っかかっていく。


 ミルナ達はそれは辞めたほうがいいのに……と言った表情だ。勿論ミルナ達もルティアには文句を言いたいのだろう。だが言わない。何故ならルティアには勝てないのを知っているから。


「アキ。」

「なに?」

「エレンは最近部屋で枕を抱きしめてチューの事思い出しては悶えている。『今度は私からするのよ』とも言ってた。練習してる。」


 何それ可愛い。


「し、してないわよ!?嘘つくんじゃないわよ!!!」


 当然エレンがそれを認めるわけもなく、必死に否定してくる。


 だが顔を真っ赤にして叫んでいるので、多分事実なのだろう。それにルティアの情報が間違っているわけがない。


 しかしやはりこうなったか。ミルナ達も「何も言わなくてよかった」と安堵の表情だ。あのアリアですら安心しているくらいだ。


「アキ!してないわよ!してないからね!?」

「うんうん、そーだね。」

「ほんとなんだからね!あと今聞いたことは忘れなさい!!!今すぐに!!!」


 それは嫌だ。絶対忘れてやらない。エレンの乙女らしい一面は貴重だ。まあ本人的には羞恥しかないだろうが。


「しかし……ミルナ並みの黒歴史だな。」

「急に私を巻き込まないでくださいませ!?」

「ルティア、ミルナのはなんかないの?」

「やめて!?おかしいですわよ!私は何もしていませんわ!」


 やはりオチはエレンかミルナに限る。


 ただ正直最近はこれもマンネリ化してきたので、そろそろベルやリオナをオチにしてみても面白いかもしれない。エリザやイリアでも可。


「どうだろう?」 

「それはおかしいかな。やめてよね。」

「絶対やめようね。」

「アキ君、それはやめなさい。」

「そうです、絶対にやめてください。」


 まあそんな事が当然了承されるはずもなく、イリア、リオナ、エリザ、ベルに順に突っ込まれた。真顔でめっちゃ怒られた。

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